デジタルモンスターver.20th オススメ度:

 育成ギア 2017年6月下旬発送(受注商品)  定価:3500円(税・送料別)   公式サイト
 

 デジタルモンスター生誕20周年を記念してつくられた、元祖「デジタルモンスター」がベースの新育成ギア。
デザインや大きさは当時のそれを再現しているが、金型はもうなくなっていたので実は完全新規造形。
背面の電池ブタが変わり、仕様電池がLR44×2からCR-2032×1になったり、細かい所ではチェーン部分のパーツが少し違ったりはする。
(なお操作音は完全再現とはならなかったが、アプリ版のプープー音を聞いた後だと、かなりマシな部類)

 特徴としては、当時のVer.1~5の全デジモンが登場し、育成可能になっているだけでなく、
デジモンギアでは史上初となる、2体同時育成が可能となった。
(単体育成も一応可能だが、「片方を死亡・デジタマ状態で放置する」形になるので、育成中に任意変更はできない)
当初はその初の試みに不安なファンも多かったが、思ったよりずっと上手く処理されている。
 2体育成になるコトで、トレーニングやバトルにタッグ制のものが導入されたり、
食事や睡眠などにも専用の演出が用意され、画面内が賑やかなものとなっている。

 初代デジモンをベースにしつつも、完全体の上に究極体が追加されたり、
特殊デジタマによる新しい進化ルートを持つデジモンが登場したりと、
良くも悪くも「これはもはや初代デジタルモンスターではない」という域にまでボリュームアップしており、育成可能デジモンは134体にのぼる。

 デジモンの追加だけではなく、省電力機能オートセーブおよびリセット時のデータロード
さらにはギア単体での対戦モード、過去に育てたデジモンを記録し、合体素材にも使えるアルバムなども実装。
ステータス画面ではデジモンの種族名が表示されたり、バトルが体力制になったりと、
歴代デジモンギアが培ってきた良い所を、上手く拾い上げているのも嬉しい。


○ good!

・金型は新規だが、当時のギアがよく再現されている
 ┗・若干ツルツルしているような気もするが、特に問題というほどでもない

・Ver.1~5全デジモンだけでなく、追加デジモンも多くいるためボリュームがもの凄い
・2体育成は中々上手く落とし込まれていて、単体では単調だった育成要素の密度が上がった
 ┗・元のギアではあまり出番のなかったCボタンをモード切り替えに使ったのは御見事

・対戦モードややりこみ要素のアルバムが実装され、単体でもプレイバリューが高い
・バトルがボタンで省略できるのでバトル回数、勝率稼ぎもラクチン。

・モーションパターンが増え、デジモンがより魅力的に見えるようになっている。

・デジモンごとの技ドットが2つになった幼年期とヌメモン系を除く)
 ┗・初代は技ドットが系列ごとに固定されてイメージにそぐわないデジモンも多くいたため、地味ながらもキャラ立てに効果的

・4000円弱でお求めやすい価格
 ┗・1万円もするデジヴァイスとは何だったのか


× bad...

・最初のデジモンがVer.1のデジタマで固定
 ┗・確かにVer.1カラーの本体ではあるが、別に最初から1~5を選べても良かったのでは?

・パラメータサイクルや体力など、昔はデジモンごとにバラバラだった数値が「世代ごと」などでひとまとめになった。
 ┗・別に目立つ不満点という訳ではないが、なんとなくさみしい。

・進化ルートによっては、完全体止まりだったり、究極体の上のさらに合体究極体へなれたりと格差が広がった。

・トレーニング後などの、デジモンの喜びや怒りモーションを途中キャンセルできなくなった。

・2体育成になった分、過去のそれよりお世話の手軽さはなくなっている。
・おなかやきんりょくなど、パラメータサイクルが過去のそれより早い。
ウンチの頻度が高すぎる
 ┗・かつては3時間に1回のペースだったが、今作はどうも1~2時間に1つは出してくる。
  ┗・2体育成なので2体がそのハイペースでウンチをしてくる
   ┗・しかもウンチの最大ストック数は4つに半減したため、油断をするとすぐにケガで倒れている。

睡眠中は進化時間にカウントされない
 ┣・「条件を満たしたのであとは寝かせて進化待ち」といったテクができなくなった。
 ┗・というか単純に、時間の都合であまり世話をできない人のデジモンが、極端に進化が遅くなってしまう。

・色々機能が追加されたが、育成ストップがない
┗時計をリセットしても自動で動き出してしまう

・総じて、どう考えてもインタビューで触れていた「忙しい大人になったファン向けへの調整」ができてない

・各本体カラーによって限定デジモンが存在するため、全てのデジモンを育てるには本体カラーも全て揃えなくてはならない
 ┗・まだプレイアブルデジモン情報も完全には出揃っていないので、まだこの先にも追加カラーがある可能性が…?

≪まとめ≫

 初代ギアをベースにしつつも、あらゆる追加要素が充実しているので「育成ギア」としてのプレイバリューは相当高い。
今まで多くとも3~40体前後しか育てられなかった育成ギア界隈に、いきなり134体ものデジモンを引っ提げてきたのだから、
総合的に言えば断トツでやりがいのある育成ギアだと誰もが認めざるを得ないだろう。

 ネクオダのせいもあって不安要素だった「2体同時育成」は上手く処理されていて、
画面も賑やかになっているし、ちゃんとコマンドにも2体用のモノが用意されていて抜かりはない。


 ただ、全体的にはよくできている分、どうしても残念な所にも目がいってしまう。

 まず、デジモンが2体になっただけでなく、
お腹や筋力などが減るパラメータサイクルが全体的に早くなり、育成が良くも悪くも大変になったコト。
「忙しい人向けに調整した」というのは、「呼び出しが少なく、お世話に手ががかからない」コトだと当然のように思っていた。
実際は「短時間の間にも何度も呼びだしてくるので、デジモンに触れられる時間が少ない人でもお世話を堪能できる」
という、確かに忙しい人向けの調整とも言えるが、予想とは完全に真逆の方向性だった。


 それに伴って問題となるのが、「睡眠中は進化時間にカウントされない」という仕様。
この仕様、かつてのアプリ「ペンデュラムリバイブ・サバイブ」でも実装されていたが、ハッキリ言ってクソの一言。
インタビューやサイトでも「進化スピードを早くした」とわざわざ言っているのに、何故スピードが遅くなる要素を入れるのか

 「睡眠中は絶対進化が進まない」という仕様が存在するせいで、普段デジモンをどのぐらい世話できるのか、
プレイヤーの生活スタイルによって、デジモンの進化にまで格差が出てしまうのも良くない。

 それに収録デジモンが豊富な今回なら、「新しいデジモンを次々と育てたい」思いの人の方が多いはず。
そも、時計はプレイヤーが自由にいじれてしまうのだから、「起きている時・寝ている時」を分けてカウントする必要性も感じない。
もし「同じデジモンを長い間、愛でてもらいたい」という意図があったのなら、
それこそ育成および進化ストップ機能さえ搭載してもらえれば、全てが丸く収まった話だと思う。


 そんなこんなで、早く進化させたいので「とりあえず起こしっぱなし」になりがちな今作だが、
ここで最も問題になるのは、ウンチをした時と、ウンチが溜まってケガをした時に呼び出し音がないコト。
そのくせに、デジモンが長時間ケガでもう手遅れになった時には音が鳴る
家でのんびりしてたのに、知らずの内にデジモンがケガをしていて気付いた時にはもう助からないというパターンを何度も味わうコトになる。

 「嗚呼、もっとデジモンを気にかけてやっていれば…」と後悔させられるコトだろうが、
そもそも初代だとウンチの時に音出てたやろが!なんで今回はなくしてんだよ!!
(当時の場合は、「ピロッ」という音が鳴ったあと、デジモンが笑顔でウンチを出していた。
 今作の場合、省電力で画面が消えていた場合は画面復帰こそするが、音はなく、特にモーションもなくスピーディに排便をキメる)




 「ウンチの頻度」と「進化ペース」の2つだけはもっと調整を頑張ってほしかったものの、
それでもこのギアに対する「歴代育成ギアでもトップクラス」という評価は揺るがない。
結局のところ一番の問題は、そんな良い商品でありながらも、受注品なので欲しくなった人が気軽に手に取れないところだろう。

 一次受注も公式が想定していたより早く埋まってしまったようだし、この人気は嬉しい誤算だろう。
「これならいっそ一般発売でもチャンスがあったのでは?」と思ってしまうのは、昔からのファン故の甘さだろうか。
現実は非情なもので、プログレス以降、デジモンの育成ギアが好調だった光景なんて全く見られなかったのを思うと、
今回はこうして「好評な受注品」になってくれたのは、作り手にとってもファンにとっても悪い話ではない。

 現在も新色であるアルファ・ズバ・オメガカラーの受注も始まったコトだし、
「昔デジモンを育てていた」「育成ギアに興味がある」という人は是非入手してみてほしいと思う。

 今作がデジヴァイス15thに比べて異様に安いのは
「何バージョンも出して、時間をかけてコストを回収するから」という可能性もなくはなさそうなので、
それこそver.1だけでなく、Ver.2以降を再現したカラーなども出てくれれば、新規にも古参にも嬉しい。


 今回、自分は念願のギア復刻なのもあって即2つをポチったが、普通にプレイする分には別に1つで十分。
…というか、2体×2つの4つ子育成は思ったより面倒なので、むしろ1つの2体に専念した方が楽しめるかもしれない。

 しかし向こうも商売。複数買わせるために、通信限定や、バージョンをまたいだデジモンが存在するのが厄介だ。
まぁ、どうせ「一つのギアに全てのデジモンをアルバム登録する」コトは不可能なんだし、
お財布やライフスタイルと相談して、「好きなデジモンが出てるバージョン」だけでも、十分に楽しめると思う。


 何はともあれ、ここから再び、デジモンの育成ギア路線が盛り返していくコトに期待したい。


ver.20th攻略 サイトトップ