デジモンコラム 初代デジタルモンスター全70体のアニメ初登場を振り返る Tweet 公開日:22/06/29 2022年6月26日を以て、デジタルモンスターシリーズはついに「25周年」の節目を迎えた。 長い歴史の中で何作ものテレビアニメが制作され、 その中では主役であったり、敵であったりと、様々な役割がデジモンに与えられてきた。 「アニメ」は多くの人にとって触れやすく、さらに映像として子どもから大人まで広く楽しみやすいので、 「アニメにおける活躍」は、キャラクターにとっても大きな意味を持っている。 これまで実に1000体以上ものキャラクターが登場しているデジモンシリーズ。 その中から、1997年から98年に展開していた原点の育成ギア「デジタルモンスター」に焦点を絞り、 最古参となる70体のデジモンたちは、アニメにはどのように登場したか振り返ってみよう、というのが今回のコラムだ。 主役系の活躍を思いだすのは簡単でも、 そうでないデジモンはどうだったか、そもそも70体全員がアニメに登場していたのか…。 過去作を知る人は思い返しながら、知らない人は思いを馳せながら見てほしい。
記念すべき最初のバージョンだけあって、やはり錚々たるメンバーに感じられる。 なんといっても、現在でも断トツ人気の主役・アグモン系を輩出しているのが強い。 なお、そのアグモン系譜に関しては表のとおり、グレイモンまではテレビに先駆けて公開された 99年春映画「デジモンアドベンチャー」(パロットモンのあれ)が初登場。 一応テレビ版にも触れておくと、コロモンとアグモンが1話から、グレイモンは進化回の2話で登場し、 ボタモンは主役とは別個体のデジモンが、始まりの町に12話で初登場している。 また、知っての通りVer.1のメタルグレイモンはウィルス種であるため、 正当進化ではなく、続編の02でデジモンカイザーが太一のアグモンを操る形で、序盤の強敵として君臨した。
他のデジモンに目を向けると、成熟期ながら「ボス」としての立ち位置を確立しているデビモンも見逃せない。 「悪魔」そのものがモチーフなだけあって、悪役としての素質は文句なしだったのは間違いないだろう。 アニメでは今は亡き塩沢兼人氏による演技や、宿命の相手となるエンジェモンとの決着なども印象的だ。 このページでまとめた各デジモンの役回りを見るだけでも、「黒い歯車仕事しすぎやろ…」というのもよく分かるぞ。
一方、ほぼ全員がアニメ1作目で早々とテレビデビューしていく中、 先述のメタルグレイモン以外にも、地味にマメモンも少し遅れて02組となっている。 登場したのは02の物語後半、いわゆる「世界編」に入った頃で、 仲間のメタルマメモンやビッグマメモンと共にヴェルサイユ宮殿で暴れまわっていた。 同族の仲間と揃って出てきたのはいいが、出番としては地味な部類に入るのは否めない。 02と言えば、メインキャラ以外にも世界中に「選ばれし子ども」が登場し始めた関係で、 ミミの友人・マイケルのパートナーという形で別個体のベタモンが再登場している。
ベタモンは当初のポジションで言えばあのアグモンと同列であり、 当時からそのかわいらしい外見でファンも多いデジモンなので、 こうして「パートナーを持つデジモン」としても描写されたのは一種の救済にも感じられる。 今回のページでは一応「初登場」に主軸をおいてまとめてはいるが、 こんな風に「再登場してもっといい役をもらう」というパターンも少なくない。 例えばヌメモンも、初登場の6話ではまさに「ハズレキャラ」でしかない出番だったが、 第話「さらばヌメモン」では副題に名前が掲げられ、強敵・ムゲンドラモンを倒す糸口となった。 エアドラモンなんかも、無印の初登場は本当に一瞬だったが、 多くの人には02でデジモンカイザーの乗り物として使役されている方が印象深いだろう。 …エアドラモンは神聖系の割に扱いが酷く、その後もあまりいい役をもらえていない気がする。 それと、記念すべき初の看板デジモンのはずのティラノモンもアニメだと、ね…。
カブテリモン、エンジェモン、バードラモンと多数の主役勢を抱える、かなりのデジアド弾となった。 (ちなみに、プニモンも勿論ガブモン系の主役個体として登場しているのだが、 第12話にて主役組の退化より早くプニモン、ポヨモン、ユラモンが登場するので、そちらを優先している) 今バージョンの完全体、スカルグレイモンはその禍々しい姿から、 アニメでは「グレイモンの暴走形態」として描写され、その後もたまにある「暗黒進化」の先駆けとなった。 余談だが、Ver.2的にはカブテリモン・エンジェモン・バードラモンの3体がどれもスカルグレイモンへ進化するため、 場合によっては、危うく主役の過半数が同じ轍を踏んで暗黒進化する地獄絵図になるところだった。 (なお、アドベンチャーのスカルグレイモンは「正しくない育て方による誤った進化」との位置付けだったが、 育成ギアでは「幼少の頃からマジメに育ててバトルに取り組んだ姿」なので、実は真逆の方向性となる)
主役系以外にも、エレキモンやユキダルモンなど協力者ポジションとなるデジモンも多いが、 ここではその中からホエーモンをピックアップしておきたい。 当初は黒い歯車による暴走で子どもたちを丸呑みにしてしまうが、 歯車を除去してもらった後は、その巨体を活かして子どもたちの海の移動を大きく助けてくれた。 (ちなみにホエーモンは「ペンデュラム」にて完全体版が登場するが、デジアドのは初代準拠の成熟期)
敵デジモンとしては、アトラーカブテリモン進化回の敵として登場したベーダモンが印象的。 浦沢脚本で中々カオスな回だが、ベーダモンに「知りたがる心」を物理的に奪われてしまった光子郎と、 知識欲を失ったパートナーを支えるテントモンの関係を描いたエピソードとして単純に面白い。
主役系としてはパタモンを輩出しているが、その進化枠をエンジェモンに奪われてしまったのがやはり響く。 看板デジモンとなるオーガモンはレオモン絡みでちょくちょく出番があるし、 和解後は頼もしい仲間として印象的なアンドロモンなどもいるにはいるが…。 少し意外な所としては、クネモンの初登場が02にまで遅れている。 初代デジモンの成長期の中で、無印に登場しなかったのはクネモンのみなので、ちょっと珍しい。 02にはよりによってメイン主役に同じ幼虫型のワームモンがいるので、扱いの格差が強調されたような…。 さらにギロモンも、02の第41話にて「マメモン3兄弟」にはカウントされていないが、ついでのように初登場。 マメモン兄弟でもなく、ピッコロモンやナノモンほども目立たず、どうにも半端なポジションだ。
看板デジモンのクワガーモンは記念すべき「第1話の敵」に選ばれ、18話で再生怪人のごとく帰ってきたりもした。 その後も何かと敵としての出番は多く、さながら仮面ライダー第1話の怪人「蜘蛛男」のような扱いが板についている。 (見た目が凶悪なモンスターなので敵キャラとして重宝するのはわからなくないが、 主役側に似たような凶悪顔のカブテリモンを置いているので、だいぶ棚上げ感がなくもない) 勇者レオモンや語尾の「〇〇ッピ」が頭に焼き付くピッコロモンは勿論、 アルマジモンよりも先に名古屋弁キャラで登場した幻船長コカトリモンや、 すっかりお料理キャラが根付いたデジタマモンや「こいつはナニモン!?」など、濃いメンツが多い気がする。
Ver.4において唯一の02組となったシーラモンは、なんとパートナー持ちとして登場。 相棒のディンゴは、声が坂本千夏ボイスなので主人公の素質はバッチリなフランスの金髪少年だ。 シーラモンは進化後の姿で、普段はガニモン。ペンデュラム2準拠の進化ルートなのだろう。
また、何かとモブや敵として酷使されまくっているモノクロモンも、 02の第42話で、メキシコの選ばれし子ども・チチョスのゴツモンが進化した姿として登場。 これにより、「現住モブ」「敵」「パートナー持ち」の3冠を最速で達成したデジモンとなった。
いかにもワルそうなメンバーが多いので、敵デジモン適正が高かったのが幸いしたのだろう。 中でもパグモンとガジモンはエテモン編で多数登場し、セリフも多かったので記憶に残りやすいハズ。 「元々はゴジラのたまごっちに使う予定のドットが流用された」逸話でも知られるVer.5組。 そういう背景もあってか、ダークティラノモンやレアモンなど、現実世界で暴れるデジモンも多い。 (レアモンは登場回となる第31話で「レアモン!東京湾襲撃」とタイトルに名前まで入っている。 見返してみると、案の定映画「ゴジラ対ヘドラ」を意識したであろう演出が組み込まれているような…) しかし、無印・02でテレビに出揃っていた今までのバージョンに比べると、ここで足並みが乱れてしまう。 今回初めてアニメ3作目「テイマーズ」の出身となったのがメタルティラノモン。 全身が左右非対称のパーツまみれでなんとも描くのが大変そうだが、出番が遅れた理由とは特に関係ないだろう。 1話の冒頭から登場し、クルモンを狙うメイルドラモンに襲いかかったダークティラノモンが、 デジ・エンテレケイアの光を浴びて、メタルティラノモンへと進化。メイルドラモンを粉砕する。 またそれと同時に、主人公のタカトが友人と「デジタルモンスターカードゲーム」に興じており、 その戦いと重なるかのように、メタルティラノモンのカードで勝利している。
そんなメタルティラノモンとは比較にならないほどに、 Ver.5はさらにもっと「アニメに出るまで時間がかかった」デジモンを抱えている。 まずはズルモン。幼年期Ⅰにあたる、なんてことのないスライム型デジモンだ。 他のバージョンなら無印の12話でサラッと出されていた枠なのに、これがどうにも出てこない。 進化後のパグモンはあれだけゾロゾロと登場していたのに、あいつらは一体何モンから進化したのやら。 結局、ズルモンがアニメ初登場となったのはアドベンチャーのリメイク作品「デジモンアドベンチャー:」の第25話。 放送日は2020年の11月22日というコトで、なんと無印から実に20年以上もの間が空くコトになった。
これによって大規模なデータ障害が起こり、現実世界のAISもデータが浸食され、 世界各国の船舶同士が衝突事故を起こし、戦争にまで発展する危険性をもたらしてしまう。 数が数なため、アトラーカブテリモンたち合計4体の完全体でも成す術がなく、 結局対処は諦め別の解決策に当たる…という、誰がここまでしろと言ったレベルの厄介さを見せた。 それはそれとして、何故ここまでズルモンの登場が遅れたかは気になるところだが、 「別に出す必要がなかったので今まで出さなかった」、という以上の理由はないのかもしれない。 なんなら、この話だってズルモンである必要性は皆無なので、「たまたま出した」以上の理由が見当たらない。
さてさて、今度はズルモン以上にアニメ登場が遅れに遅れたデジモン、エクスティラノモン。 もんざえモン系に位置する完全体で、謎の存在がティラノモンのぬいぐるみに潜んでいるデジモンだ。 こちらの登場は、現在も放映中の「デジモンゴーストゲーム」の第30話。 2022年の6月19日に放映されたばかりで、まさに出たてのホヤホヤだ。 というか、こいつがようやく出てきたので今回のコラムを書いたというのが正直なところ。 周囲の人々に強い不満を持つカヨノを唆し、2体は彼女を利用する形で人々を人形へと変えてしまう。
完全体2体という劇中の進行度を踏まえてもやたら強力な敵デジモンであり、 主人公サイドの清司郎・ジェリーモン組を人形にして無力化してしまった強敵だった。 ホラー色の強い作風とデジモンの不気味さがマッチした、良い活躍をもらえたんじゃないだろうか。 なぜエクスティラノモンのアニメ登場がここまで遅れたかについては、 ズルモンと同様に、「特に理由はない」のが正解なんじゃないかと思う。 というのも、別にアニメの登場を急がなくてはならない理由はないと言えばないワケで。 それより大事なのは、「キャラの魅力を引き出す良い出番をもらうコト」の方だろう。 つまり、「ようやくこのデジモンを出す機会が訪れた」だけの話ではないかと考える。 何はともあれ、ズルモンに続きエクスティラノモンもようやくアニメに出られて、いやあヨカッタヨカッタ。 ◇最後の空白デジモン …さて、今回俺がこのコラムを書いたのは、 先述の「エクスティラノモンがついにアニメに登場したから」というのも本当ではあるが、 意図する所は「初代組が全員揃ったから」…ではなく、「初代組がついに残り1体になったから」だ。 ここまでのデジモンリストからしれっと抜かしていたが、 実はまだ1体だけ、およそ四半世紀の時が流れても、未だテレビ出演が適わないデジモンが1体だけ残されているのだ。 そのデジモンとは…
そう、このサイクロモンだ。 もしかすると、それこそ「アニメに出てないから知らない」という人もいるかもしれないので、改めて紹介しておこう。 異常に発達した右腕を持つ単眼の竜人型デジモン。 元々は屈強な竜戦士だったが、右目を戦士「レオモン」に潰され復讐の鬼となった。 レオモンを倒すために右腕を強化し巨大化させ、倒す機会を狙っている。 戦士としての誇りを無くし復讐のための殺戮しか残っていない狂戦士となってしまった。 必殺技はあらゆる物を溶解してしまう超高熱の『ハイパーヒート』。 --- 片目を失い隻眼となったために、神話に登場する一つ目巨人「サイクロプス」の名前が由来となっている。 何かと出番の多いレオモンとの因縁を持つキャラクターであり、 設定を活かしたドラマはもちろん、単に凶悪な敵デジモンとして活かせそうな逸材だが、未だにアニメ登場を果たしていない。 しかし、「初代組で唯一アニメに出ていない」と強調するとなんだかすごく悲惨な黒歴史キャラに思えるかもしれないが、 アニメ"には"出ていないというだけで、ゲームなど他のメディアにはいたってフツーにけっこう登場している。 なんなら、同じVer.5の成熟期と比べれば、むしろ出番は多い方ですらあるだろう。 例えば、「デジモンアドベンチャー」への出演はなかったが、 漫画作品「デジモンアドベンチャー Vテイマー01」には登場している。
さらに、アニメのデジモンアドベンチャーには出ていなくとも、 実はサイクロモンは「小説版デジモンアドベンチャー」にはしれっと登場している。 テレビ本編で言えば「エテモン編」の暗黒進化から少し経った頃の時系列に当たり、 砂漠の中にぽつんとある超巨大な廃車置場にて、選ばれし子どもたちのデジモンとバトルを繰り広げた。 まぁ出番自体は2ページに届かない程度のアッサリしたものだが、 イッカクモン、バードラモン、カブテリモン、ガルルモンの4体がかりで何とか仕留めるくらいには強敵だった。 いないはずのデジモンが登場するコトからもわかる通り、小説版はアニメとは少し展開が異なっている。 アニメではなかった設定の補足や、文字で描かれる心情描写など興味深い点は色々あるので、 デジモンアドベンチャーが好きな人にはオススメしておきたい。…いまさら入手は少し困難かもしれないけども。 (個人的には、アニメよりも圧倒的な総力戦かつ描写もグロめなメタルシードラモン戦が好き) そんなこんなで、サイクロモンは断じて闇に葬られたキャラなんかではない…のだが、 こうも一向にアニメには出てこないとなれば、そこには何かしらの理由があるように感じられる。 恐らくは、サイクロモン自身の特徴となる「潰された右目」や「異常発達した右腕」などが、 世界に向けた"テレビ"媒体で扱うのには、ちょっと面倒な引っかかりがあるのではないだろうか? サイクロモンを見て、やれ差別だ、侮辱的だなどと憤るデジモンファンなんていないとは思うが、 あらゆる人たちに向けられた「テレビ」というメディアでは、我々が思うより遥かな面倒くささがあるのだろう。 小説版にわざわざ登場したのも、「テレビには出してやれないから」という埋め合わせの配慮を感じる。 …まぁ、もしかしたらサイクロモンも「単に出してなかっただけ」で、 ズルモンやエクスティラノモン同様、あっさりひょっこりとお茶の間に姿を見せてくれる時がくるかもしれない。 ◇Cyclone Effect Don't stop it 次のステージへ いかがでしたか?(クソブログ) 実質、サイクロモンの実態を知らしめるためだけに全初代デジモンのアニメ出演を調べたとも言える今回のコラム。 一部ファンの間では「まだアニメに出ていない初代組はズル、サイクロ、エクスティラノだけ」 というのはけっこう前から有名なトリビアとして通っていたもので、 その膠着状態が最近になって急激に動いたり、なんか25周年のタイミングにも重なったので、 過去のデータや状況を改めて整理するためにも、まぁまぁ有用なまとめがつくれたかな、とは思う。 まぁ、別に「アニメに出ているかいないか」でデジモンの価値が決まるワケではないし、 サイクロモン本人がアニメ出演を望んでいるかは定かではないけれど、 黎明期から存在するデジモンの1体としても、テレビを通じて彼の知名度が向上し、 そして正式に初代組の全デジタルモンスターがアニメに出揃う日を心待ちにしておきたい。 わざわざ目を潰される前で両腕も均整のとれたアーリー形態などを用意してまでは出てほしくないが…。 ちなみに、初代の次に出た育成ギア「デジモンペンデュラム」で登場したデジモンたちは、 テイマーズまでで大半が揃い、「tri.」でようやくヘラクルカブテリモンが登場したものの、 まだスカルマンモン、ブイドラモン、エアロブイドラモンの3体が残っているようだ。 ブイドラとエアロは希少種なのであえて避けてるのかもしれないが、 スカルマンモンは…やっぱ、進化前となるマンモンをアニメで多く殺しすぎたのでは? 見た目はホラー系なので、ここは現行のゴーストゲームに期待したいところだ。 コラムトップに戻る サイトトップに戻る |