デジモンコラム【アルファモン編】 デジタライズ・オブ・ソウル ~19年越しの召喚術~ Tweet 公開日:2022/01/12 最高位のネットワークセキュリティ「ロイヤルナイツ」に所属するデジモンの1体ながら、 「他のナイツへの抑止力」としての存在であり、緊急時以外には姿を現さない点から「孤高の隠士」の異名を持つ。 初登場は2003年4月に発売された育成ギア「デジモンペンデュラムエックス1.0」であり、 同作における隠しキャラ的なポジションとして登場していた。
ペンデュラムエックスは「デジモンクロニクル」というメディアミックス作品と連動していた。 育成ギア以外にも、付属冊子にはショートコミックが載り、公式サイト上でもストーリー紹介があって、 旧「デジタルモンスターカードゲーム」でもシナリオの一部を読み取れるカードが収録される、などだ。 アルファモンはそんな「クロニクル」シリーズの主役である「ドルモン」の、第2の究極体にあたる。 その名前やデザインが、さながらあのオメガモンとは対であるような存在でもあり、 武骨なカッコ良さや、「ロイヤルナイツのイレギュラー」という立ち位置などが功を奏し、 テレビアニメシリーズの主役にこそならなかったが、出番も多いので今なお高い人気を誇るデジモンの1体だ。 アルファモンは必殺技として、魔法陣から呼びだす光の十字剣「聖剣グレイダルファー」や、 仲間のオウリュウモンを剣へと変えて武装する「究極戦刃王竜剣」などを持ち、剣士としての印象が強い。 さらには時間を瞬間的に巻き戻す特殊スキル「アルファインフォース」を備え、 その立ち位置や人気に恥じない、かなりの強さを持つデジモンとなっている。 そんなアルファモンには、当初からもう一つの必殺技がある。 それが今回のメインテーマとなる「デジタライズ・オブ・ソウル」だ。 直訳すると「魂の電脳化」とでもなるこの技は、公式設定によると --- 背中の翼を広げて飛翔し、上空より巨大な魔方陣を展開して、異次元より伝説上のモンスターを召喚する『デジタライズ・オブ・ソウル』。 --- …とのコトで、いわゆる「召喚技」らしい。 召喚と言うからには何かしらのモンスターを出してもらわなければ成立しないはずだが、 我々デジモンファンは、アルファモンの登場から実におよそ19年もの間、この召喚の実態を知るコトはできなかった。 今回は、そのデジタライズ・オブ・ソウルの辿ってきた歴史と、 ついに我々の眼前に現れた「伝説上のモンスター」についてをまとめたコラムとなる。 ◇孤高隠士の伝説召喚 ~召喚以外の技として描写しちゃったのでもう遅い~ さて、文字の設定だけがあっても、具体的にどういう技なのかを見せてもらえないコトには話は始まらない。 ましてや今回のケースは「召喚」技なのだ。 せめて、どういうデザインのモンスターを呼ぶのかだけでも教えてもらわないと困る…のだが、 実はデジモンには、このテの「召喚技だけどどんなのを呼ぶのかは不明」というケースがぼちぼちある。 文字で「怪物を呼ぶ」と設定するのは簡単だが、具体的に怪物のデザインを考えるのにはそれなりの労力がかかる。 デジモンは設定担当とデザイン担当が別の場合が多いので、その認識の差によってうまれてしまう現象なのだろう。
そんなワケで実際にアルファモンが使ってきた「デジタライズ・オブ・ソウル」を見ていきたいところだが、 初登場の「ペンデュラムエックス」は、育成ギアというコトでその様子は説明に足るとは言い難い。 ヴァイスドットのアルファモン ![]() (自分の記憶が確かなら)ヴェノムインフューズと同じ技ドット ![]() まぁ、デジモンの世界ならウィルスも「伝説のモンスター」になり得る可能性はあるが、これだけでは参考にならない。 そしてデジモンクロニクルはと言うと、根本的に「デジタライズ・オブ・ソウル」を使う場面がない。 クロニクルはメディアミックスと言えば聞こえはいいが、 その実態は、かなりアッサリざっくりしている切り抜きシーン集のような形なので、そんな描写をやっている尺がない。 デジモンファンが初めて明確な描写によってデジタライズ・オブ・ソウルを見るコトができたのは、 2005年1月3日に上映…もとい放映された、「デジタルモンスター ゼヴォリューション」だ。 「クロニクル」のシナリオをベースに再構成したフルCG作品であり、主人公のドルモンが終盤にアルファモンへと覚醒進化する。 世界を救うため、イグドラシルの放った刺客であるデクスドルゴラモンと戦いに挑むアルファモンが放つ、今、必殺の
いや、デクスドルゴラモンの体を景気よく貫いて威力や迫力はかなりのものだが、いやちょっと待って。 --- 背中の翼を広げて飛翔し、上空より巨大な魔方陣を展開して、異次元より伝説上のモンスターを召喚する『デジタライズ・オブ・ソウル』。 --- ↑これは!? 一応、魔法陣を展開していたり背中の翼は広げてはいるようだが、肝心な部分が全くあってないんですが…。 「実はこのビーム自体がエネルギー状の体を持つ伝説のモンスターなんだよ」と、ムリヤリ誤魔化すのも厳しい。 かなりの謎だったが、兎にも角にもこれがデジモン史上初の「デジタライズ・オブ・ソウル」として表現され、 なまじこのゼヴォが「アルファモン主役の映像作品」であるばっかりに、後発の作品へもけっこうな影響を及ぼしてしまうのだった。 さて、ゲーム方面にも目を向けてみよう。 ゼヴォの放映から3日後、1月6日に発売の「デジモンワールドX」にて、アルファモンはコンシューマーゲームデビューを果たす。 今作は「ゼヴォリューションの裏側を描く」…といいつつ、実際は話が全然リンクしていないコトでも有名だ。 デジモン初のアクションRPGとなるデジワーXは、デジモンが剣や銃などの武器を持って戦うゲームとなっている。 なのでアルファモン自身を操作するコトができるし、「専用武器」として王竜剣ならぬオウリュウソードを与えられたりはしているが、 残念ながらこのゲームには「必殺技」の概念はないため、「デジタライズ・オブ・ソウル」は影も形もない。 次にアルファモンが登場したゲームは、2007年3月29日に2バージョン同時発売された ニンテンドーDS用ソフト「デジモンストーリー サンバースト/ムーンライト」だ。 前作にあたるデジスト無印は登場デジモンの少なさが欠点だったが、2作目になって登場数は倍増。 アルファモンは何故かナイトモンから通常進化するが、ちゃんとドルグレモンからもジョグレスで進化できるので安心だ。 そしてくらえ!これが大人気ハード・DSで表現されるアルファモンの必殺技! 強いヒカリのエネルギーで3レンジしんそくではげしくきりきざむ、デジタライズ・オブ・ソウルだ!!
技説明の段階から何かがおかしいが、説明通りに何やら光球が敵に向かって飛び、十字に切り刻むエフェクトが流れた。 光の十字で斬撃って…「聖剣グレイダルファー」の方なんじゃ…。 DSのデジストシリーズは技のエフェクトがまぁまぁしょっぱいコトでも知られるが、 これは表現力がどうこうではなく、マジで「こういうワザ」と認識されてしまっているのだろう。 (余談だが、DSのデジストシリーズはデジモンの名前や技名の文字数制限が10文字とたいへん厳しく、 デジタライズ・オブ・ソウルも、実際のゲーム中では「DIGIオブソウル」にされてしまっている) ゼヴォに引き続き、デジストでもこれっぽっちも召喚ではない技にされてしまった。 演出がしょっぱいデジストであっても、キウイモンのリトルペッカーなどはちゃんと描写してあったりするので、 その気になればなんらかのモンスターをエフェクトに用いて「召喚」の演出はできたはずだ。 (実はアヌビモンのアメミットもDSで描写されているらしいのだが、本題からズレるので調査は打ち切った) さて、日本では未発売の作品だが、 アルファモンをメインで扱った作品としては、「D-CYBER」というモノもある。 これはバンダイアジアで展開されていた育成ギアで、一言で言うと「海外版ペンデュラムエックス」。 内容はほぼ同じながら本体デザインが大きく異なり、折り畳み式の携帯電話のような形状をしている。 2004年に展開していたらしいので、ちょうど「エックスの少し後」という認識でいいだろう。
そしてこれには、同名のコミカライズ作品が存在する。 登場デジモンこそギアのD-CYBER、つまりペンデュラムエックスからの選出になっているが、 シナリオは完全にオリジナルな上に、主人公キャラたちも独自のものだ。 主人公たちをデジタルワールドに呼び寄せる悪者がメタルファントモンという時点で、興味を惹かれる人もいるだろう。 さて、この作品では主人公のパートナーがドルモンから早々とドルゴラモンへ進化した後、 転生して最終的にはアルファモンになるという中々忙しい進化っぷりを見せるのだが、 今回のコラムを書くにあたって「このコミックにオブソウルは出てたっけな?」と調べてみると…
想像以上にロックなデジタライズ・オブ・ソウルが炸裂していた。 確かにまぁ、王竜アルファモンでもオブソウルは使用可能とされているが…この発想はなかったわ。 まとめると、ここまで本来の設定である「召喚」としてのデジタライズ・オブ・ソウルは全く描かれず、 時にはビーム、時にはエネルギーカッター、そして時には究極戦刃王竜剣最終奥義と、てんでバラバラだ。 どいつもこいつも公式設定を守っていないという点を抜きにしても、 「デジタライズ・オブ・ソウル」という技名と実態がまったくあっていないのは気になるところだ。 何がどう「魂がデジタル化」しているつもりなのだろうか。 ただ、自分なりに考えてみると、恐らくは「テメェの命をデータの屑へと変えてやるぜ!」的なニュアンスで、 魂を分解させてしまう必殺技として、「デジタライズ・オブ・ソウル」を名乗らせていたのではないだろうか? さておき、こうも立て続けに的はずれ・オブ・ソウルが連続したコトで、一つの可能性が浮かび上がった。 「もしかしてオブソウルって、設定は後付なのでは?」という可能性だ。 というのも、恐らくアルファモンの公式設定が初めて掲載されたと思われる、 「デジモンペンデュラムエックス3.0」のページでは、オブソウルの説明が書かれていないのだ。
7月上旬に発売された「デジタルモンスターカードゲーム ブースター21~X殲滅部隊の猛威(X-DELETER)」 にて、カードで初収録されたアルファモンに記載されているので、この時点で既に存在はしているようだ。
「技があったのなら設定もその時からあるのでは?」と思うところだろうが、 何を隠そうデジモン、当時どころか現在でも設定がハッキリしない技がまぁまぁある。 つまり、 「デジタライズ・オブ・ソウルという必殺技があるらしいのは各部門のスタッフも知ってはいるが、 具体的にどういうワザなのかは分からないので、適当にでっちあげて使った」…という可能性が、まぁまぁありそうなのだ。 というか、当初からちゃんとオブソウルに召喚技という設定があったのなら、 それでもなおアニメやゲームで無関係な技に名前だけ引用してくる方が不可解だ。 なんらかの事情で召喚演出が難しいのだとしたら、何か別の技をつくればよかっただけのはず。 「どういうワザかは分からないけど、せっかくなので名前は使った」という形の方がスジは通っている。 アニメ、ゲーム、漫画のすべてが「本来の設定とは違うが、同時に全てがバラバラである」コトは、 逆にいえば「参考にすべき『正解』がまず存在しなかった」コトを示唆しているとも考えられる。 となると、いつ「召喚技」としての設定が明確になったのかが重要だ。 しかし残念ながら、このクロニクルの時期はその手がかりになりそうな書籍の展開が非常に乏しく、 出身地であるペンデュラムエックス自体、「まったく攻略本が出なかったギア」となってしまっている。 (代わりに当時のVジャンプが攻略データも掲載していたらしいので、 バックナンバーまで漁れればもっとちゃんとした情報が分かるかもしれないが、今回は断念) デジモンの公式設定というものは、気が付くと加筆修正されたりしているのだが、 「全体的な設定が現在の形になった時期」として知られているのが、アプリ「デジモン生活」の頃だと言われている。 …が、このデジモン生活、「アプリ」という時点で察しがつくだろうが、 2010年にリリースというコトで、クロニクルからは結構な間が空いてしまっている。 流石に2010年の情報をソースに2003年の話をするのは、ちょっと空白が多すぎて微妙なところだ。 何かないか、何かもうちょっとないかとウンウン唸っていると…ありました。 2005年11月19日発売の「デジモンアクセル アルティメットゲノム」に、そういえばアルファモンが登場していたのだ。 アクセルはエックスの次シリーズにあたる育成ギアで、最終弾にはドルモン系譜が特別枠で紛れ込んでいたんだった。 早速公式サイト…はとっくに吹っ飛んでいるので、アーカイブから漁ってみると… 結局のところ「オブソウルの設定がちゃんと当初からあったか」はハッキリしないのが残念だが、 少なくとも2005年末期の段階ではオブソウル=召喚の設定が明かされているので、 「これ以降の召喚していないオブソウルは全部ウソつき」だと断定できる判断材料になってくれるだろう。 …あれっ?じゃあ2007年に出たサンバースト/ムーンライトは……。 ◇魂のルフラン 上の方でもさらっと「アルファモンは今なお人気」と書いたが、 実はむしろ近年になるほどその人気が公式からも評価され、かなりの厚遇を受けている。 それだけ登場機会に恵まれてきた、近年のアルファモンとそのデジタライズ・オブ・ソウルを見ていこう。 ◆ゲーム・オブ・ソウル 「サンバムンラ」の八つ裂き光輪アルファモンは、 その後もDSデジストシリーズの「ロストエボリューション」「超クロスウォーズ」に流用される一方、 アルファモン自体は他のゲームには中々登場できない期間が続いていた。 アルファモンが久々に3Dモデルをもらってゲームに再登場したのは、 2013年に発売された3DS用ソフト「デジモンワールド リ:デジタイズデコード」。 同作では「X抗体編」のシナリオでけっこうな活躍を見せるなど扱いは中々だったが、 キャラクターとしては必殺技が「究極戦刃王竜剣」にされていたため、オブソウルの出番はなかった。 しかし、汎用技の「極太レーザー」が使用可能であり、 これは「正面につくりだしたサークルから名前の通りのレーザーを撃つ」というモノで、 疑似の疑似ながらオブソウルごっこを楽しむコトができた。これで汎用技になにか召喚っぽいのもあれば…。 さらにその後、2015年3月12日に発売されたPS VITA用ソフト「デジモンストーリー サイバースルゥース」にて、 アルファモンはシナリオ中でも特に大きくピックアップされるコトとなった。 非常に美麗なグラフィックと完成度の高いシナリオで人気の今作において、 アルファモンは「ロイヤルナイツの抑止力」としての本領を遺憾なく発揮すると同時に、 「アルファモンというキャラクター」への別方面からのアプローチが大胆に行われた。 現在も続くアルファモン人気の一角を担った作品であり、ゼヴォリューションに連なる出世作と言えるだろう。 今作では各デジモンごとに固有の必殺技演出がつくられているのも特長だ。 しかもアルファモンは必殺技として「王竜剣」と「デジタライズ・オブ・ソウル」の2つが採用されている贅沢仕様だ。 見よ、これが超高画質の美麗グラフィックから繰り出される新たなデジタライズ・オブ・ソウルだ! サイスルは「アニメで活躍したデジモン」の技演出はその作品を参考にしている傾向にあるので、 実は公式設定ガン無視であるコトを知ってか知らずか、ゼヴォリューションを踏襲してしまっている。 なお、今作の続編というか外伝にあたる「ハッカーズメモリー」になると 1部のデジモンのグラフィックや技演出が改善されたりしているのだが、オブソウルは特に変化なし。 しかもこのサイスル製の高品質なグラフィックは他のゲームでも流用されるコトが多く、 そういった作品でも、やっぱりオブソウル=謎ビームの輪が広まってしまっている。 ◆アニメ・オブ・ソウル 「アニメデビューはフルCGアニメ」という珍しい経歴を持つアルファモン。 その後、2006年に放映された「デジモンセイバーズ」にて一応の手書きアニメデビューを果たしはしたが、 そのセイバでは「後期OPのロイヤルナイツ集合シーンに混ざっているだけ」で、本編への登場はなかった。 やはり「人気キャラなので出し方が難しい」とか「これを手書きで動かすとか正気か」とか、ハードルが高いのだろう。 そのまま、キャラ人気に反してアニメへの登場は遅れに遅れ、 ようやくアルファモンが「アニメの本編」に登場を果たしたのは、実に2015年11月21日。 デジモンアドベンチャーの続編となる『デジモンアドベンチャーtri. 第1章「再会」』まで待つコトとなった。 同作では、アルファモンはコトもあろうに「イグドラシルによって放たれた刺客」という、 ロイヤルナイツで1番アルファモンにはやらせちゃダメだろうという驚きの役回りの、敵デジモンとして登場した。 まぁ、主役側にオメガモンがいるので、「オメガモンVSアルファモン」という対戦カードはアツいモノがあるし、 実際、第1章のそのオメガVSアルファの対峙を描いたキービジュアルは、ファンからも好評だった。 本編の内容はともかく、危険分子であるメイクーモンを抹消すべく登場したアルファモン。 無言を貫き、不気味で無慈悲な戦闘マシーンと化したアルファモンから繰り出される攻撃は… メイクーモンだけでなく、他の抵抗勢力への攻撃として両腕からビシバシと謎ビームを撃ってくる。 (ちなみにtri.アルファモンは結局声優のいない無言キャラで終わったので、技名の明示もなかった) なお、アルファモンは間をあけて5章にも再登場して乱闘に混ざってくるが、 そちらではオブソウルビームを使う描写は特になく、勿論何かを召喚するような攻撃を使うコトもなかった。 ◆フィギュア・オブ・ソウル アルファモンは人気のおかげで、近年になって立体化の機会にも恵まれている。 2014年に受注が始まった「S.H.Figuarts」を皮切りに、「ネクスエッジ」、さらには「超進化魂」なんかも出たりして、 オマケに2022年現在でも新たに「SHODO」が発表されたりと、ハイエイジ向け展開ではすっかり常連だ。 フィギュアというコトで、やはり基本的には「王竜剣」や「グレイダルファー」が付属したりしなかったりするワケだが、 ここでは「ネクスエッジスタイル アルファモン」をピックアップしたい。 あえてネクスエッジをピックアップした理由は、充実のオプションによるものだ。 公式の商品ページから引用すると --- ・幻の聖剣グレイダルファーが付属! ・王竜剣も付属! ・「デジタライズ・オブ・ソウル」をイメージしたエフェクトパーツが付属。 --- とのコトで、他にはないオブソウル用パーツがあるというのだから期待も高まろうというものだ。ああ、一体どんなパーツが… このゼヴォ発のオブソウルビームは、適当に開き手を前にかざすだけでもゼヴォの再現になるので、 そういう意味ではフィギュアの遊びの幅を広げてくれる側面もあり、いい演出だった、とも思える。 ちなみに、ネクスエッジアルファモンは2017年の商品だったが、 リニューアルバージョンが2021年の12月末に発売されたので、現在でも手軽に買うコトができます(デジタライズ・コビ・ヲウル) こうして近年のオブソウルをまとめてみると、 どうやら完全に「デジタライズ・オブ・ソウル=謎ビーム」という図式ができあがってしまったようだ。 ウソも100回言えば真実になる、みたいな言葉があるように、召喚技も10回くらい発射すればビームになってしまうのか。 「当初はバラバラだった演出がちゃんと一つにまとまった」と言えば聞こえはいいが、 まとまって出した答えが公式設定をガン無視である点はなんともだ。 せっかく調べたので一応これも記しておくと、 アルファモンは2017年に「アプリモンスターズ」のカードゲームに、特別ゲストデジモンの1体として参戦収録。 一応カードには「デジタライズ・オブ・ソウル」の記載はあるが、過去のカード同様、実態の手がかりにはならない。 同時期に展開していたデータカードダスの方にも呼ばれていれば、何か進展があったかもしれないが…。 また、2018年に発売された「デジモンペンデュラムVer.20th」にて、 アルファモンは初めて16ドット ![]() さらにその後、2019年。 「X抗体15周年記念」というコトで、新たなギア「デジタルモンスターX」と、 デジモンクロニクルの続編となる「デジモンクロニクルエックス」の展開がスタートした。 …が、シナリオで主に活躍するのは新たにX抗体を取得したロイヤルナイツや七大魔王であり、 アルファモンは「前作主人公」としてオイシく活躍…するかと思いきや、「味方A」くらいの扱いで終わってしまった。 (余談だが、クロニクルエックスはデジモンウェブに掲載されていたシナリオの他、 「デジタルモンスターアートブック Ver.X」にて、特別書き下ろしの「THE LAST EPISODE」が掲載されている。 ウェブ版は全編にわたって目を覆いたくなる出来だったが、 アートブック版は真っ当に面白い読み物になっている。なお、結局オブソウルの出番はない) ◇夢じゃない あれもこれも すっかり10年以上も謎ビームが定着してしまったデジタライズ・オブ・ソウルだが、 まあそれはそれとして、時折「オブソウルの召喚はどういうワザなんだろう」というのを考えるファンもいた。 なにしろ、どれだけ色んな媒体でビームや斬撃が撃たれようと、公式設定には依然として「召喚」の文字があるのだ。
アルファモン自体が屈強なデジモンなのに、わざわざモンスターを呼び寄せる必殺技、 というのは、考えてみるとちょっと不自然なところがなくもない。 ぶっちゃけた話、オブソウルビームのように「腕から魔法のビームを撃つ技」の方が、 作劇的にも使い勝手は圧倒的に上なのは否めなかったし、グレイダルファーも魔法陣から呼び出す剣なので、説得力もあった。 俺が…いや、同じ考えに至った人もいたが、 あれこれ考えて思いついたオブソウル召喚の仮説の1つが、「オウリュウモンを呼びだすコト」だった。 つまり、オウリュウモンがいない世界においても「デジタライズ・オブ・ソウル」でオウリュウモンを召喚し、 アルファモンの最強形態である究極戦刃王竜剣状態へと強化できる特殊能力、といった具合だ。 これであれば、「アルファモンがわざわざモンスターを召喚する必然性」や、 「伝説のモンスターのデザインを考える手間」の問題をクリアできるし、 ゼヴォ以降何度も出てくる「オウリュウモンがいないのに平気で王竜剣を使うアルファモン」にも釈明がつけられる。 しかも、オウリュウモン自身は「エックス2.0」における登場デジモンなので、 つまりは多少ムリヤリながらもアルファモンとは「別次元の存在」と位置付けるコトもできるし、 クロニクルでは本当に「王竜伝説」として語り継がれる、まさしく「伝説のモンスター」でもあるのだ。 …とはいえ、あれこれ考察してみても、所詮はファン側の妄想。 いつしかファンたちも「デジタライズ・オブ・ソウルの真なる姿」が描かれる未来の訪れは、もはや頭になくなっていただろう。 しかして、時は2022年へと至り、ついに…。
フォーマットも新たに好評展開中の「デジモンカードゲーム」。 その中でXデジモンに主軸を置いた新ブースター「Xレコード」の新カードとして、 ついに、アルファモンが初登場した2003年から19年もの時をかけて、 背中の翼を広げて飛翔し、上空より巨大な魔方陣を展開して、異次元より伝説上のモンスターを召喚する『デジタライズ・オブ・ソウル』。 が、まさに完璧な姿で描写されるに至ったのだ。 ◆記念すべき実際のツイート これには流石にファン側も驚いた。 いや、「デジタライズ・オブ・ソウルの設定」を気にするデジモンファンの数などたかが知れているのだが、 「デジタライズ・オブ・ソウルの設定を気にするデジモンファン」、そのすべてに激震が走ったのではないだろうか。 ここで初めて描かれた伝説のモンスターは、見て分かるとおり「ドルゴラモン」によく似た姿をしている。 黄色いオーラ状の竜であるという点では、アルファモンと同じロイヤルナイツ、ガンクゥモンのヒヌカムイにも近いと言える。
この記念すべきカードイラストを担当した「sasasi」氏は、 近年になって海外のデジモンのゲームビジュアルや、国内でもデジカでも数多くのイラストを手掛けて活躍中の人物だ。 イラストの美麗さは言うまでもないが、特筆すべきはなんといっても本人が以前からデジモンファンである点だろう。 デジカに関しては、発注側もデジモンに対するかなりのリスペクトがあるようだが、 (「◯◯モンのイラストですが、過去のこのゲームのシーンを再現してください」的な注文があるとか) そこにイラストレーター側の熱意も加わるコトで、今までになかったまさかのサプライズでファンを湧かせている。 今回の件では「設定に即してビジュアル化させていただけたのが本当に嬉しい」とコメントしており、 他でもないこのsasasi氏もまた、「デジタライズ・オブ・ソウルの設定を気にするデジモンファン」の一人だったワケだ。 本人のツイートを直接貼り付けるのはなんとなく気が引けるので引き続き引用で失礼するが、 伝説のモンスターのデザインは「ドルモンのデジコアにあったドラゴンのデータ」が元になったイメージで、 なので、「デジコアの空想が生み出した架空のデジモン」という設定を持つ、ドルゴラモンに近い姿であるらしい。 なるほど。上の方で「オウリュウモンもアリだよね」と言ったが、 ドルゴラモンであれば「アルファモンのパラレル的存在」と位置付けられるので、より「異次元のモンスター」らしさが高い。 さらに自分の系譜に縁のあるオーラで攻撃するというのも、エアロブイドラモンのドラゴンインパルス的で馴染みやすい。 また、氏のこれらの言及からして「元々デジタライズ・オブ・ソウルのデザインは設定されてなかった」のが窺える。 そりゃまぁ、デザインが無いってんならみんな謎ビームで済ませちゃうよな…。 「長年死蔵されていた設定が、公式の有志によって正しい形で日の目を見る」という点では、 これまたつい最近アニメで披露されて話題になった「オメガモンのミサイル」を連想するが、 オメガミサイルに関しては一応当時から資料はあったらしいので、今回のオブソウルの方が難易度の高い仕事だったコトだろう。 いやあ、良いモン見させていただきました。 そんな記念すべき・オブ・ソウルなデジモンカードゲームXレコードは2022年2月25日発売!(デジタライズ・コビ・ヲウルⅡ) ただ惜しむらくは、このイラストだけではまだ「伝説のモンスターが具体的にどう攻撃するのか」までは分からない所だろうか。 オーラ状の体をしているのだし、デュナスモンのブレス・オブ・ワイバーンのようにそのまま突撃するのが一番ありそうだ。 だが待てよ。もしこの伝説のモンスターが緑色のビームを撃って攻撃してくれれば、 今までの数多の謎ビーム・オブ・ソウルも「召喚省略」という形でそれなりに救済できるのでは…!? こうしてめでたく「真のデジタライズ・オブ・ソウル」が出てきたのはいいが、 急に全てのオブソウルが統一されるのは現実味がないし、ビームと召喚、2つのスタイルを使い分けていくコトになりそうだ。 なぁに、デジモンには既にそういう設定に対して描写がハッキリしない技がメチャクチャあるので、今更どうってコトもない。 むしろ、何かこじつけでこの2つの違いをうまく説明できないものだろうか。 伝説のモンスターが「ドルゴラモンに似たオーラ」であったコトから、 召喚技として正しくデジタライズ・オブ・ソウルを唱えるには、「ドルゴラモンのデータが必要」というのはどうだろう。 これなら、進化ルートからドルゴラモンをバニシングしていたゼヴォリューションや、 「ドルゴラモンになっていた経験はなかったから」とかで恩人さんや杏子さんをフォローできそうだ。 …あっ、でもしっかりドルゴラルートを通っていたD-CYBERが…。やはりこじつけるには無理があるか。 ともかく、「デザインを獲得」という大きな一歩を歩んだ真のデジタライズ・オブ・ソウル。 まだまだアルファモンはこれからも活躍するのは間違いないし、今後の更なる活躍に期待したいところだ。 ここまでオブソウルの情報をまとめた身としては、 伝説のモンスターがビーム撃つわ光で斬るわ王竜剣振るうわの全方面リスペクト・オブ・ソウルをやってくれれば、心から爆笑できると思う。 ◇I LOVE YOUR SOUL 実に爽やかな気持ちでまとめ。 まさか今になって正しいデジタライズ・オブ・ソウルが見られるとは考えてもなかったので、 「これはデジモン史上に残るニュースだ、まとめねばなるまいよ」とナルハヤで仕上げるに至った。 長年デジモンファンをやってきている身としては、 こんな風に「長い年月をかけてきたからこそ感じられる感慨」があるのは嬉しく思う。 最近ファンになった人たちや、デジタライズ・オブ・ソウルの設定なんか知らんかったという人にも、 「20年以上の歴史があるコンテンツには、こういうドラマがあるんだ」という部分を楽しめてもらえたなら幸いだ。 アルファモンは出番が多いだけに、ミスというか歪みも多かったデジモンでもある。 今回のオブソウル以外にも、「オウリュウモンいないのに王竜剣使っちゃう問題」や、 「王竜剣状態なのに羽が生えてないミス多すぎ問題」など、他にも色んな持ちネタがある。 しかし、それらの問題も徐々に正しい形に整備される傾向にあるし、 こうしてめでたく真のデジタライズ・オブ・ソウルをも獲得するに至ったワケだ。 公式側にも理解者というか、「デジモンをどうにかしてやりたい」という志を持ったスタッフが増えてきた今なら、 アルファモンがさらなる完全な姿へと至る次のステップとして、 強すぎるし扱いづらすぎてほぼ封印設定になってるアルファインフォースも、いつかなんとかしてもらえるかもしれない。 コラムトップに戻る サイトトップに戻る |