デジタルモンスター
戦うたまごっち |
発売日:VER.1 1997年06月 ~ VER.5 1998年07月
定価:1980円(税別)
公式サイト※消滅済
1996年、バンダイから「たまごっち」という電子ゲームが発売された。
「小さなゲーム機の中で疑似ペットを育てる」のがコンセプトで、可愛いキャラクターも相まって、社会現象レベルの大ブームになった。 流行りすぎて生産が追いつかないほどで、混乱に乗じて価格がインフレしたり、パチモンが溢れかえったりもした。 (自分が覚えている中では、初代が定価の倍の4000円ぐらいで売ってたり、同シリーズ「てんしっち」が3万円ぐらいで売ってたりもした) そんなたまごっちだが、「可愛いキャラ」を押し出していたためか、女性人気に対して男子ウケはそれほど芳しくなかった。 そこで、たまごっちの「可愛いキャラクター」を「カッコイイモンスター」に置き換えて「男の子向け」に作り直したモノ、 それこそが、現在にまで続く、我らが「デジタルモンスター」の始まりだったのだ――。 というワケで、今回は初代デジタルモンスターの話。 名実ともに「デジタルモンスターの原点」ではあるが、今となっては知らない、触ったコトのない人も多いだろう。 この育成ゲームとしての「デジモン」は、「たまごっち」と基本は同じ。 小さな本体(デジモンでは「ドック」と呼ばれる)の中で、デジタルペットのキャラクターを育てるゲームだ。 たまごっちとデジモンの大きな違いは、たまごっちが「育成ペット」止まりであったことに対し、 デジモンは本体を2つ接続して育てたモンスター同士のバトル、つまり「通信対戦」が加わったコト。 これが功を奏して男の子に大ウケし、デジモンも小学生男児を中心に大ブームとなった。 |
≪本体≫
デジモンのパッケージはたまごっち同様にブリスターとなっていて、台紙の前に本体が梱包されている。 説明書は台紙の間に挟まれている。「じゃばら」になっていて、折り畳むとミニブックになる仕様だ。 本体「ドック」の大きさは 縦4cm×横6cm×高さ1.5cm といったところで、手のひらサイズより一回り小さい。 素材が違うのか、ほとんど同じ大きさのたまごっちに比べても、重量はかなり軽く感じられる。 前面の左側には液晶画面があり、少し窪んで作られているおかげで傷がつきにくい工夫がされている。 画面は当然モノクロだが、液晶後ろに「背景」となる台紙が入っているのでただの白黒ではなく、画面の見栄えはなかなか綺麗だ。 画面の周りには、本体と同じくプラスチック製のフレームが取り付けられている。 フレームは檻のようなデザインで、いかにも「ドックの中でモンスターを飼っている」雰囲気が出て秀逸。 しかしこのフレームのデザインは、歴代ギアでも初代にしか採用されていないのが残念。 フレームは少し爪で引っかけて引っ張れば外すコトが可能で、他のフレームとの交換もできる。 …が、フレームは細く頑丈ではないので、扱いに気をつけないと折ってしまうコトもザラ。 見栄えを除けば無ければ困るモンでもないが、バラ売りはされていなかったのでヘタに触らない方が賢明だろう。 (開発スタッフが監修している攻略本「デジタルモンスター究極本シリーズ」ではフレームの付け替えが紹介されていたが、 こんなの子供にやらせてもどうせヘシ折るに決まってるんだから言わない方が良かったような…) ドックの右側にはボタンが縦に並ぶ。ボタンはゴムっぽい軟質素材で、油断するとハムスターにかじられるぞ。 ボタンは上から Aボタン:カーソル移動 Bボタン:決定(カーソル選択なしの状態では「通常画面⇔時計画面」の切り替え) Cボタン:キャンセル という役割。 この他、AとCボタンの同時押しで「音声のオン・オフ」となり、時計画面で同時押しをすると時計合わせモードになる。 BとCの間にある小さなボタンはリセットボタンで、ここを爪楊枝などの細いモノで押すと、本体データをリセットできる。 裏面には電池ブタがネジで取り付けられている。使用電池はミニゲームだとお馴染みのボタン電池、「LR44」を2つ。 新品の電池で大体数ヶ月は動くが、電池切れ=育てているデジモンとのお別れなので、電池残量には気を遣うコトになる。 (確実ではないが「時計を止めてから電池を1個ずつ素早く交換」できれば、デジモンを残しながら電池交換は可能) 電池残量が僅かになると、通常画面の表示が消え、なにかボタンを押すと数秒だけ復帰する形になる。 この瀕死状態でもデジモンの育成は問題なく可能だが、大人しく電池を交換した方がいいだろう。 本体の上部には「通信用コネクタ」、本体右側にはキーホルダーとして使うためのフックがついている。 コネクタは常に野ざらしの割に意外と丈夫なようで、そうそう接続機能が死んだりはしない。 一方、俺の持っていたVer.2はフックがある日根元からもげてしまったので、扱いには多少注意が必要かもしれない。 |
≪ゲーム開始≫
本体の電池ボックスに挟まれている絶縁シートを外すと電池が電極に接触し、電源が入ってゲームが動き出す。 (絶縁シートを抜き差しすることでバグを起こしてムリヤリ完全体を作ったりする裏ワザがあるらしいが、 俺がやっていた裏ワザは「電池取り外し」式だったのでよく知らない。どちらにせよ、本体にダメージがあるっぽいのでやらない方がいい) 絶縁シートを抜く、あるいはリセットを押すと画面にデジモンの卵、デジタマが現れる。 デジタマからデジモンが生まれてくるまでこのまま待機だ。 …と、このまま待っていても永遠にデジモンは生まれない。 「時計あわせ」を済ませないと、本体時計が時間をカウントし始めないからだ。 説明書を読まずに初めてプレイした時は高確率でひっかかる、中々レベルの高いトラップだと言えるだろう。 ボタン操作で時間を設定し終えてから、5分後にデジモンが生まれるぞ。 ≪ゲーム内容≫ 攻略本のページを拝借して説明。 画面は中央がデジモンが動き回るスペースで、その上下には育成コマンドのアイコンが配置されている。 普段の画面では、育成中のデジモンが↑のような感じに動き続ける。(このドットは参考に自分が打った非公式のもの) 初代ギアは動きのパターンはどのデジモンでも共通だが、 基本ドットが正面を向いているデジモン(コロモンやメラモンなど)は振り向く動作がないため、少し違って見える。 画面端ではデジモンが大きく動き、大体のデジモンは「吠える」が、ピヨモンなど一部は何故か「喜ぶ」モーションになっていたりする。 (上のエグザモンは、左端で吠え、右端で喜ぶオトクな仕様にしているが、実際の初代ギアは「吠え」「喜び」のどちらかしかしない) プレイヤーが何かコマンドを実行、あるいはデジモンが進化、ウンチ、睡眠しない限りは延々とこの動きが繰り返される。 芸が無いように思うかもしれないが、意外と暫く見ていても飽きない。水槽の中の魚を眺める感じに似ている。 生まれたばかりのデジモンはまだ赤ちゃんでも、現実同様の時間経過でどんどん成長し、姿を変えて大きくなっていく。 たまごっちの場合は「変身」と呼ばれていたが、デジモンのそれは「進化」と呼ばれる。 br> デジタマから生まれた時は幼年期Ⅰで、 そこから 幼年期Ⅰ → 幼年期Ⅱ → 成長期 → 成熟期 → 完全体 と、進化の度に世代が上がっていく。 幼年期Ⅱまでの進化はチュートリアルを兼ねた一本道だが、成長期、成熟期への進化は育て方によって分岐していく。 適当に育てても生きてさえいればなんらかの成熟期には進化するが、「完全体」への進化には特定の条件をこなす必要がある。 完全体はいわゆる「隠しキャラ」であり、進化条件が不明瞭だった当時はレアな存在だった。 尚、進化シーンは割とアッサリしていて、画面がバチバチと激しく点滅したかと思ったら一瞬で進化後の姿に切り替わり、 その後デジモン自身は何事もなかったかのようにそのまま歩き始めたり、時間が夜更けならそのまま寝る。 初代ギアはまだ進化スピードが遅く、VER.1なんかは、バトルが可能な成長期になるまでに2日ほどかかる。 同シリーズ中でもバージョンが新しいほど進化スピードは早く、VER.5では誕生から24時間以内で成長期まで進化するようになる。 こんな感じで「強いデジモンを目指して育成し、バトルで勝つ」のがデジモンの主な目的だ。 通常のゲームとは違い、「買ってきた!今日は徹夜で遊ぶぜ!!」と「自分がやりたい時間にやる」のではなく、 リアルタイムを共有し、「生活の一部となる」のがこの育成ゲームだ。 デジモンは時間が経つと腹が減ったり筋力が衰えたりするので、呼び出しに応じてお世話をする必要がある。 お腹が減ったり筋力が低下する間隔「パラメータサイクル」も種族ごとに異なり、 例えば生まれたての時は3分ごとにガンガン弱っていくが、育つにつれてサイクルは約40分以上に伸び、途端に安定する。 お世話と言っても大体2~3時間に一度チェックすれば完璧なぐらいなので、 生活を圧迫しない程度にお手軽ではあるが、逆に言えば結構ヒマなゲームなのは否めない。 なので、「ブームで周りも皆がやってる状態」にでもならない限り、「自分は今ドハマリしてまーす!」となる類ではなかった。 このへんが、デジモンに限らず、電子ペットがだんだんと下火になっていった理由ではないかと思う。 (尚、メインターゲットである小学生の子供は学校の時にこの「時間が連動してしまうデジモン」をどうするかだが、 大体は「学校にコッソリ持っていく」「家族に世話をしておいてもらう」「時計を止める、あるいはずらして寝かせておく」のが主流。 俺の周りでは自分を含め、リスクの少ない「寝かせておく」パターンが多かった) 少し戻ってコマンドの話。 コマンドを実行するにはAボタンを押して上の列から下の列へ、①番から⑦番のアイコンへとカーソルを合わせることで行う。 (右下=⑧番の「呼び出し」ははデジモンからの呼び出しサインなので、コマンドに含まれず、選択もできない) コマンドの順序は使用頻度の高いモノを優先した順番になっていてよく考えられているが、 それでも①→②→~~→⑦と決まった順番にしか移動できないのは少し不便かもしれない。 各コマンドの詳しい紹介は攻略ページを参照。 エサをあげたり、ウンチを流したり、デジモンが寝れば電気を消したり、そしていつしか死を迎えたりと、 ゲームの基本が「たまごっち」で完成されているおかげで、デジモンのコンセプトは最初からしっかりしている。 「電子ペット」と言われるだけあってゲームの中でしっかりとデジモンが疑似生命を持っていて、 さながら本当のペットのよう…というのは言い過ぎだが、育ててみると中々しっかり愛着が湧くし、死ぬと悲しくも思う。 (余談だが、俺の初代ギアの最長寿記録はスカルグレイモンの24歳。ヘボテイマーでパートナーに申し訳ない) ここまでなら「たまごっち」と同じで、ただペットを育てて愛でるだけのゲームだったが、 デジモンには新たに「対戦要素」が加わったのが素晴らしく、これのおかげで一気に世界観が広がった。 対戦要素の有無がゲームのプレイバリューにどれだけ貢献するかは言うまでもないだろう。 バトルと言っても戦略性などはなく、「接続する」→「双方の攻撃を見守る」→「どっちかが勝つ」というだけのもので、 言ってしまえばほとんど運ゲーなのだが、シンプルだから遊びやすく、運ゲー故に勝負が分からない魅力もある。 バトルの強さでまず重要なのは、デジモンの「種族」だ。 攻略ページに載せてあるので詳しくは割愛するが、簡単にまとめると もんざえ系>マメ系>メタグレ系>規則的成熟期>不規則成熟期>ヌメ系≧成長期 …という、現在のデジモン事情から考えると信じられない力関係だ。 見た目が強そうに見えない奴の方が強いギャップも面白いが、 成熟期時代に弱いグループの方が、強い完全体に進化できるというバランスになっているのも面白い。 最強のもんざえモンを目指すには、最弱のヌメモンでバトルを勝ち抜かなくてはならないコトになる。 勿論、ポジションが有利であればバトルで必ず勝てるというわけではない。 過去の公式大会では、ヌメモンがアンドロモンを倒したという逸話もあるそうだ。 バトルの強さは他にも、 筋力の維持と、ミニゲームを兼ねた「トレーニング」でいくらか上昇させるコトができる。 これはたまごっちでいう「ごきげんアップゲーム」に当たるものだが、 筋力の維持だけでなく、「鍛錬」という明確な目的も持たされるコトで、ゲームとしての完成度が上がっている。 トレーニング内容は、バージョンごとに違うのも特徴だ。
ちなみに、バトルは開始時の接触不良により、たまに「一人バトル」となることがある。 バトルの勝敗はバトル開始時点で決まっているため、バトルは問題なく継続される。 バトルした側は結果によって勝率が変動するが、バトルしなかった側は全くのノーカンで、体力も減らない。 これを活用すれば片方を犠牲にせず安定して勝率を上げられそうなもんだが、 確実に一人バトルに持ち込める保証は無いし、 バトルさせたくない側だけバトルになった挙句「一人負け」となった時は、悲しい事態になる。
デジモンにはそれぞれ「必殺技」があり、それに応じた技ドットが設定されている。 例えばグレイモンの「メガフレイム」なら炎のような技ドットが出るし、 ヌメモンの「ウンチ」は、デジモンが普段排泄するウンチと同じモノを技ドットとして繰り出す。 この頃はまだ、残念ながら「各デジモンごとに専用の技ドットがある」とまではいかず、 「各バージョンのポジションごとに決まった技ドットがあり、それに合わせた必殺技が設定されている」状態だが、 この「技ドット」もまた、ギアの中のデジモンのキャラ付けの一環となっているのは間違いない。 Ver.2以降のシードラ系、メタグレ系、もんざえ系に限られるが、「Ver.1か自分と同バージョン」以外とバトルすると、特殊技が出るようになる。 その後Ver.1か自分と同じバージョンとバトルするまでは、トレーニングを含めずっと特殊技のままになる。 ちなみに、別に技が変わっても強さに影響はないので、「技が2つあって得したなあ」という気分の問題。 |
≪各バージョン紹介≫
初代デジモンはVer.1からVer.5までが発売され、バージョンごとに登場デジモンが異なる他、 「本体色と背景」「トレーニング方法」「デジタマ、ドクロや技などの一部ドット」など、見た目や細かい所は色々違う。 とは言え大きな違いはないので、どのバージョンを買おうか悩んだ時は、本体色や登場デジモンの好みで考えると良いだろう。 デジモンは各バージョンに14体が登場し、 その内訳は「幼年期Ⅰ・Ⅱ:各1体 成長期:2体 成熟期:7体 完全体:3体 と、同じバランス。 バージョンごとに登場デジモンは違っても、「成長期A」や「成熟期B」などといった「ポジション」は共通している。 このポジションごとの名称は公式では存在しないが、 とりあえずこのサイトではVer.1のデジモンを基準にして、「グレイ系」「ティラノ系」などと呼んでいる。ファンサイトでもよく使われるものだ。 ここからは、各バージョンの登場デジモンやちょっとした解説。 ※デジモンのドットの上にマウスを乗せると、デジモンの名前が表示されます。
最初の作品だけあって、登場したデジモンの全員が現在でもそれなりにメジャーな扱いを受けている。 しかし、この時点では「看板デジモン」だったティラノモンが、後にグレイモンにあそこまで差を開かれるとは…。 (この時点で完全体が「メタル"グレイモン"」なあたり、最初から優遇されていたとは言い難いが…) Ver.1はシリーズ中でも後続のバージョンと違った点が多く、 例えばドット面では、ボタ、コロ、デビ、メラ、マメと、「正面を向いたデジモン」が多いのが特徴。 デビモンやメラモンは後の「ペンデュラム3」で再登場した際に、斜め向きにドットが直されている。 正面向きドットもそうだが、この頃はまだデジモンにも「たまごっち」の面影が多く見られる。 トレーニングが一発勝負ではなく5回勝負なのもたまごっちの「ごきげんアップゲーム」の名残だし、 登場デジモンの半数ほどがフトンに入って寝るのもVer.1の特徴だ。 フトンで寝るデジモンはドットとしても面白いし可愛くて好きだったのに、すぐなくなってしまったのは残念。 (10年ほど後の「デジヴァイスic」にて、「デジブトン」という睡眠回復アイテムが登場し、一瞬だけ復活した) 尚、半年ほど経ってVer.4が発売された頃には、既にVer.1は中々入手できない状況だったようだ。 しかしカラーバリエーションや出荷数が多かったおかげで、現在でも中古市場などにそれなりに転がっている数は多い印象がある。
本体色にカッチョイイ「クリアカラー」が出たり、 トレーニングが一発勝負のスマートなモノになったり、「特殊技」の概念が現れたりと、VER.1の頃より各所が洗練された。 以降のバージョンも、最初のVer.1よりはこのVer.2を基準に作ってある感じだ。 登場デジモンはVer.1の対や類似性を意識しているキャラが多いが、 それと同時に、昆虫型、獣型、鳥型、植物型…と、デジモン種族のバリエーションが大きく広がった。 そのためか、Ver.2のデジモンは現在でも「○○型デジモンの代表」として優遇を受ける場合が多い。 (実際、カブテリ、ガルル、エンジェ、バードラと、このバージョンから4体もの成熟期がアニメで主役となった) また、ガルルモン以外の成熟期はすべて「Vジャンプ」誌上で行われたコンテストから選ばれたデジモンとなっている。 ただし、名前やデザインにほとんど原型は残っていない。 恐らくは、「こういうモチーフのモンスターを出す予定は決まっていたので、それに掠ったハガキを採用していた」のだろう。 完全に余談だが、Ver.2は俺が初めて買ったデジモンということもあり、かなり思い入れがある。 持っていたカラーは後発のクリアスケルトンだったので、少し遅れてデジモンの世界に入っていたようだ。 当時、友人に見せてもらうまで全くデジモンの存在を知らなかった俺が、まさかここまで足を突っ込むコトになるとは…。 その俺が買った思い出のVer.2はこのページ内でも何度か写真に登場しているが、 チェーンが取れていたり、元のフレームがどっかいったり、機能停止していたりと悲惨な状態だ。 形あるものはいつか壊れると言うが、初代デジモンを今でも持っている人は、これからも大切にしてあげて欲しい。
成熟期や完全体に主役系となったデジモンがいないせいか、今見ると登場デジモンが若干地味な感じ。 地味さの原因の一つが、メタグレ系の完全体である「アンドロモン」のドットがどう見てもゴリラだからだろう。 いや、確かに全バージョンのメタグレ系がドラゴンってのもそれはそれでマンネリだとは思うが、 かといってこのゴリラはちょっと…。ていうか、なにも猿をモチーフにしたエテモンがいるこんな時に出さんでも。 当時の俺は、アンドロモンのドットを見て「これがエテモンか、じゃあ他にドラゴンっぽい完全体がいるんだな」と思い込んでたぐらいだ。 ちなみにエテモンとは、当時Vジャンプのデジモンコーナーを担当していた人物の「デジモンキー」を元にしたデジモンだ。 フォローしておくと、今の目で見るとちょい地味かもというだけで、当時はちゃんと他の弾に劣らない人気があった。 本体のクリアパープル、クリアオレンジのカラーリングや、「連打式のトレーニング」なども好評だったと記憶している。
Ver.4の登場デジモンは幅広く、王道の恐竜から「おやじっちもどき」まで、シリーズ中でも屈指の何でもござれっぷりだ。 それ故に初代ギアの中でも一位二位を争うほど滅茶苦茶な進化が炸裂しているが、それも初代の醍醐味。 登場デジモンの内、幼年期や成長期のピヨモン、パルモンは後に2体ともがアニメの主役となるが、 逆に成熟期以降は主役系とは無縁という不思議な取り揃えをしている。 勿論、主役系が少ないというだけで、レオモン、クワガーモン、メガドラモンやピッコロモンと有名どころは多い。 Ver.4は、内容は変わらないが本体と背景が特別仕様の「D-1スペシャル」が発売された。 この頃「D-1グランプリ」という大規模なデジモンの大会が開催されていたため、その記念で出たバージョンだ。 (それがVer.4の発売時期と重なっていただけで、別に特別版が出るほど突出した人気がVer.4にあったワケではない) D-1スペシャルは各色10000個の限定生産だったが、お店で普通に買えたので俺もメタリックブルーを持っていた。 しかし、どういう経緯があったのか覚えがないが、今手元にあるVer.4は通常のブルーなのだった。かえして。
妙に攻撃的な顔ぶれが揃っており、実際エクスティラノモン以外は全員ウィルス種だという偏りっぷりがイカスぜ。 最終弾となったこのVer.5は、本体、登場デジモン共に扱いがシリーズ中でも異常なほど冷遇されている。 ・カラーバリエーションが1色しかない ・そもそも出荷数が少ない ・トレーニングがVer.2の使い回し ・SSソフト「デジモンテイマーズVer.S」に唯一登場できなかった ・PSソフト「デジモンワールド」に引き続き未登場 ・WSソフト「デジタルモンスターVER.WS」に案の定未登場 ・デジモンワールド2に登場したVer.5の完全体デジモンは誰も究極体に進化できない ・基本的にワルモンしかいないため、アニメや漫画に出られても敵(しかも大抵はザコ)扱い ・Ver.5に使用されたドットは、10年後に発売される「デジモンツイン」のフライモン登場まで一度も再利用されなかった …といった具合。妙に扱いが悪いのは、2ヶ月後に発売を控えた新シリーズ「デジモンペンデュラム」があったためだろうか? しかし、何もわざわざパッケージまでデジモンでなくドックを載せるなんて地味なデザインにせんでも…。 こんな冷遇を受けている弾に限ってダークティラノモン、メタルティラノモン、エクスティラノモンが登場し ティラノモン特集が今更行われていたコトには、何となく必要以上の深い意味を感じる。 Ver.5と言えば、登場デジモンのドットがゴジラの怪獣にしか見えないというのも有名な話だろう。 上のドット一覧だけでもあからさまにゴジラやモスラがいるのが分かるし、 デビドラモン(デストロイア)や、タスクモン(スペースゴジラ)なんかは、明らかに公式絵よりゴジラ怪獣に似ている。 何故こんなコトになったのか? どうやら、元々「モスラのたまごっち」がもっと続く予定だったのが、企画がお流れとなり、 既に打つだけ打っていたドットが勿体無いからVer.5に流用された…という話を聞いた。 渡辺けんじ氏自身もそんな感じの経緯が実際にあったと発言していたので、確かな話だ。 まあ、デジモンのドットが公式絵に似ないなんて珍しくもないし、これはこれでドットとしてはよくできている。 それに、「このドットからあそこまで違うデザインを描き起こしたデザイナーさんは凄い」とも思わされる。 前述のとおり、Ver.5の後に始まった新シリーズ「デジモンペンデュラム」にバトンを託し、初代デジモンは終了となった。 しかしシリーズが変わっても、「D-LINK」という共通規格の通信要素により、初代も暫くは現役の輪に混ざるコトができたのは嬉しかった。 ちなみに、海外ではペンデュラム1と似たようなメンツのVer.6なんてモノが発売されていたようだ。 |
≪16×16ドット≫
ギアの話題で個人的に「これは外せない!」と思うのが、「ドット」そのものだ。 デジモンはたまごっち同様、最大「16×16」のマスで打たれた、通称「16ドット」が使われている。 ドットとしての細かさはファミコン並だし、色も白黒しかないため表現力に乏しいはずのこの16ドットだが、 これがまたよくできていて、ドックの中でイキイキと動き回るのだ。 まず単純に凄いのが、16ドットでデジモンのデザインを再現しているコト。 こう言ってしまうとナンだが、「たまごっち」ぐらいにシンプルなデザインなら、16ドットで再現しててもそう凄いとは思わない。 デジモンとて、幼年期ぐらいなら似たようなモンだが、成長期、成熟期、完全体と進化し、 本来のデザインがどんどん複雑化していくにも関わらず、それに対応したドットがゲームに使われているのは凄い。 勿論、デザインのすべてを表現できているワケではないが、16ドット化による「デザインのデフォルメ」テクニックは目を見張るモノばかりだ。 (尚、デジモンの「デザイン」と「ドット」のどちらが先にできあがっているかは場合によるらしい)
デザインではなく「モチーフらしさを強調」したドットもあるが、これもキャラ付けとしては効果的だ。 また、マメモン系のように「ドット絵としての面白さありき」で作られたキャラクターがいるのも面白い。 マメモン系は「ドットで表現できる最小限のキャラ」かつ、「完全体なのにドットが小さくなるギャップ」を持つキャラだ。 デジモンのドットが優れているのは基本立ち絵ドットの完成度は勿論、「モーションの多彩さ」もそうだ。 デジモンはバトル要素が加わったコトで、たまごっちに比べてもドットのアクションが多めに作られている。 それに加え、デジモンのドットは喜んだ時、怒った時の表情変化が分かりやすく、見てて飽きさせない工夫が凝らしてある。 (逆に、何をやっても似たような表情のデジモンも一部いるが)
ドットはこれ以降もモーションが増えたり、ギミック的な演出が強化されたり、技ドットが個別に設定されるなど、 後続の「ペンデュラム」シリーズ以降でさらにブラッシュアップされていく。 ペンデュラム以降を知ると初代のモーションには相対的に物足りなさを覚えてしまうが、 後発が発展するための「地盤」を早くも築きあげた初代の存在は偉大であり、決して蔑ろにはできないだろう。 |
≪攻略本≫
たまごっちブームも手伝って、初代デジモンは攻略本が多いのも特徴だ。 そこまで深いゲーム内容じゃない割に種類が多いが、比較してみるとそれぞれに特色があって面白い。 ここでは初代の攻略本全20冊(たぶん)を出版社ごとに紹介。 【集英社】 ・デジモンキングになるんだモン! ・デジタルモンスター大全書Ver.1~4 全2冊 集英社と言えばデジモンを積極的に取り上げているVジャンプでお馴染みの出版社だが、意外と攻略本は少ない。 ◆デジタルモンスター デジモンキングになるんだモン! 小B6判 定価500円 97年9月8日に、デジモン史上最も早くに発売された本で、内容はVer.1の攻略になっている。 後に漫画「Vテイマー01」の作画を担当する「やぶのてんや」先生による漫画やイラストが数多く描かれているのが特徴。 (というか、当時既にVジャンプ史上においてもデジモンコーナーのイラストを担当していた) この本の制作中はまだデジモンの公式デザインが固まっていなかった?ようで、 攻略本には渡辺けんじ氏による公式デザイン以外に、やぶてんによる独自デザインのデジモンも見ることができる。 (その後、渡辺氏はこのやぶてんの初期デザインも一部参考にしつつ公式デザインを行ったらしい) 全体の半分ほどがカラーページで、独自の遊び方を特集したページや、カードやシールの付録もあって賑やかな本だ。 反面、「攻略本」としてはあまり有用性がないが、初期の初期に出た本だと思うと、まぁ仕方ないところもあるだろう。 ◆デジタルモンスター大全書 Ver.1~4 A6判 定価600円 タイトル通りVer.4までの情報を一気にまとめた本。しかしVer.4は成熟期までで、完全体などは伏せられている。 Vジャンプデジモンコーナーでお馴染みの「デジモンキー」がナビゲートを務めており、 Vジャンプ同様のネタにまみれた漫画や紹介を楽しむことができる。(逆に、やぶてん氏による漫画やイラストは消滅) Ver.1~4の各デジモンの紹介や設定にも触れられているので読み物としては中々ボリュームがある。 「カッコイイ度」や「カワイイ度」など、各デジモンに主観に溢れた格付けがされているのもVジャンプブックスらしい。 イラストに関しては公式絵は勿論、公式絵以外にも後述の斎藤さんや木下さんのイラストが多く掲載されているのも嬉しい。 進化条件も袋とじに具体的な回数を含め掲載されているので、攻略本としての有用性も高い。 カラーページがあまりないのは残念だが、Ver.1~4の情報がコンパクトにまとまって600円なのは中々お得だ。 【アスペクト】 バンダイ公認デジモンずかん Ver.1~2 全2冊 ◆バンダイ公認デジモンずかん Ver.1 Ver.2 新書判 定価500円(税別) 本が縦長なのが特徴。便宜上、1冊目は「Ver.1」としたが、実際のタイトルは「バンダイ公認デジモンずかん」。 「斎藤理佳」さんによる漫画やイラストが豊富に使われていて、ここでしか見られない絵も多い。 (斎藤さんは、「木下ともたけ」さんと共に、デジモンの初期に公式絵以外のコミカルなイラストを手掛けていた) テキストにはギャグ要素も多く、全ページがフルカラーなのもあって読み物としては高水準。 一方、各デジモンのデータは曖昧なものが多く、攻略本としては微妙。 しかしVer.2になるとデータも徐々に具体的なモノになり、Ver.1のデータも同時掲載されてレベルが上がっている。 漫画の内容が1と2で話が繋がっているし、先にも期待できそうなシリーズだったのに、 あえなく2冊で終わってしまったのが残念でならない。せめて4までは行ってほしかった…。 【ケイブンシャ】 デジタルモンスター大百科 Ver.1~5 全5冊 ◆デジタルモンスター大百科 Ver.1 Ver.2 Ver.4 Ver.5 A6判 定価550円(税別) ◆デジタルモンスター大百科 Ver.3 B6判 定価680円(税別) 昔はよくデジモンの本を出していたが、今は亡きケイブンシャの本。 Ver.1~5それぞれに合わせた5冊が出ているが、どれも攻略情報は曖昧であまり役に立たない。 Ver.1の本はあるデジモンの半生を描いたショートストーリー「デジモン日記」があり、これが中々面白くてオススメだが、 Ver.2以降はそんな読み物もなくなり、全体的なページデザインが下品になったり、ムダが多かったりと褒める所に乏しい。 また、何故かは知らないがVer.3の本だけ一回り大きく、本棚にきれいに並べられないのもいただけない。 【エニックス】 デジタルモンスター最強データブック Ver.1~5、ファイナルデータ図鑑 全6冊 ◆デジタルモンスター最強データブック Ver.1 Ver.2 Ver.3 Ver.4 Ver.5 A6判 定価476円(税別) Ver.1からVer.5まで、各バージョンごとに本が出されている。 攻略情報は曖昧な上に思いっきり間違えているモノまであり、あまり参考にならない。 また、デジモンの育て方や本体の機能説明などのページでは文章の流用が凄まじく、軽いデジャブに襲われる。 Ver.1の頃には合間合間にドットを使った4コマ漫画が掲載されていたが、Ver.2以降は消えてしまった。 このシリーズのウリとしては、各デジモンの解説文のカッコよさ。 レイアウトもあってのカッコよさなので文字だけでは雰囲気が伝わらないだろうが、個人的に好きなのを一つ引用する。 --- スカルグレイモン SKULLGRAYMON バトルに必要なのは何? 武器? 必殺技? 経験? スカルグレイモンが出した答えは「闘志」だ!! 戦いに明け暮れ、肉がそげ落ちても、武装が朽ち果てても、闘志さえあれば生きていける。 そんな未来を選んだ哀しく誇り高いデジモン。 もはや、失うものは何もない。闘争本能だけで動いているので、まさしく無敵に近い存在。 有機体型ミサイル”グラウンド・ゼロ”も恐怖!! 戦いが全て!! 生きた屍を動かす「闘志」 --- 他のデジモンも、生物学的な観点から見たような、「未知の恐るべし生命体」として書かれた解説になっている。 (本のクレジットによるとライターは「さいとうよしこ」さんとのコト) しかし残念ながら、文章のセンスがイキイキしていたのはVer.2ぐらいで、それ以降は牙を抜かれている。 ◆デジタルモンスターファイナルデータ図鑑 Ver.1 Ver.2 Ver.3 Ver.4 Ver.5 B6判 定価952円(税別) 最強データブックの総まとめ本。 進化条件のデータが詳細になったり、掲載されたイラストの数も多かったりと申し分ない出来。 オマケにVer.1依頼ご無沙汰だったドット4コマ漫画も復活したので一部のファンには感無量だろう。 しかし、相変わらずページのレイアウトや文章の流用っぷりが凄まじいので、あまり新鮮味がない。 【KKベストセラーズ】 ・最強のデジタルモンスター究極本 Ver.1・2~5 ・Ver.1~5完璧版 全5冊 「Ver.1・2」「Ver.3」「Ver.4」「Ver.5」「Ver.1~5完全版」の5冊が出ている。 デジモンの開発会社、ウィズの北河原名人が監修を務めているのが特徴。本によってはボルケーノ太田氏も登場する。 ◆最強のデジタルモンスター究極本 Ver.1・2 Ver.3 Ver.4 Ver.5 A6判 定価524円(税別) それぞれ、タイトルになったバージョンについての攻略情報がメインだが、 「Ver.3」なら1と2、「Ver.4なら1~3と言った具合に、過去バージョンについての情報も収録している。 データ関連がしっかりしており、デジモンごとのパラメータや進化条件、そしてドットパターンなどが細かく掲載されている。 特に完全体への進化条件は詳細が触れられていて、流石開発スタッフが監修に加わっているだけはある。 ただ、進化条件に関して「Ver.1・2」は難があり、 「こいつにしたければこんな風に育てればいいよ」と抽象的なアドバイス風の記述になっている。 それ自体は他の攻略本にも見られる手法なのでまぁいいとしても、デジモンによってはアドバイスがない。 そんなワケで「Ver.1・2」はちょいとアレだが、他は全体的に攻略本としてレベルが高い。 全ページがカラーなのは嬉しいし、ギア以外のデジモングッズやゲームについての情報が書かれているのも面白い。 ◆最強のデジタルモンスター Ver.1~5完璧版 A5判 定価900円(税別) タイトルからも窺えるが、最強シリーズのまとめ本となる。 サイズがA5になったが全ページがカラーのままで、各デジモンの公式絵が大きく掲載されているのも嬉しい。 内容は、各デジモンの設定紹介、ステータス、進化条件などが掲載されている。 進化条件は具体的な数値が掲載されており、まさに「完璧版」の名にふさわしい。 しかしそれ以外の要素はほとんど削られており、攻略本としては完璧だが、読み物としては物足りない。 公式絵以外のイラストも各デジモンに1枚は掲載されるようになったが、代わりにドットパターンが消滅した。 まとめ本としては悪くないが、同シリーズを「Ver.5」までバラで持っていると面白みがないのが残念。 |
≪関連グッズ≫
「たまごっち」が注目されていた影響もあって、その後続であるデジモンも初期から色々とグッズが出ていた。 ここでは、初代ギアと特に関係がありそうなモノをいくつか紹介する。 ■テイマーズタグ 580円 1998年7月発売 複数のデジモンを束ねる公式グッズ。大会上位入賞者には、限定版のゴールド版などもプレゼントされていたようだ。 個別のシリアル番号がふられたプレートがついて中々特別感があるが、 「こんなのに580円も払えねぇよ」と当時の俺はスルーして、母が太いヒモで作ってくれたお手製のモノを愛用していた。 ちなみに上のタグは、数年前にネットショップでデジモングッズを買った時にオマケとしてもらったモノだ。 リサイクルショップを覗いてみたら新品を何個も見かけたコトもあるし、残っている所には残っているらしい。 ■イレモン 各380円 ブラック/ホワイト:1997年12月発売 ブルー/レッド:1998年5月発売 デジモン本体を傷から守ってくれる専用ケース。 要所に穴が空いているので、入れたままでもボタン操作や、キーチェーンとして使用可能。バトル時にはフタを開いてコネクタを露出させられる。 残念ながら俺は持っていないが、工夫された設計は勿論、ネーミングセンスも面白くてイカしたグッズだ。 ■ザ・デジモン 各380円 1998年4月~9月発売 デジモンのフィギュアが檻型のケースに入れられた商品。幼年期や小さいデジモンは数体まとめてられている。 また、檻を複数持っていれば檻同士で縦横へと無限に繋げていくことができる。 体型はデフォルメされてはいるが造形は良く、しっかり塗装されているのも嬉しい。 ラインナップも豊富でVer.1からVer.4のデジモンが…って、まだVer.5はハブかよ! 現在の目で見ても魅力的なグッズだが、初代デジモンのギア以上に入手は困難。 スカグレとかケンタルとかモノクロとかメガドラとか欲しいなぁ。 …とか書いてたら、その後スカルグレイモンとケンタルモンをいただきました!ありがとうございます! いただいたモノを合わせ、俺が現在持っているザ・デジモンは上ので全部。 ティラノモンは当時俺が唯一買ったモノで、ホエーモンやクワガーモンは後に通販サイトで見つけて買った。 ザ・デジモンはポケモンで言う「モンスターコレクション」に近い商品だが、 やはりこのぐらいのサイズでお手軽に変える彩色済みフィギュアというのは素晴らしいモノだと思う。 今からでも復活してほしいデジモングッズランキング(俺調べ)でも上位に入るが、難しそうだ。 ■デジモンオールスターズ 各980円 1998年4月~7月発売 各バージョンに登場する14体のデジモンとオマケがセットになったフィギュア。 ザ・デジモンとは別の造形であり、こちらの方が小型で無彩色だが、一気に沢山のデジモンが手に入るのが魅力。 ラインナップはVer.1~4の4種類…って、またVer.5がいないぞ。ホント気の毒なぐらい恵まれてないなあVer.5。 ちなみに、デジモンオールスターズは元々海外で売られていたフィギュアであり、 海外では7種セットのフィギュアが彩色済みで売られていた模様(画像左)。 この海外フィギュアは日本で無彩色のオールスターズとして発売された後、 アニメ「デジモンアドベンチャー」が始まった頃に「ワンダーカプセル」として、彩色済みで再収録された(画像右)。 シードラモンの色を見るに、金型は同じでも塗装はそれぞれ異なるようだ。 |
≪まとめ≫
「男の子向けたまごっち」として始まったデジモンは、思惑通りにヒットし、一大ブームを築くまでに至った。 たまごっちに対戦要素が加わったゲーム的な面白さと、キャラクターの魅力もあってのものだろう。 そんな「たまごっちの弟分」とでも言うべき出生のデジタルモンスター。 たまに「たまごっちのパクリ」などと見てるこっちが恥ずかしくなるコトを言いだす奴がいるが、 つくってる会社もキャラデザイナーも同じなので、発言には気を付けてほしい。 さて、デジモンでパクリと言えば、たまごっちより「ポケモンのパクリかどうか」の方がよく論点になる。 ゲームボーイソフト「ポケットモンスター赤・緑」が出たのは1996年2月27日。 発売当初こそは色々と地味だったが、「携帯機故にどこでも遊べる」「コレクション」「対人戦」などの要素で大ヒットとなった作品だ。 一方デジモンは、ポケモンよりも1年以上が遅れてから発売されている。 さらにデジモンは育成ギアで、既にたまごっちで下地ができていた分、開発にはそれほど時間は要さなかったはず。 モンスターを題材にして、しかもタイトルが縮めて「◯◯モン」ともなれば、「意識してません」とはとぼけられないレベルだ。 …ていうか、これに関しては割と最近になってから、開発スタッフの代表格であった「ボルケーノ太田」氏や、 キャラクターデザインを手掛けている「渡辺けんじ」氏が当時の笑い話として認めている。 つまりデジモンは「たまごっちの弟」にして「ポケモンのパクリ」なワケだが、別にそれ自体は今やどうでもいい所だと思う。 「男の子向けたまごっち」を考えた時、育成対象を何にしようかと考えれば、 育成モノとしては自然な「生物」であり、且つデザインに幅を持たせられる「モンスター」という題材は 仮にポケモンが存在していなかったとして自然に生まれていたアイデアだと思う。 それに、この時点でデジモンがパクったのは「モンスターが題材」というコンセプト、つまり「スタート地点」だけ。 コレクションRPGであるポケモンと違い、「育成ゲーム」という違ったジャンル・持ち味を、デジモンはちゃんと持っていた。 こんな風に「流行った作品のジャンルを真似るコト」は、 ロボットだの変身ヒーローだのファンタジーだの、男の子向けに限らずとも魔法少女とか、世間にはいくらでもある。 例え基本コンセプトが二番煎じでも、他のどこかに特徴的な要素、別の魅力があればそれで良いわけだ。 作品タイトルこそ「ポケモンパクリの第一人者」みたいなデジモンだが、 当時のポケモンブームに便乗して続出した、いわゆる「ポケモンフォロワー」作品とはだいぶ毛色が異なる。 ・主人公はモンスター、あるいはそれに相当するキャラクターを育てて戦わせる ・「赤・緑」のように、登場キャラの違うバージョンを複数発売する ・登場キャラなどのコレクション要素がある ・対戦や交換を行う通信機能がある …などが、ポケモンフォロワー作品に多く見られた共通点だが、 デジモンの場合だと「通信要素」以外はたまごっちからの引継ぎなので、意外とポケモン色は薄い。 数多のポケモンフォロワー作品が夢破れて消えていった中、デジモンがこうして成功した理由は色々考えられるが、 ・「電子ペット」という、まだ競争者が少ない場所で勝負ができた ・発売形態がポケモンとは完全に違うため、「ポケモンとはベツモノ」として売れた ・たまごっちブーム・ポケモンブーム両方の流れに乗れた ・他のフォロワーに比べいち早く発売できた(他のゲームは大体97年末から98年にかけて発売) ・単価が約2000円と、ゲームソフトより安く入手できた ・大元が「バンダイ」という超強力な会社であった あたりが勝因だと思われる。特に、「電子ペット」という点が大きかったのではないだろうか。 もし最初からデジモンストーリーみたいなRPGだとしたら、デジモンはアニメ化にこぎつける前に埋もれて終わっていた気がする。 勿論デジモンの成功はデザインのカッコよさやゲーム・アニメの後押しも大きな理由だが、 それ以前にデジモンはバンダイの思惑通り男の子のハートをキャッチし、「売れるべくして売れた」とでも言うべきゲームだったのだ。 まぁ、今やると資料的価値こそあれどゲームとして特別面白いワケではないものの、 興味がある人には、アプリ版があるのでとりあえずコレを……と、勧めたかったが、アプリ版はとっくに配信が終わってしまった。 アプリ版をプレイしてみて「ケータイ電話と育成ギアの相性の良さ」を強く感じただけに、余計に惜しい。 ◆今は亡きアプリ版の解説◆ バンダイコレクションから配信されていたアプリで、各バージョンが落としきりで315円ほど。 ギア版をよく再現した内容で、アプリのフレームはオリジナルと同じ配色から選べる。(ただしD-1スペシャルは無い) ケータイ同士で赤外線通信対戦ができるほか、COMとの対戦機能もついているので、自分一人だけで完全体へ進化できる。 (対戦相手は「同じバージョンの同世代以下のデジモン」がランダムで選ばれる) また、簡素ではあるが育成履歴を兼ねたデジモン図鑑もついていて、育てたデジモンの名前やドットが記録される。 難点としては、効果音が妙なプープー音になっていたり、一部ドットの表示がおかしくいぐらい。 また、起動中は電池をやたらと消費するコトだが、起動しない間も時間は進むのでそう問題ではない。 (アプリ起動時以外にデジモンの時間が進むかどうかの設定も変更可能) 大した追加要素はないが改悪点もなく、値段も手頃で「初代デジモンを遊んでみたい」という人におあつらえ向きのアプリ。だった。 余談だが、俺はこのアプリのおかげでVer.5を初めてプレイできた。 当時Ver.5は近所の店で見かけなかったために買えず、仕方なくKKベストセラーズの攻略本だけを買って気を紛らわしていた。 その頃からずっとデルタモンに憧れていて、このアプリのおかげでやっと生のデルタモンを拝む事ができた。 画面で動くデルタモンを見られて、本当に嬉しかった。が…、ゲーム的には特に面白くはなかった。 誰かに見せるワケでもなく、ただ黙々と条件通りにデジモンを育てるそれは、あまりにも「作業」すぎた。 ギアのデジモンが最高に楽しかったのは、やはりブームがあって、周りの皆が知ってて、色んなグッズも展開されてて、 友達と集まればデジモンの対戦で盛り上がっていたようなあの時代限定だったんだと痛感した。 実際、初代は後発のギアに比べて内容が薄く、今では見劣りしてしまう。 変に初代を神格化して勘違いする人が出てこないよう、ここには念を入れて言っておきたい。「そんなでもないよ」と。 さて、アプリが死んで、もういない以上、初代を遊ぶには当時発売されていたギアを探すしかないが、 既に15年も前のグッズなので入手…というか、売っている所を見つけるのがそう容易くはないだろう。 しかし、探してみるとリサイクルショップであっさり1000円ぐらいで転がってたりもする。 高値のモノをムリして買わず、「運命の出会いを待つ」程度のつもりで、気楽にノンビリ探すので十分だ。 最近は「デジヴァイス」などの復刻も始まったし、その内育成ギアのターンもまわってくるかもしれない。 ていうか、原点のこっちを先に出してよ。 レビュートップ サイトトップ |