デジモンコラム
二大究極進化!過去をぶっとばせ!!


 公開日:2015/04/18

 アグモンがウォーグレイモンに進化し、ガブモンがメタルガルルモンになるように、
デジモンの一部の種族、さらに言えばアニメで主役を張ったデジモンには究極体への一本道、「直系進化ルート」が用意されている。
…が、そんな主役デジモンの一部には、未だルートの「究極体」枠が安定せず、コトあるごとに一悶着を起こしてしまうモノがいるのだった。

◇テイルモン編

 まず、なぜ「究極体枠が安定しない」という状況が生まれてしまうのかと言えば、
「そのデジモンが主役として登場した作中で、最終進化まで辿りつかなかったため」だ。
進化さえしていれば「じゃあ、そいつで」となるのだから、そりゃまぁそうだろう。

 例えば、「デジモンアドベンチャー」の場合。
アグモン、ガブモン、ピヨモン、テントモン、パルモン、ゴマモン、パタモン、テイルモンの8体が主役デジモンとして登場したが、
この内、劇中で究極体へとワープ進化を成し遂げたのは、アグモンとガブモンのみ。
如何せんデジアドは主要キャラが多く、かつ初のデジモンアニメだったため、8体ものデジモンを究極体まで進化させる構成は難しかったのは仕方ない。
「進化回」というのはそのキャラクターの成長を物理的にも表す大事な回なので、そうホイホイとブッ込むワケにはいかない。

 しかし、「アニメに出ない=究極体が存在しない」ワケではなく、
同時期に展開しているゲームやカードでは「本来ならこういう進化を遂げていた」というデジモンがお披露目となるパターンがほとんどだ。
(初アニメとなるデジモンアドベンチャーの段階では、既存の究極体がそのまま枠に収まるパターンが多かった)

 デジモンアドベンチャーより後続のアニメでも、「主要デジモン全員が最終形態にまで進化する」というパターンは少なく、
毎度毎度「アニメに登場を果たせなかった進化・最終形態」が登場し、大体がその後も悲惨な末路を辿っている
「アニメに出なかったけどこんな奴らもいるんだ!後はファンの皆で想像して楽しんでね!」と余地を与えておきながら、
「アニメに出てないからこいつら人気ないね!じゃあこいつらにやる出番なんてねーわ!」と来るのだから溜まったモンじゃ…いや、この話は置いておこう。


 そんなワケで、劇中では最終進化に辿り着かず、究極体が定まらないデジモンの1体として挙げられるのがテイルモンだ。
デジモンアドベンチャーに追加戦士として登場したこのネコ、もといハツカネズミは、続編の「02」でもメインデジモンの1体となり、
02の劇場版ではパタモンが進化したセラフィモンと共に、究極体・ホーリードラモンへと進化した。

 「進化したんならそれでいいじゃん」となるだろうが、その後、座天使型デジモンオファニモンが登場し、話が拗れてくる。
ゲーム「デジモンバトルスピリット1.5」にて、テイルモンがオファニモンに進化してしまうのだ。
このゲームに登場するデジモンたちは「歴代アニメオールスターからの出演」というテイなので、
このゲームでオファニモンに進化したテイルモンは、本来ホーリードラモンに進化していたテイルモンなのだ。かこさくの ほうそくが みだれる!

 しかし、仕方のないコトでもある。
オファニモンはパタモンが進化した「セラフィモン」と同じく三大天使に属するデジモンであるし、見た目的にもよほど同族らしい。
そも「なんでテイルモンがホーリードラモンになっていたか」と言えば、「Ver.Sやペンデュラム1.5で進化してたから」というだけで、
神聖系という流れこそ汲んでいるが、「これ以外の進化は考えられない!」というほどのルートではない。
(そもそも、初登場したVer.Sだったらエンジェウーもホーリードラも同じ完全体だし)

 ただ、路線変更が遅かったのは否めない。
オファニモンが登場するまでにも、WSの各種ゲームや、カードアリーナ、バトルエボリューションなど、
「テイルモンがホーリードラモンへ進化する」というルートを採用したゲームはとても多かったし、
何より「アニメでテイルモンはオファニモンに進化していない」ため、
多くの人にとって「テイルモン究極体=ホーリードラモン」という図式ができあがってしまっていた。
バトスピでのオファニモン進化には新鮮味も勿論あったろうが、「ホーリードラじゃないの?」という疑問も少なくなかっただろう。

 つっても別に、オファニモンが出てきた時点で「デジモンアドベンチャー」及び「02」は過去の作品なので、
「これからのテイルモンという種族はホーリードラにもオファニにも進化します。よろしくネ!」としておけば大して問題なかったはずだ。
だのに、既に先述のバトスピの時点で時空を歪めてしまっているし、その後も
初代デジモンアドベンチャーの内容を踏襲した「PSPデジモンアドベンチャー」でテイルモンをオファニモンに進化させたりと、
デジモン特有の迷走というか、ファン心理を分かってない仕様が多く、事実以上の「とっちらかった感」を出してしまっている。

 そう、「種族的な進化先」が増えるのが問題なのではなく、「個体としてあり得ない進化」が後付されるのが問題なのだ。


オファニモンはアニメだと「フロンティア」で初登場。
テイルモンから進化するシーンはなかったが、劇中でプロットモンに転生し「テイルモン系」であるコトをアピール。

 幸か不幸か、テイルモンには「通常版(初代の方)」と「ホーリーリングなくして弱い版(02版)」の2種類がいる。
02のテイルモンがホーリードラモンになっていたのだから、
リングのあるテイルモンがオファニモンになればなんとなく説得力も持たせられて解決ネ!
…というコトもなく、リングがあろうがなかろうが、オファニの時はオファニに、ホーリードラの時はホーリードラになるのだった。
(同様に、「テイルモンからワープ進化」「エンジェウーモンから直接進化」と分ける考え方もできるが、結果はムダに終わる)
 

 そんなワケでテイルモンは正統ルートの究極体が2体存在するコトになったはいいが、
その究極体の取り入れ方がヘッタクソだったせいで、ファンを無駄に混乱させるコトになってしまった。
大体バトスピといいPSPアドといい、ゲームなら「進化先を複数用意する」という処置ぐらいできて然るべきだったのでは。

 この件は「ホーリードラとオファニ、どっちも捨てがたいので最終進化枠が1つしかないのは困る」という結論に落ち着く。
今更どっちかを蹴落とすコトなんてないし、どっちかがいなければそっちのファンが悲しむんだから、両方あるに越したコトはない。
後付で進化を増やしてきたのは公式なのだから、それぐらいきっちり対応してくれるのが、ファンに対する誠意だと思う。


 この流れでついでに気になるのは、「ホーリードラモンとオファニモンはどっちが強いの?」という点だろう。
どちらも組織に所属するデジモンなので、言い換えれば「四大竜と三大天使はどちらが上か」という意味にもなるかもしれない。

 具体的な公式見解はなかったはずだが、恐らくは四大竜、つまりホーリードラモンが上と見るべきだと思う。
四大竜が「神に近い世界の守護者」であるのに対し、三大天使が「神々の軍団を統率し、世界のコアを守る存在」なので、
ニュアンス的にも四大竜の方がたぶん上……いや、どうだろ。
ホーリードラモンは神獣型デジモンのトップ(聖竜型なのにこの設定)で、オファニモンは他の三大天使と共に神聖系のトップだから……つまりどっちだ?

 そうだ、「ディープロジェクト」でオファニモンがジョグレス進化してホーリードラモンになってたからきっとこっちが…。
つってもあれプレイしてる当時、ただひたすらに「違和感」を覚えたしなぁ…?

 …ていうかホーリードラモン、映画だと三大天使が堕天したケルビモン(悪)にサックリやられてるんだよなぁ。
アニメを基準に強さ議論をしたら日が暮れるどころか世界が滅ぶのであまり参考にはしたくないが、うーん…。
もしや、「カオスデュークモンとメギドラモンは実は同一の存在で~」とかいうアホな公式設定と同じノリで、
ホーリードラモンとオファニモンも実は同一の存在で、見る者によってその姿が変わっている可能性が…?

 まぁアレですね、状況に応じて臨機応変な究極進化を行える、大した種族ってワケですね! 流っ石、鍛え方が違う!


◇ゴマモン・アルマジモン編

 さて、「今日はどちらに進化しようかしらん♪」とゼータクをキメられるだけだったテイルモンとは違い、
本格的に厄介というか面倒というか、どうしてこんなコトになってしまったんだと頭を抱えるのが、ゴマモン系とアルマジモン系だ。

 ゴマモンはデジモンアドベンチャー、アルマジモンは02の主役デジモンだが、まずはデジモンアドベンチャー主役究極体のおさらい。
 アニメ本編に登場せずとも、
テントモン → ヘラクルカブテリモン
ピヨモン → ホウオウモン
パルモン → ロゼモン
ゴマモン → プレシオモン

 …という進化になるのは、当時発売されていたWSのタッグ、ディーワン、ブレイブテイマーをプレイしていれば分かるコトだった。

 が、この中でプレシオモン、つまりゴマモン究極体だけは少し「押し」が弱かった。
と言うのも、他のヘラクル、ホウオウ、ロゼはそれぞれ虫(カブテリ)、炎の鳥、女性的植物とデザインラインが揃っていたし、
育成ギア「デジモンペンデュラム」で再現できるストレートな進化ルートだったので、今更疑う余地もなかったためだ。
(ガルダモンは枠をエアロとデラに奪われてホウオウに進化できないが、見るからに直系進化なのは伝わると思う)

 一方プレシオモン。彼が登場したペンデュラム2.5において、ズドモンとプレシオモンの進化は繋がっていない
その時のズドモンはと言うと、マリンエンジェモンに進化していた。
ハッキリ言って、今も昔もコレはねーだろという進化だ。
ディープセイバーズ中でも巨大なホエーモンが、一転して超ミニなマリンエンジェモンに進化、という流れならギャップを狙ったのだと分かるが、
ズドモンは別に大きさをウリにしているワケでもなく、トドか何かとクリオネというモチーフも大分遠いし、この進化を繋げた意図は未だに分からない。
他のバージョンではワクチン種の完全~究極体は、
アトラー→ヘラクル マン→スカルマン エアロ→ホウオウ メタグレ→ウォグレ といかにもな進化を遂げているので、尚更浮いている。
ペンデュラムの進化ルートを無視してでもプレシオモンに白羽の矢が立ったのは、それが理由だと思われる。
(ちなみにプレシオモンはエビドラモン、ハンギョモンと共に「2.5」で差し替えられたデジモンで、メタルシードラモンと交代している。
 何故マリンエンジェモンとでなくメタルシードラモンと抗体したのかは、前段であるペンデュラム1.5が「ワクチン種の交代」を行っていたので、
 それに続く2.5は流れに従って次は「データ種の交代」をしたからだと思われる。そこ、そんなに拘る所なのかな…?)

 改めて昔のプレシオモンカードを見てみると、
育成ギアの進化ルートを踏襲していた初期のカードですら、不自然なほどにプレシオモンはズドモンから進化したがっている。
その一方で、マリンエンジェモンの進化ルートは不自然にズドモンが下に押し下げられたりしているのも気になる。
昔は「何でだろ?」程度にしか思わなかったが、これも「ズドモン→プレシオモン」ルートを秘密裏に正統にするための一環だったのだろうか。
(しかしプレシオモンのカードは全3種類(少ない)で、ズドモンから進化するのは最初の1枚のみ)

 
 そんなこんなでアニメも終わり、長い年月が過ぎた頃、変化が訪れる。
DSの「デジモンストーリー」シリーズや、それに続く「デジモンワールド:リデジタイズ」に登場した際、
ズドモンはプレシオモンでもマリンエンジェモンでもなく、ヴァイクモンという別のデジモンに進化するのが当たり前になっていた。

 このヴァイクモン、見た目的にもズドモンと近しいのは言うまでもなく、
イッカクモンやズドモンを束ねる海賊の長」という設定まである。ズドモンの進化先と言うには申し分のないデジモンだ。
(個人的には、ズドモンは群れで行動するイメージがなく、単身で活動する冒険家のようなイメージだったのでこの後付設定は今もちょっと…)

 …が、このヴァイクモンには致命的な大問題があった。
そう、このヴァイクモンは新デジモンでなく、既にデジモンアドベンチャー02の主役デジモン、アルマジモン系の究極体として登場していたのだ。
一目惚れしてお付き合いし始めた相手は、人妻だったのだ。


 さて、02組の主役進化ルートは
ブイモン → インペリアルドラモン
ワームモン → グランクワガーモン
ホークモン → ヴァルキリモン
テイルモン → ホーリードラモン
アルマジモン → ヴァイクモン
パタモン → セラフィモン
 となっている。
こちらも全員がアニメ本編に出られたワケではなく、本編に登場したのはインペリアルドラモンのみで、
あとは前述の劇場版にホーリードラモンとセラフィモンが登場しただけ。
しかしこちらはアニメとがっつり連動するギア「D-3」にて、全員が究極体にまで進化しているのが無印との大きな違いだ。
勿論、WSのタッグ~ブレイブテイマーや、カードアリーナなどのゲームでもこの進化ルートは採用されている。

 つまり無印組よりもよっぽど「定着した感」は十分であり、見た目や設定が多少それらしいからといって、
今更ヴァイクモンをアルマジモンから奪い取るというのは、今思い返してみてもかなり乱暴な話だった。

 しかしややこしいのが、「ズドモンからヴァイクモン」という進化ルートは、最初から半ば公認されていたとも言える点だ。 
アニメ本編では描写されなかったし、今となっては忘れ去っている人も多いだろうが、
ジョグレス進化が印象的だった完全体のパイルドラモン(ディノビーモン)、シルフィーモン、シャッコウモン達だけでなく、
02の主役究極体達は、インペリアルドラモンを含め6体ともがジョグレスによって進化する設定を持っていた。

その内訳は、
パイルドラモン ⇔ メタルグレイモン ≒ インペリアルドラモン
ディノビーモン ⇔ アトラーカブテリモン ≒ グランクワガーモン
シルフィーモン ⇔ ガルダモン ≒ ヴァルキリモン
エンジェウーモン ⇔ リリモン ≒ ホーリードラモン
シャッコウモン ⇔ ズドモン ≒ ヴァイクモン
ホーリーエンジェモン ⇔ ワーガルルモン ≒ セラフィモン


 となる。見て分かる通り、組み合わせは02主役完全体と前作完全体とのジョグレスだ。
若干「あ、数合わせだなコレ」という部分もあるが、大体が上手く要素を組み合わせて究極進化へ至っている。


 さて、もちろんここで注目すべきは シャッコウモン⇔ズドモン≒ヴァイクモン というレシピ。
シャッコウモン要素ほとんどねぇ! ズドモンに乗っ取られてる!!

 他の パイルドラ→インペリアルドラ ディノビー→グランクワガー シルフィー→ヴァルキリ という究極進化は
ベースとなる完全体の顔の印象をそのままにしているので進化形態として違和感なく馴染んでいるが、
何故か シャッコウ→ヴァイク の進化だけは、ズドモンがシャッコウモンを着込むグレート合体のスタイルとなっているため、
シャッコウ→ヴァイク の進化ルートに説得力など生まれるはずもなく
ああ、こりゃその内ゴマモン系に取られるわ」と、当時の時点で逆方向の説得力を生み出す結果となってしまった。

 なんでまた、シャッコウモンルートだけこうなってしまったのだろう。
俺の勝手な推測だが、シャッコウモンのような顔を究極体にまで使うのは気が進まなかったからだろうか。
そうだとしても、シャッコウモンをこんなデザインにしたのもお前らだろ!いい加減にしろ!

 そう、そもそもシャッコウモンのデザインにムリがありすぎるのが諸悪の根源だ。
完全体→究極体の流れを問題視する以前に、ジョグレス進化の段階で、シャッコウモンだけが明らかに他のパイルドラ、シルフィーと浮いている
デキの良い合体玩具を出せるほどに竜と虫が巧みに融合したパイルドラモンや、
シンプルなテイルモンの体型を引き伸ばしアクィラモン要素で上手く飾り立て人型にまとめあげたシルフィーモンに比べ、
「恐竜+天使」という組み合わせにナンギしたのか、「古いモノ+聖なるモノ」という抽象的な要素の足し算が先行し、
その結果「土偶」という予想の斜め上に思いきり駆け抜けてFar away way way wayしてうまれたのが、このシャッコウモン。

 デザイナーはお気に入りらしいが、偉い人はもっとちゃんと手綱握っといてくれよ!!
いや勿論、シャッコウモンのユニークな発想・デザインを責めるつもりはない。
ナメクジだのウンコだのおやじっちだの、ワケの分からないモンスターも共栄してきたのがデジモンだし、土偶ぐらいどってコトはない。
でもこれをアンキロモンとエンジェモンのジョグレス進化として出すのは間違ってるだろ!!
 02本編でタケルが「ジョグレス進化…いや、超進化だ!」とジョグレスを先延ばしにした回があったが、
内情を知る関係者であるタケルとしては、シャッコウモンへの進化にまだためらいがあったのかもしれない。

 確かにまぁ、アンキロモンとエンジェモンを組み合わせてそれっぽい完全体を作れって言うのは、難しいとは思う。
とりあえず、アンキロモンがベースなのだから竜や鎧要素は欠かせない。ついでにアルマジモンルート共通の丸っぽさはほしい。
そしてエンジェモン要素を拾うなら、天使らしい十字架的なデザインや羽があれば十分だろうか。
これらを併せ持つそれっぽいデジモン、何かいないか…?




 おっ、いたいた

 それはともかく、もっとそれらしい完全体を用意してほしかったのはマジな所だ。
そもそも成熟期をアンキロモンに限定する必要もないのだから、もっと上手くルート全体を調整できたのではと思うと、惜しい。

 シャッコウモン自身、02本編だと強敵ブラックウォーグレイモン相手に善戦したりとかなり頼もしい存在ではあるが、
かといって一定の支持を得られたかと言えばそんな気配もないし、ぶっちゃけドン引きしたままのファンが多い気がする。進化バンクもショボイし。

 折角なので「アルマジモンにはどんな究極体がふさわしかったのか」も考えたくなる所だが、これは難しい。
アルマジモンやアンキロモン視点ならばスピノモン、シャッコウモン視点ならばクラヴィスエンジェモンあたりが候補に挙がるが、
如何せんアルマジロと土偶では離れすぎているため、上手くこの両者を結んだ進化は、専用の新デジモンでも出ない限り現れないだろう。


 話を戻すと、アルマジモンが究極体をゴマモンに寝取られてしまったのはほっとけない事態だ。
デジモン界隈に置いて「進化ルートを奪われる」という昼ドラ展開は、
以前紹介したゴッドドラモンやシーサモンなど他にもケースはあるが、
そんな公式からも忘れられていそうなデジモンと違い、こちらは関係者が両者とも「主役級デジモン」だというのが問題になる。

 ヴァイクモンがゴマモンの手に堕ちるまでの間、「カードアリーナ」にはアルマジモンが進化した姿としてヴァイクモンが登場していた。
デザインといい設定といい、アルマジモンの面影が皆無と言っていいヴァイクモンだが、
「おれと勝負するだぎゃ~!」とアルマジモンから変わらぬ名古屋弁で話してくるその姿は、まさにアルマジモンの究極体
アニメ本編の浦和めぐみさんの声そのままで今にも喋り出しそうなほどに、違和感がないのだ。
 これを知ってしまった身としては、そう簡単にヴァイクモンをゴマモンとかいう炎の十闘士に渡したくはない情が湧いてくる。


 大体プレシオモンだって、ズドモンからの進化として見ると アサルトモン→キャノンドラモン 並に違和感がバリバリ最強No.1だが、
全身、トサカ、模様といい、体色はまさに「ゴマモン用の究極体」という出で立ち。
こちらはこちらで竹内順子声ですぐさま「あいよっ、丈!」「おいらに任せなって!」「目がイッちゃってるよ~!」と応えてくれそうな安心感がある。
デジアドの究極体は「ワープ進化」によって進化するため、「完全体と究極体」より「成長期と究極体」のイメージが優先される。
その設定が、当時の時点でプレシオモンがゴマモンの究極体として違和感なく存在できていた下地になっている。
 そうだ、ペンデュラム2.5にしたって、ズドモンからプレシオモンへは進化できないが、
ゴマモンからならば、 ゴマ→イッカク→(ジョグレス)ハンギョ→プレシオ と進化できるのだ。ハンギョ挟むのはちょっとアレだが、できるのだ!

 
 テイルモンの時に似たようなコトを言ったばかりだが、「ヴァイクモンがズドモンの進化系」という図式が出来上がってしまったのは仕方ないが、
せめて、せめてデジモンアドベンチャー及び02の世界では、ズドはプレシオに、シャッコウはヴァイクに進化してほしい…。
 などと思っていても、やる時は容赦なくやるのが我らがデジモン

 ハイ来ました!
まずはPSPデジモンアドベンチャーでゴマモンワープ進化!ヴァイクモン!
さらにそれに続けてデジヴァイスVer.15thでもズドモン究極進化!ヴァイクモン!!
デジヴァイスてめー!なんでテイルはちゃんとホーリードラにしてるくせにこっちはヴァイクなんだよ!そしてヴァイクのヴァイスドット似てねぇないつ見ても!

 
せめて、Vテイマー世界のゴンはプレシオモンになってほしい。



 …ふぅ、やってほしくないコトをあらかたやってもらったから、ある意味スッキリしたぜ!

 ヴァイクモンがシャッコウモンよりズドモンの進化先としてふさわしいデジモンなのは、今更否定しがたい事実だろう。
その一方で、ヴァイクモンが本来アルマジモンの究極体として登場したデジモンなのもまた、揺るがない事実。
だからズドモンはプレシオ・ヴァイク両方に、シャッコウモンもヴァイクと他の何かに出られる仕様にしてくれれば、俺は嬉しい。
…のだけど、その4体が久々に共演を果たした最新作「サイバースルゥース」においても、
ズドモンからプレシオモンは当然のように繋がっていなかったため、残念ながらあまり将来に期待はできないのだった。

 うーん、こんだけ進化ルートでアレコレ悶着を起こすヴァイクモンがリデジの頃からずっと安定して登場してるのに、
ホークモンの究極体として全く非の打ちどころがないヴァルキリモンがカードアリーナ以来全くポリゴンがなく、サイスルにも出演できなかったのは、なんとも…。
 言っちゃナンだが、「ヴァイクモンに人気がある」なんて話は全く覚えがないし、
プレシオモンより、それこそヴァルキリモンやインペリアルドラモンより出番が安定してるのは、冷静に考えてみると妙な話だ。


 オマケで触れておくと、プレシオモンには更なる進化先、強化形態がある。
プレシオモンX抗体も一応そうだが、それ以外にもう一体、イージスドラモンというデジモンが登場している。
デジモン史上でも稀によく見る、「何で出したのか分からないデジモン」だ。

---  イージスドラモン 究極体 サイボーグ型 ワクチン種
 
 プレシオモンにシードラモン系のデータが融合して生まれた亜種デジモン。
黄金の装甲をまとった光り輝く姿は、あらゆる邪悪をはらうと言われている。
必殺技のシャインブレイカーは、全身の砲から光輝のエネルギー砲撃と灼熱のエネルギー砲撃を目標に向けて一斉集中発射し、
全砲撃の集中点で2種類のエネルギーが融合して生じる超破壊的エネルギーの大爆発で、目標を消滅させてしまう。
その爆発はきらめく黄金色の閃光を放ち、凄じい威力ながらも神々しさも同時に感じさせる。
---


 何だコレ
そもメタルシードラモンやギガシードラモンがいるのにそれらのデータを使ってまでプレシオモンを改造する理由がサッパリ分からないし、
データ種だったプレシオモンが何故かワクチン種になってるし、プレシオモンの面影が全然なく、言われなければ分からない。言われても分からない
 しかもこいつ、プレシオモンの進化系、つまり超究極体として「デジモンストーリーロストエボリューション」で初登場したはいいが、シナリオに一切絡まない
いやホント、何なんだコレ

 こんなスタート地点からアホなデジモン、二度と拾われるコトもなくネットの海の藻屑となって散るのがお約束だったのだが、
ソーシャルゲームにはキチンと呼ばれて新規イラストを頂いたりしていただけでなく、
なんと2014年になって「デジモンオールスターランブル」にプレシオモンと共にゴマモンの進化形態としてまさかの登場
デジモン史上でも相当数が限られる「プレイヤーがアクション操作できるデジモン」の一体となったのだ。


イージス登場の報を受けた時は、思わずこんなコラを作らずにはいられなかった ※エグザモンはクロウォに一応出てました


 ちなみにこのオールスターランブル、洋ゲーなので日本で発売されていないのだが、
逆に海外ではイージスドラモンが初登場したロストエボリューション(及びそれに続く超クロスウォーズ)が発売されていないため、
向こうのファンからしたら、「何故ゴマモンがこんなゾイドになってしまったのか」と、日本人よりも驚かされただろう。
 オールスターランブルは実際にプレイさせてもらった所、本当にイージスドラモンが出ていた
声もBGMも日本的な馴染みがないので「ゴマモンの進化先としてどうこう」な感想は良くも悪くも皆無だったが、超必殺技がカッコよかった。

 そんなこんなで「ゴマモンの最終形態」として登場してきてしまったため、
このイージスドラモンもプレシオ、ヴァイクに続くゴマ究極体候補の一員に加わるコトになった。
うーん、どうせ出るなら「アルマジの新究極体」か「ヴァイクの進化形態」が来た方が丸く収まったのに、世の中、とりわけデジモンはそう上手くいかないなぁ。



◇まとめ

 こんなのブレていい所じゃねーだろ。しっかりしてくれよ。

 改めて言うと、「種族としての進化先が増えるコト」が問題なのではなく、「個体としての進化先が変わっている」のがよくない。
デジモンを「種族」として見られるデジワーやデジストでは進化先を選べるのに、
デジヴァイスやデジアドPSPなど、「個体」として見るコトになる作品の方で1つの進化を強制されるというのがよろしくない。
 
 別にテイルモンとゴマモンは困ってないだろうが、
アルマジモンは当時も今もテキトーな進化、軽い扱いに振り回されて、なんだか気の毒だ。
かといって、今更アルマジモンに新しい専用究極体を用意するのも違うだろう。
そもそも「後からそれっぽい進化が出てきた」せいでホーリードラモンやプレシオモンの地位が危うくなっているのだから、
ヘタなコトはせず、せめて今後のゲームで「アルマジ~ヴァイクが安定して登場する」ぐらいのやさしい世界になっていってほしい。


 さて、これを書いている時点ではまだ全容がつかめない続編「デジモンアドベンチャーtri.」では
アグモンやガブモン達以外も新たに究極体へと進化するらしい情報が入っているが、進化先はどうなるコトやら。
(絵コンテに、ヘラクルカブテリモンやホウオウモンらしき姿が確認されている)
 テイルモンは02通りにホーリードラモンになってくれた方が良い気もするし、
未だアニメで描写されたコトのないテイルモン→オファニモンをやってくれた方が建設的な気もする。うーむ、悩ましい。

 ちなみにオールスターランブルだと、テイルモンは何故かエンジェウーモンとエグザモンに進化する。
何がヒドいって、エグザはピヨモンとの共用進化な上に、ランブルのシナリオモードではホーリードラモンが出てくるのだ。そっちよこせや!

(そして上記のコラでも触れているが、ランブルだとテントモンもアトラーともう一つは、ヘラクルカブテリモンでなくタイラントカブテリモンへと進化する。
 しかし、流石に今更ラブテリオンが「テントモンの正統究極体」の座を奪うコトはできないだろう。
 ラブテリオンはアクセルで初登場した時は「コカブテリモン系の究極体」だったし、
 設定的にもデジモンミニ的にもヘラクルよりも上、つまりアグモン系で言うオメガモンの位置に収まるはずだ。全然出番ないから分かんないけど



 何はともあれ、tri.の進化先が、ランブル基準じゃありませんよーに。
…いや、むしろそれぐらいハデに迷走してくれた方がハクが付いて良いのかもしれない。



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