デジモンコラム ゴッドドラモン神話 Tweet 公開日:13/09/27 今更ココで言うコトでもないが、デジモンの数は多い。 その中には、数多の作品に引っ張りだこで今も昔も変わらぬ人気を持つ者もいれば、 マイナー作品に一度だけ出番をもらい、そのまま忘れ去られてしまったような、気の毒な使い捨てデジモンもいる。 全体の傾向としては、一発ネタで終わるデジモンが存在しない「初期の頃」に登場していて、 (当然ではあるが)アニメやゲームなど、様々な作品に登場したデジモンほど人気を持ち、その後の登場頻度や、メジャー度も高い。 しかし、「初期の頃からいるし、出番もそれなりにあるのにパッとしない」という、こっちまで悲しくなってくるようなヤツがいる。 そんなガッカリデジモンの中でも特に、「パッとするはずなのにパッとしない」という絶妙な地位を維持しているのが、ゴッドドラモンだろう。 --- ゴッドドラモン(海外名:Goldramon) 究極体 聖竜型 ワクチン種 6枚の硬質化した羽を持ち、体は黄金色に輝いている神龍型デジモン。 腕には聖なるデジモンの証、ホーリーリングを付けているところから神聖系デジモンの一種と考えられている。 ゴッドドラモンは"四大龍デジモン"の1種であり、四大龍デジモンは現在ホーリードラモンとゴッドドラモンの2体が確認されている。 また、ゴッドドラモンの右手の手甲には「破壊」を司る"紅炎のアモン"、左手の手甲には「再生」をつかさどる"蒼雷のウモン"という小型龍デジモンが封印されている。 必殺技は、聖なる気を炸裂させて全方位にいる相手を一瞬で薙ぎ倒す『ゴッドフレイム』。 (何故か未だに四大竜4体が判明していない公式図鑑より引用) --- これがゴッドドラモンの公式設定。 どことなくピエモンに似た雰囲気のメットとヒゲが少し気になるが、 羽の生えた金色の龍というデザインは男の子向けとして王道だし、「ゴッド」と名前で大きく出ただけあって、強そうな貫禄もある。 進化ルートで最終形態となる故に人気が出やすい「究極体」だし、「神聖系」デジモンは全体的にメジャー度が高い。 「四大竜」というデジタルワールド中でも力を持った「組織」に属しているし、両腕に別のデジモンを潜ませているという設定もユニークだ。 こう見ると、ペンデュラム究極体ぐらいのカリスマは持っていそうなものだが、前述の通り、ゴッドドラモンのパッとしなさはただ事ではない。 では一体、彼の何がいけなかったのか? ゴッドドラモンという種族のためにも、改めて追求していくとしよう。 ◇ゴッドドラモン、初降臨 ゴッドドラモンの原点は、「デジモンウェブ第2回ドット絵コンテスト」の銅賞入賞作品で、公募出身のデジモンとなる。 残念ながら自分は入賞時のゴッドドラモンの詳細について知らないが、白いメガドラモンのようなドットだったらしい。 このコンテストの同期には「ドッグモン」「クロスモン」などがいる。 そんなゴッドドラモンが初登場した記念すべき作品は、ワンダースワンソフト「デジモンアドベンチャー アノードテイマー」。 …なんかもうこの時点でパッとしない理由の4割ぐらいが分かってしまった気もするが、 侮るなかれ、ワンダースワンソフトであれど、アノード(・カソード)テイマーはなんと24万本も売れた中々のビッグタイトル。 そんなメジャーゲームで初登場したのなら、プレイヤーの記憶にも大いに焼き付いているはず! …が、なかった。 今作のゴッドドラモンは、デジモンの組み合わせで発動する合体技「ヴァリアブル」の強力な一つとして登場しているのだが、 その発動には、大会優勝者やイベント参加者のみが入手できた「ブイドラモン」が必要不可欠であり、 ただでさえブイドラモン所持者が限られているのに、ワンダースワンはイベント限定データが入ったセーブでも遠慮なく消し飛ばす。 こんなモン拝めるワケないだろ! いい加減にしろ!! 実際、全国でゴッドドラモンのヴァリアブルを生で拝めたプレイヤーは、1000人…いや、ヘタしたら100人も怪しいのでは?と、いらぬ心配をしてしまう。 (Vジャンプなどの誌面でその存在には触れられていたので、「存在を知っている」人はちゃんといた) ちなみに、ゴッドドラと同じく隠しヴァリアブルとして登場したデジモンのメンツは 「アポカリモン」「ガルルグレイモン(現オメガモン)」「ディアボロモン」…という錚々たるメンバー。 ここにゴッドドラモンを並べるだなんてもはやイジメレベルの所業に思えてしまうが、 当時は4体ともこのゲームが初登場なので、この時点ではまだ同じラインにいたはず!………かな? (ちなみに、第1回ドット絵コンテストに入賞した「スカルサタモン」もアノードテイマーでヴァリアブルデビューしているが、 こちらは「デビモンとオーガモン」という普通に入手できる組み合わせで、一般プレイヤーでも発動するコトができた) さて、ゴッドドラモンの発動には「ブイドラモンが必要」という条件からも分かる通り、 ゴッドドラモンは当初、ブイドラモン系の究極体として登場していた。 …なんかもうパッとしない理由の8割ぐらいが分かってしまった気もするが、まだゴッドドラモンの神話は始まったばっかりだ! ◇ゴッドドラモン、進化の路頭に迷う 実際に多くのデジモンファンが「ゴッドドラモン」を認識しているのは、 当時流行していたデジタルモンスターカードゲーム・ブースター4に収録されたキラカードの姿だと思う。 ゴッドドラモンの神々しい公式絵と、その姿に相応しいウィンドガーディアンズによる青い背景、 さらにはカードのホロ処理も相まって、デザイン完成度の高い素晴らしい1枚になっている。 能力もこの時期の究極体としては申し分ないし、間違いなくここがゴッドドラモンのピークだ。 注目すべきは、進化条件になっている完全体。 サイバードラモン、ホーリーエンジェモン、マスターティラノモンの3体だ。 何故かここにエアロブイドラモンの姿はなく、ゲームとカードでゴッドドラモンへの認識が異なっているのが分かる。 カードダスは基本的に「一番上に書かれたデジモン」が正統ルートである場合が多いので、 この時のカード的に、ゴッドドラモンは「サイバードラモンの究極体」としてイメージされていたのだろう。 同じワクチン種の竜型デジモンだし、ちゃんとそれらしさはある。 また、当時はエンジェウーモンがホーリードラモンに進化するように、 「神聖系デジモンは最終的に竜になる」という風潮があったため、「ホーリーエンジェモンの究極体」であった可能性も濃厚だ。 ゴッドドラモンはホーリードラモンと関連が多いので、この「エンジェ系究極体」ルートが一番有力かもしれない。 ついでに言えば、「マスターティラノモンの究極体」であっても問題なかった。 マスターティラノモンはワクチン種に目覚めた種族であるし、炎や気を操る能力を持つ竜なので、属性的にはゴッドドラモンと極めて近いのだ。 アノードカソードの「エアロブイドラモンの究極体」扱いも踏まえると、 ゴッドドラモンは実に「4種族もの完全体を束ねる、非常に汎用性の高い最終形態」だったのが窺える。 しかし、それがアダとなった。 その後もゴッドドラモンは「どの完全体から正統進化する究極体なのか」が定まらないまま、長期間扱われたのだ。 その間にも、「ホーリーエンジェモンがセラフィモンに」、「サイバードラモンがジャスティモンに」と言った感じで、 かつてゴッドドラモンに進化していたデジモン達は別の正統進化ルートを獲得し、離れていってしまった。 初期の頃はそうでもなかったが、アニメが始まって人気を博して以来デジモンは「コネありき」の風潮がとても強まり、 「進化前・進化後がハッキリしているデジモン」ほど公式も扱いやすいのか、優遇される傾向にあった。 だから明確な進化ルートを持っていた方が有利なのに、このゴッドドラモン、一向に進化が定まらない。 「アルティメットバトルセット・レジェンドオブドラモンセット」で再登場した際には、 今までの完全体とは全く異なる「メガドラモン」が一番上の進化条件になっている。 それも含め4体もの完全体から進化できるが、「もう竜ならなんでもいいや」と言わんばかりの数撃ちゃ当たる戦法を見せている。 (進化前デジモンは収録カード内容に大きく左右されるので、カード的には悪くも間違ってもいないが…) 結局の所、「ゴッドドラモンの進化前と言えば?」と聞かれたら「メガドラモンじゃない?」と答えるファンが大半だと思われる。 メガドラモンはゴッドドラモンと同じく「大きな翼を持ち、脚はないが腕はある」という体型が一致しているのが強力な要因だ。 頭部に金属性のメットを被っていたり、腕から技を放ったりする点も一致していて尚いい。 残念ながら属性はワクチンとウィルスなのでそこは離れてしまうが、進化の過程で属性が変わるコトは少なくはない。 何よりメガドラモンの進化前とされるエアドラモンは、ワクチン種かつ「神に近い」設定を持つ竜デジモンであり、 「こいつがゴッドドラモンにならなかったら何になれって言うんだよ!」というぐらいおあつらえ向きな逸材だ。 これらをまとめれば、自然と「エアドラモン→メガドラモン→ゴッドドラモン」というルートが浮かび上がって来るだろう。 そんなルート、公式で実装されたコトはないけど。 ブースター18に登場した頃には、ついに進化はメガドラモンからのみに絞られた。 これにより「メガドラモンからの進化が正統ルートになった」風な雰囲気を出してはいるものの、 ゲーム方面では相変わらず(メガドラモンが登場していても)エアロブイドラモン他からの進化を繰り返していたため、 メディアによっての相違が続いていて、イマイチ「イメージの定着」を成し遂げるコトはできなかった。 折角なのでゴッドドラモンの進化前をまとめてみよう。 ◆ゲーム アノードカソード → ブイドラモン タッグテイマーズ → エアロブイドラモン ディーワンテイマー → エアロブイドラモン ブレイブテイマー → エアロブイドラモン ※カードジョグレス ディープロジェクト → エアロブイドラモン メタルティラノモン ※仕様上、完全体から究極体へは進化しないが、同じ進化ルートの完全体を記載 サンバースト&ムーンライト → エアロブイドラモン ロストエボリューション → ホーリーエンジェモン 超クロスウォーズ → メガドラモン+ホーリーエンジェモン+メタルティラノモン+トリケラモン ◆カード ブースター4 → サイバードラモン ホーリーエンジェモン マスターティラノモン レジェンドドラモン → メガドラモン トリケラモン ギガドラモン ヴァーミリモン ブースター19 → メガドラモン ブースター22(X抗体) → メガドラモン メタルティラノモン トリケラモンX抗体 α Evolve.1 → パイルドラモン ヒシャリュウモン αプロモーション → ヒシャリュウモン カラテンモン ヤタガラモン これを総合すると… 1位(5回):エアロブイドラモン 2位(4回):メガドラモン 3位(3回):ホーリーエンジェモン メタルティラノモン トリケラモン(X抗体も同一カウント) 4位(2回):ヒシャリュウモン …という結果になった。 上位はメガドラとエアロブイドラで争うとは思っていたが、想像以上の拮抗した戦いとなった。 メタルティラノモンやトリケラモンといった恐竜系デジモンからの進化も多い所も意外だ。 こんなに沢山の進化前デジモンがいても、何故「ゴッドドラモンはこいつから!」というイメージがどのデジモンからも定着しないのか? もはやご察しかと思うが、ゴッドドラモンに進化する完全体はほとんどが正統進化ルートを別に持つデジモンばかりなのだった。 前述のとおり、最初のカードで進化していたホーリーエンジェモンとサイバードラモンには真っ先に裏切られてしまったし、 長年アプローチを重ねていたエアロブイドラモンも、結局はアルフォースブイドラモンという否定しようのない直系究極体に進化してしまった。 トリケラモンはゴッドドラモンになるぐらいならディノレクスモンやアルティメットブラキモンなど恐竜への道を選ぶだろうし、 マスター・メタル両方から期待が持てたティラノモン系にも、2013年にはついにラストティラノモンという最終形態が登場してしまった。 こうなればやはり、メガドラモンが最後の希望。 何と言ってもメガドラモンはデザインが近いし、「エアドラモン」という頼もしいパイプがある。 そして、2013年現在でも直系の進化先を持たない「フリー」という事実! ここに付けこむしかあるまい! …しかし不運なコトに、メガドラモンはゴッドドラモンとは逆に「進化先が定まらないデジモン」なのだ。 メガドラモンはゴッドドラモン以上に古参のデジモンであるし、その姿かたちや属性のおかげで、ゴッドドラモン以上の汎用性を持っている。 勿論、ゴッドドラモンへの進化は公式でも存在したし、妥当ではある。いつか公式に「直系進化です」と断言されても納得はできるだろう。 つまりこの状況は、決して「お互いにとって好都合」なのではなく、 「誰でもいいから進化前になって!」と後が無くなりふり構っていられないゴッドドラモンに対し、 メガドラモン側は「究極体なんて、掃いて捨てるほどいるわ」と、頭を下げるゴッドドラモンに痰を吐きかけながら煙草を吸うほどの余裕があるのだ。 実際の所、今からメガドラモンさんをもらう、ましてやイメージを独占するのは相当厳しい。 頭部・片腕のパーツを共有する「ムゲンドラモン」、ゴッドドラモン以上にイメージが近い「メギドラモン」、 本来は別系譜ながらもリ:デジタイズシリーズで進化先として位置づけられ、説得力もある「ダークドラモン」…と、強力なライバルが多すぎる。 ゴッドドラモンはこれらの猛者に打ち勝ち「メガドラモンの進化先」というイメージ・地位を獲得できるだろうか。 それ以前にキャラクターとしての人気で勝てるか? ていうか、まず出番がもらえるのか? 進化ルートが後出のデジモンに上書きされた実例としては、ケルベロアヌビルートをシーサから奪ったドーベルや、 ファルコヤタガラを部分的に拝借してきたペック・レイヴなど、一応、ないコトはない。 つまり、公式の気分次第でゴッドドラモンが急に大勝利する可能性もないコトはないと言えるが、 冷静に考えてみると、ゴッドドラモンはむしろ今までの段階で進化を奪われてきた側なので、今更そんな救済があるとはとても…。 それにしてもゴッドドラモン、お前そのαになってからの進化前チョイスはなんだ!? メガドラモンやエアロブイドラモンのコトは諦めてしまったのかもしれないが、だからって手を出したのが ヒシャリュウ、ヤタガラ、パイルドラだなんて、どれも最初から勝利(=直系進化)を約束された完全体で、お前に勝ち目なんてあるワケないだろ!! ついには「顔と胸がちょい似てるかな?」程度のカラテンモンにまで手を出して、よっぽど余裕がなくなっていたと見える。 そんなワケで、ゴッドドラモンは エアロブイドラモン、サイバードラモン、ホーリーエンジェモン、マスターティラノモン、メタルティラノモン…etc…と、 5つ以上の系譜の究極体になり損ねたという、デジモン史上でも類稀なる玉砕率を誇る存在となった。 この点に関してだけは、全デジタルワールドを見渡しても他の追随を一切許さない。許せよそんな所。 それにしても、超クロスウォーズの 「メガドラモン!ホーリーエンジェモン!メタルティラノモン!トリケラモン!デジクロス!! ゴッドドラモン!!!!」 …というレシピは、上のまとめを見た後だと尚更美しく、完成度の高いモノに感じられる。 そうだ、通常進化にこだわるから他の直系進化に負けてしまうんだ。 もうさ、この組み合わせのジョグレスが公式進化ってコトでいいんじゃないかな。 ◇ゴッドドラモン、四大竜に入る 「進化ルートがメチャクチャでも、キャラとして人気が出ればいいじゃない」と考えよう。 ぶっちゃけ、進化ルート的にはもはや一生「アルフォースが出なかった時のハズレ代役」以上のイメージをもらえそうにないので、 「ゴッドドラモン」という一キャラクターとしての人気をコツコツと上げていった方が、まだ可能性があるというモノだ。 (既にゴッドドラモン登場から13年ほど経っていてこのザマである点は無視する) 注目すべきは、ゴッドドラモンが「四大竜」というグループに所属しているコト。 ロイヤルナイツや七大魔王のように、グループありきで執拗に持ち上げられ、いつの間にか人気キャラかのような扱いを受けているデジモンも少なくはない。 ここになら、勝機を見出せるのでは!? まず、「四大竜」という組織とは一体何か。 四大竜とは、神にもっとも近く絶大な力を持つ伝説の4体の竜デジモンであり、 聖竜「ホーリードラモン」、神竜「ゴッドドラモン」、蒼龍「チンロンモン」、邪竜「メギドラモン」によって構成される。 ……ん?「神にもっとも近く」? なんてこった!ゴッドドラモンは神いわゆるゴッドじゃなかった!! 名前負けかテメェ!そんなだからダメなんだよ!! エアドラモンの時点で「神に近いデジモン」なのに、究極体でもまだダメなのか! どーせデジタルワールドの「神」って、あの無能冷蔵庫なくせに!! さておき、そんな感じで四大竜は、強力なドラゴンデジモン4体の総称らしい。 ……え? 目的は? 活動内容は? 馴れ初めは!? え? 何もねーの!? おいおい、本当に何もありませんじゃねーかよ。 3体イイモンの中に1人メギドラモンというワルモンが混ざってる辺り、世界を守護する正義メンバーというワケではなさそうだ。 (ていうか、タカトがギルモンを生み出してそのあと暗黒進化してくれなかった場合、どうするつもりだったのだろう) 善悪が混ざっているせいで使い勝手は良さそうではなく、 ときたま何かに「四大竜」が使われるコトがあっても、「偉そうな奴らがなんか押し付けてくる」ぐらいが関の山な印象しかない。 そもそも、組織的にやれそうなコトが「四聖獣」とあまりにも被っている。ていうか実際、メンバーが被っている。 世界の安定に忙しそうなチンロンモンが掛け持ちでやれる程度の組織だと思うと、四大竜の存在意義というのはいよいよ分からなくなってしまう。 救いは、四大竜のメンバーに華がある点だろうか。 テイルモン系の究極体として登場し、アニメでもワープ進化を見せたホーリードラモン。 02、テイマーズの2度に渡り四聖獣として登場し、見た目通りの存在感を見せたチンロンモン。 テイマーズの主人公・タカトのパートナーが暗黒進化した姿としてショッキングな登場となったメギドラモン。 いずれもデジモンが盛り上がっている時期にアニメで印象的な出番を………あれ? 1体出てなくね? そう、これが一番決定的な問題だったかもしれないが、ゴッドドラモンだけ未だアニメデビューに失敗している。 「アニメに出る」というのは(不本意ではあるが)デジモンにとってかなりのステイタスで、これがないのは本当に痛い。 しかもこれは「この先出れば大丈夫!」というワケでもなく、「初登場してすぐに出られなかった」時点で積んだと言っても過言ではない。 ましてや、 「空気でも大御所でも雑用エキストラレベルでなら出演できるアニメ」、もとい「デジモンクロスウォーズ」にすら登場できなかったのは致命的。 かといって、今更ファンロンモンのように新デジモンの馬になるのもアレなので、 いつか「四大竜の一員」としてオファーがかかるのを静かに待つのが、僅かでもベターな姿勢だろう。 …しかし、チンロンを使うなら四聖獣の方が優先度が高いだろうし、ホーリードラはオファニモンの影に隠れ始めているし、メギドラも不自然なほど扱いが悪い。 早い話が、四大竜のブランド力に期待できないので、 四大竜以外のパイプを持たないゴッドドラモンは、やはり詰んでいると考えるしかないのでは…? また、ゴッドドラモンは、「育成」の場にも恵まれていない。 ホーリードラモンはペンデュラム1.5やデジモンミニVer.3に登場しているし、 メギドラモンはペンデュラムプログレスのVer.1、チンロンモンも同シリーズのVer.3に登場し、 プレイヤーにエサやウンチの世話をされるという、デジモン的には栄誉ある舞台に立つコトができている。 ゴッドドラモンもゲームへの出演率は思いのほか多いが、それを「育成」に絞られると、ディープロジェクトぐらいしかない。 しかしディープロジェクトの育成対象は成熟期までで、完全体・究極体は戦闘中に進化するのみの登場なので、「育成できる」とはとても言えない。 「育成」は、プレイヤーから愛着をもってもらうコトのできる大事な場面なので、これを逃しているのは見過ごせない痛手だ。
「アニメ出演」「育成対象」などの大きな点では他の四大竜に一歩劣ってしまったが、別の面ではどうだろう。 なんでもゴッドドラモンは、「秘めたる魔力は四大竜中最強!」と謳われたりするほどなので、戦闘力には期待できるかもしれない。 …と言った矢先に言葉を翻してしまうのだが、ゴッドドラモンに強いイメージなんて、ない。 まず、四大竜が集結し「秘めたる魔力は四大竜中最強」と煽ったレジェンドオブドラモンセット内でも、ゴッドドラモンの能力値は最弱。ギャグかよ。 ゴッドドラ : 680+610+310=1600 ホーリードラ: 650+660+380=1690 チンロン : 730+590+440=1760 メギドラ : 760+700+480=1940 「秘めたる魔力」をカードの数値で判断してはイケナイのかもしれないが、みんなが見るのはまずココなので、致し方ない。 他のゲームではどうだ。ゴッドドラモンがゲームで目立っていたのはアノード~ブレイブの頃だが、 基本的にゴッドドラモンの固有技は味方デジモンのサポート技だったため、弱くはないが、「他より強い!」というイメージは芽生えにくかった。 「ディープロジェクト」にはホーリードラ、ゴッドドラ、チンロンの3体が登場。 ゴッドドラとチンロンは通常の究極体扱いであるのに対し、 ホーリードラモンは究極体同士が合体する「ジョグレス体」として登場し、「一つ上な扱い」となっていた。 あからさまにヒドいのが、「ロストエボリューション」でゴッドドラモンがチンロンモンに進化するという処置。 同じ四大竜、同僚のはずが、明確に一段階の差をつけられてしまった。 (クロスウォーズでアポロモンの部下にマルスモンがいた件を彷彿とさせる。アニメにゴッドドラモンが出たところで、どうせこんな…) うーむ、振り返ってみても、四大竜中で「同等あるいは下」だったコトはあれど、上だった場面が全くない。 無情にも、「四大竜に所属している」というステイタスは、ゴッドドラモンの強さでなく残念っぷりを際立たせてしまっているようだ。 デジモンの組織には大体1体ぐらいはデザインの浮き方や扱いの悪さで「気の毒なヤツ」が紛れてしまうものだが、 このコラムで確かめるまでもなく、四大竜のカワイソ枠はゴッドドラモンだった。 ええい、こんな組織にいられるか! ゴッドドラモンなら一人でもきっと立派にやっていけるはずだ!! ◇ゴッドドラモン、X進化する 四大竜とは関係ない出番にも目を向けてみよう。 意外にも、ゴッドドラモンは「Vテイマー01」のフロンティア特別編(7巻に収録)に敵として登場している。 しかしこのゴッドドラモンの正体は、倒した相手のデータをコピー・強化して変身する能力を持つ「メタモルモン」。 つまり、コピーされたゴッドドラモン本人は既にメタモルモンにやられている。 (コピーとして登場するのはインペリアルドラモンファイターモード、デスモン、ゴッドドラモンの3体。 3体とも見事なまでに「なんかやられてそう」と納得できてしまうチョイスだ) で、このコピーゴッドドラモンは強いのかとなると、弱い。 ゴッドフレイムやアモン・ウモンの存在など忘れてひたすらパンチを繰り返すもゼロマルに全て回避され、 アグニモンに背後から取り押さえられ、そこでゼロマルからブイブレスアローのクリーンヒットをもらう…というメタモルモン的にも屈指の足手まといフォーム。 奇しくも「進化前候補だったエアロブイドラモンにコテンパンにされるゴッドドラモン」という構図ができあがっているが、 これは「いずれアルフォースブイドラが来るんだから、ゴッドドラなんか要らない」というエアロブイドラモン種からの決別だったのかもしれない。 そういえば、エアロブイドラモンは昔アルフォースどころかゴッドドラモンもいなかった間、「ホウオウモン」に進化していた。 この「ホウオウモン」と「ゴッドドラモン」も、鳥と竜であるコトを除けば中々に共通点の多いデジモンだ。 同じウィンドガーディアンズに所属するワクチン種の究極体で、金色の体毛や、炎を操る点なども一致している。 神聖系デジモンの証である「ホーリーリング」を付けているのも……あれ? ホウオウモンはリングを2個も付けてるぞ。 ん? ゴッドドラ、お前1個しかもってないの? 名前がゴッドで、神に近いはずなのに、神聖度でもそこらの究極体に劣ってしまうのか…。 嗚呼、また負けてしまった。 究極体なのに。四大竜なのに。秘めたる魔力は最強なのに。 力が欲しい。 自分にもっと、力があれば……。 ゴッドドラモン本人がそう思ったのかは定かではない。しかし、彼にもチャンスが訪れた。 どういう基準で選ばれたのかは分からないが、ゴッドドラモンはX抗体を獲得し、X進化を果たしたのだ。 --- ゴッドドラモンX抗体(海外名:Goldramon X-Antibody) 究極体 聖竜型 ワクチン種 X抗体によるゴッドドラモンのデジコアへの影響 X抗体による影響がほとんど見られないということは、それまでに潜在能力を発揮していたということである。 デジタルワールドの歴史と共に進化し続けてきたゴッドドラモンに、もはや大きな変化は見られないが、 隠されていた格闘能力が引き出された。 頭部と胸部は新たな装甲へと変貌し、硬質な羽は格闘の時に身動きし易く、また盾の役割を果たすため一対となった。 その腕から放たれる拳の一撃「ゴッドフィスト」は、聖なる力を差し引いても、並みの究極体デジモンでは受けられずに吹き飛び ”天空を翔ける剛腕の格闘竜”とまで呼ばれるようになった。 (デジモンワールド リ:デジタイズデコードのカード解説より引用) --- ゴッドドラモンX抗体の設定は当時公開されず、 少なくとも自分が知る限りでそれらしい設定を見たのは、デコードのそれが初めてだった(実際は「デジモン生活」の時点であったらしい)。 コレは埋もれていた設定を引っ張ってきたのか、後になって新規に設定を作りだしたのかは分からないが、 全体的に「デザインが原種からあまり変わってないコトへの言い訳」、後付設定のカタマリのように取れてしまう。 てか、神聖系デジモンって羽が多いほどエラいみたいな風潮あるのに、10枚から2枚にってのは思い切りが良すぎる。 その理由とされている「動きやすく~」というは分かるが、羽が減って面積が減っているのに「盾の役割を~」というのはよく分からない。 (ビクトリーグレイモンのように、背中から外して組み合わせて、腕で持つ盾になったりでもするのだろうか? もしそういう設定ならちゃんとイラストにして見せてほしいものだが、羽は2枚しかないのに2枚の羽をもいだら地に墜ちるのでは…) 結局ホーリーリングは1個のままっぽいし、わき毛が爆発して頭にチョロッとツノが増えたぐらいで、公式設定どおりに変化は乏しい。 改変の余地がありそうだった長い胴体がそのままノータッチなのには驚きだが、 腕の防具が両方とも同じ赤色になってしまっている辺り、アモン・ウモンのどちらかに何かがあったのかも気がかりだ。 必殺技が格闘技になったのは悪くない変更だと思う。 「ゴッドドラモンだからゴッドフレイム」というのは安直だったし、ホーリードラモンのホーリーフレイムや、メギドラモンのメギドフレイムと丸被りだった。 この技名だと「俺のこの手が真っ赤に燃える~」とでも言いだしそうな勢いだが、同じバンダイだし、そういうパロディ要素も含めているのかもしれない。 (しかしどうせなら、X進化する前の方が羽の雰囲気は近かったのに…)
ゴッドドラXに限らず、ペンデュラムXなどのギアに出たコトもなければ、デジモンストーリーやデコードでも拾ってもらえなかったXデジモンは数多くいるのだ。 (ソーシャルゲームでは登場しているかもしれないが、そちらは知らないのでノータッチ) そういえば、同じ四大竜のホーリードラモンとメギドラモンもX進化を果たしている。 チンロンだけハブられていたり、メギドラXのカードから「四大竜」表記が消し飛んでいる謎は置いといて、その攻撃力合計値を比較してみよう。 ホーリードラモンX抗体はゴッドドラXと同じくブースター22、メギドラモンX抗体はアルティメットバトルセット・X-進化ボックスにて、いずれも1枚だけカード化された。 さあ攻撃力の比較結果は? ゴッドドラX : 850+740+380=1970 ホーリードラX: 810+710+470=1990 メギドラX : 880+740+420=2040 …そうか、またなんだね。 一体全体、公式はなんでこうまでゴッドドラモンに僅かでも勝利の美酒で酔わせてやろうとしないのか。 レジェンドオブドラモンセットの時もだけど、ご丁寧に「ABCどれかの攻撃力だけは一番秀でている」というコトもない徹底っぷり! 一応、ホーリードラXがバトルタイプC故に不安定だったり、メギドラXはメガログラウからしか進化できなかったりするので、 総合的に見ればゴッドドラXが劣っているワケでもないが、今求めているのは「秀でている部分」なので、あまり喜ばしくもない。 結局のところ、X進化でゴッドドラモンが得たモノは「多少の強化」と、「肉弾戦特化」のみ。 ホーリードラXやメギドラXの扱いも同等に良くはないが、元々それなりに恵まれていた2体に比べて、 ゴッドドラモンのX進化が「躍進のチャンス」でも何でもなかったのは残念無念。 これならいっそ、代わりにチンロンモンがX進化して、ゴッドドラモンだけハブられるとかの方がまだネタキャラ的には美味しかったぞ! ゴッドドラモンX抗体が近距離パワー型として新しく設定された意図は恐らく「別の四大竜との差別化」だろうが、 他の3体からしてみれば「どうでもいいし…。お前、いつまで四大竜に拘ってんだよ…」と冷ややかな目で見られていそうだ。 「ゴッドフィスト」というパンチ必殺技により、「ヘブンズナックル」を持つエンジェモンとのルーツが強まったかもしれないが、 エンジェモン系はセラフィモン以外にもスラッシュエンジェやクラヴィスエンジェなどの格闘パワータイプの天使究極体が存在するので厳しい。 そういえばサイバードラモンの必殺技は「イレイズクロー」だった。 ヒーローショーに出るつもりのないサイバードラモンをひたすら勧誘したら、多少は神の道へと導かれてくれるかもしれない。 まぁ、戦闘スタイルなんぞより、冷気か何かに属性チェンジでもしてくれた方が別の未来が拓けていただろうけど、 このパッとしなさも「ゴッドドラモンらしさ」と言えばらしいので、これで良かったのかもしれない(投げやり)。 ◇ゴッドドラモン、未来を信じて戦い続ける 総括すると、ゴッドドラモンがイマイチパッとしない理由は ・デビュー作品で第一印象を残せなかった ・アニメに出られなかった ・進化ルートを確立できず、扱いがブレブレ(場合によってはブイドラモン系のハズレ扱いすらされていた) ・属している四大竜が組織として機能しているとは言い難かった ・プレイヤーが愛着を持って育てられるゲーム(育成他)に出演できていない ・あらゆるメディアで、強さやキャラクター面で印象に残る出番がない ・X進化でのテコ入れに失敗 …などのマイナス要素が挙げられる。 この程度の悲惨な扱いを受けているデジモンは珍しくもないが、ゴッドドラモンの場合、 ・初期から登場している ・究極体である ・ホーリードラモンやチンロンモンの同僚である ・秘めたる魔力は四大竜中最強 ・ゴッド …などの、本来ならプラスになっていたはずの強キャラ要素をも巻き込んで、残念さが強調されているのが実情だろう。 このコラムは、「ゴッドドラモンが何故パッとしないのか」を再確認するモノであって、 「ゴッドドラモンがこの先生きのこるには」を考察するモノではない。 このページをゴッドドラモン本人に見せたら自らリセットボタンを押しかねないほどの鋭さがあるが、 輝かしい未来は、ゴッドドラモン自身の手で掴んでもらうしかない。 そう、きっと、X進化して手に入れた「ゴッドフィスト」は、金色に光り輝くゴッドドラモン神話を綴り、栄光を勝ち取るための拳だったのだ。 ならば我々も信じよう。ゴッドドラモンがいつか、本当に"神"となれるその日が来るコトを…! …まぁどうせ無理だろうから、 この先アニメかゲームにキャラクターとして出していただける機会があったなら、 ビーム竜を2匹飼ってる金ピカ同士、オレーグモンと仲良く海賊でもガッポガッポやってりゃあいいんじゃないかな(適当)。 コラムトップに戻る サイトトップに戻る |