デジモンクロスウォーズ デジモンクロスフィギュアシリーズ
06 ベルゼブモン シャウトモンX4B)
「孤高の魔戦士」と書いて「下半身要員その2」と読む

2010年10月16日発売
定価2625円
公式サイト

 なんだか色々あってクロスハートにベルゼブモン(通称:新ベルゼブモン)が参戦。
クロスローダーと同日に発売されたので若干影が薄くなってしまった感があるが、
このシリーズでは珍しく、本編より早い発売となった。まあ、本編があんだけ休止してりゃ玩具も追いつくわな

 インプモンのデジメモリ説明書が付属する。

 本体のほか、ベレンヘーナ(小銃)とベレンヘーナSDX(黒くてでかいの)が付属する。
「SDX」が何の略なのかは分からないが、まあ普通ならスーパーデラックスとかそこらへんだろう。
でも「~ガン」みたいな名前ならともかく、「ベレンヘーナ」は「SDX」なんて修飾の仕方をするような名前ではないと思う。

 変形の都合上で逆三角形マッチョだが、変形合体玩具だと考えるとまあ許容範囲なプロポーション。

 新ベルゼブモンは従来のベルゼブモンのようなワイルドなファッションとは違い、
合体ロボになることを想定してか、全体的にメタルヒーローみたいなデザインになった。
 頭部や羽のデザインは従来のベルゼブモンと変わらない。
おかげでベルゼブモンだとすぐに分かるが、むしろ頭部が同じせいで違和感が物凄い。
あと、地味に特徴的だった尻尾は、今回だと玩具的に邪魔だったのか消滅した。

 見て分かる通り、ただのベルゼブモンでなくカラテンモン…いや、ベルゼブモンブラストモードを意識している様子。
でも右腕のは陽電子砲じゃなくなったし、味方になるの前提の割には目も赤いまんまだしでなんか中途半端。
 必殺技は、「ダークネスクロウ」はオリジナルから引き継いでいるが、カオスフレアやデススリンガーは消滅。
代わりに右腕のSDXから「デス・ザ・キャノン」という小学生みたいなネーミングの必殺技を繰り出してくれる。


 全身のメタリックシルバーの装甲は綺麗だが、体がいくらなんでも黒すぎ。
玩具的にはシルバーと黒の対比がよく映えていて高級感があるものの、
公式絵やアニメだと体色はもっとグレーに近い色なので違和感がある。
アクセントになっている胸と太腿の茶色いベルトが未塗装(黒で塗りつぶされている)なのも残念。
頭部や羽の色には特に文句なし。

 しかし例によって案の定やっぱり予想通りに頭部がヒドい
ただでさえ「顔は人形の命」なのに、ドルルモンとかコイツとかの2枚目キャラに限って特にヒドい気がする。

 目が赤一色なのは置いといて、この呪術扱う系のキツネみたいな目がヤバい。
シャウト、ドルル、グレイと目の塗装がヒドい奴は多かったが、そもそも目の形すらダメなのは今回が初めてだ。
よく見たら、真ん中の目だけ黒目が塗られている。それよか先に横の2つの目に力を入れてくれ


 しかし、このベルゼブモンがあからさまに残念なのはこの頭部ぐらいで、
こいつに対する評価は「この顔を許せるかどうか」にかかっていると思う。
俺はいじっている内に「許せた側」なので、それを念頭に入れて続きをどうぞ。

 パッケージからも分かるが、中々可動は優秀。

・首が横に回転
・肩が90度横に開き、360度前後回転する
・肘が45度ずつ左右回転し、さらに内側に90度まで曲がる
・両手首が左右回転
・足が根元から外側へ90度開き、他のパーツと干渉しない限りは前後にも回転
・膝は左右回転し、後ろ側に90度、前側にも20度ぐらい(クリック1回分)曲がる
・足首はボールジョイント接続

 これで後は首が前後に動いてくれれば言う事なしだったが、子供向け変形玩具としては十分なレベル。
足首のボールジョイントはちょっと不安だけども、見た感じ、割と大きめで頑丈そうなのが使われているっぽい。
足自体が末端肥大気味にが大きく作られているので、自立性も悪くない。

 上記の可動とは別に、羽もかなり自由に動く。
羽は梱包時はバラされているので、背中のジョイントにセットする必要があるが、
ジョイントは根元で自由に横回転させることができるし、180度立たせる(=逆側に倒れる)こともできる。
さらにジョイントと羽の接続部も回転軸になっているため、背中側で動かす分には不自由しない。

 付属のベレンヘーナは勿論腕に持つことが可能(手の平の凸に銃の穴を差し込んで保持)で、左足のホルスターに収納もできる。

 右腕は拳そのものがなく、最初からバルカンだかガトリングだかになっている。
片腕が武器になってるデザインと言うのはそう珍しくもないが、
こいつは武器になってる側の腕が普通の方の腕より短いのがちょっとバランス悪い。

 ベレンヘーナSDXは、背面の穴に右腕をブチ込むことでカッチリと装着可能。
このギミックのために右腕の形が犠牲になっているのだから、勿論装着できるのは右腕だけ。

 SDXの造形が多少アレなのが惜しまれるが、細身だったベルゼブに、迫力やケレン味が途端に増されるのがイカスぜ。
尚、ベレンヘーナSDXは装着後自由に横回転させることができる。

 もはや玩具のお約束だが、武器が大きいせいでポーズをつけての自立が難しくなるのは難点。
こいつの場合、肩関節はSDXの重さにも余裕で耐えられるが、ひじ関節はちょっと頼りない。


 このシリーズで手持ち武器が付くのはシャウトモンに続き2番目だが、
スターソードのような産業廃棄物と違い、ベレンヘーナ、及びSDXは特にストレスなく遊べる。
ベレンヘーナがホルスターに収納できるのも地味に嬉しいので、どうせならSDXも背中かどっかに着けられると良かったかも。

 

 SDXにスターモンを乗っけて「メテオキャノン」を再現。ムゲンドラモン改をやっつけろ!
この技(一応デジクロス?)は特に玩具再現を想定していなかったようで、銃身は伸びないしスターモンも本当に乗っけただけ。

 クロスフィギュアといえば「どれも値段の割に小さい」のがネックだったが、
なんと、このベルゼブモンはシリーズで初めて「値段に見合ったサイズ」となっている。
上の画像を、「左は定価6510円で右は2625円」だということを意識しながら見れば、それがよく分かるだろう。
(ちなみにX4の高さは19センチちょいで、ベルゼブは16センチぐらい)

 折角なので、ブルーフレアの2人とも並べてみる。なんかこっちのが普通に馴染んでるぞ。

 あと今更ですが、超進化とかD-REALのベルゼブは持ってませんごめんなさい。


シャウトモンX4B

 以前からのデジモンファンなら「ベルゼブモンが合体要員に?HAHAHAナイスジョーク」と誰もが思っただろうが、
なんだかんだのアレコレで、マジでいつの間にかベルゼブモンが合体要員になってしまっていたから恐ろしい。

 シャウトモン!バリスタモン!ドルルモン!スターモンズ!ベルゼブモン! デジ…クロォォス!! …長ェよ!

 しかし、こう並べて見るとベルゼブの浮きっぷりが凄い。
ぱっと見無関係そうなこいつらが余剰もなしに合体するのだから、そう考えるとこのシリーズは凄い。

 とりあえず、ベルゼブ以外は普通にシャウトモンX4に合体させておく。

 まずベルゼブモンの胸をパッカーンと開き、中に頭をグルンと収納。

 首なしベルゼブモンの体を、足の付け根から前に倒す。
ベレンヘーナSDXの先端パーツを起こし、さらにその中にあった小さいジョイントも起こす。

 そしてベルゼブの背中にベレンヘーナSDXを合体させれば、ベルゼブの合体準備は完了。

 ベレンヘーナSDXの背面のジョイントに、下半身になったドルルモンを合体。

 …玩具版X4Bを初めて見た時からずっと思ってたけど、コレにしか見えない

 

 さらにベレンヘーナSDXの上にX4の上半身を接続し、接続部分から上半身をSDX側に倒せば…
(上の画像は倒す前で、倒すと胸の白いパーツとSDXの黒い部分が接する)

 完成!シャウトモンX4B!!

 わざわざベルゼブモンを使う意味は分からないが、X4にデジモンを1体加えるだけでケンタウロス体型に変えてしまう設計は面白い。

 しかし追加パーツ(=ベルゼブモン)の自己主張が激しい割に、
肝心の頭部や武器に変化がないため、「それほどX4から印象が変わらない」ってのが個人的な感想。
 とはいえ、合体機構のおかげで新ベルゼブの残念な頭部が隠されたり、
ケンタウロス体型となってX4下半身の貧弱さが目立たなくなったりと、見た目はぐんと良くなっている。

 合体の接続はしっかりしていて、むしろX4の時よりも安定している。
(俺のは大丈夫だったけど、個体差か何かでベルゼブとSDXの接続が弱い場合もある模様)

 横から見れば、中々しっかりとケンタウロス体型なのが分かる。
X4Bの高さは20センチぐらいで、前後幅は18センチぐらい。中々大きいが、値段を考えるとまだ割に合わない。
 ちなみに上半身が傾く都合で、肩の角度はこれがデフォ。

 可動は基本的に合体前と変わらず、「X4腕」「ベルゼブ腰」「ベルゼブ羽」が以前通りに可動する。
(ただしベルゼブパーツは腕も羽も逆向きになっているが、公式絵やアニメだと正しい向きなので詐欺くさい)
脚部も同様で、ポージングによっては3本足でも自立する(上の画像も3本立ち)。

 ドルル足はこの形態での後ろ側になることで、「膝が逆に曲がる設計」が活かされている。
なるほどこれを見越して逆にしか曲がらないように…って、最初から前後どっちにも曲がりゃ済んだ話だ
 それに、ベルゼブ足は横に開いたりするのでいくらかカッコが付くが、ドルル足はやっぱりダメなまま。

 この形態にまでなると、いよいよスターソードのショボ短さも熾烈を極め始める。
公式絵だとX4Bのスターソードはピックモンが12個も付いているのがヒドい。
軽くて見栄えの良い延長用ピックモンの発売を待ちたいところだが、食玩版を自分で買い足した方が早い。

 というわけで食玩版ソードを装備。
ピックモンは8匹しかいないけど(買い足せば延長は可能)、クロスフィギュアのよりずっと良い。

 ベルゼブの足は回転するので、上の画像のような向きにすることもできる。
公式の向きだと膝が合体後に全然曲がらない(上の「横から見た図」が限界)ので、こちらの方がポージングを付けやすい。

 しかし、地味に今回のベルゼブのカカトは「馬の蹄」になっているデザインなので、
「ケンタウロス」であることを思うと、(公式の向きに多少違和感があろうと)ちゃんと考えられた向きだ。

 足先は公式のそれで文句は無いが、スネのデザインはどうかと思う。
ベルゼブの時点で、前側が装甲で覆われているが裏側はそれを固定するベルトのデザインで、明確に「表裏」の意匠がある。
だのに合体後に「裏側」を前に持ってきたせいで、「下半身に後ろ向きの人がいる」ことを強調させてしまっている。
最初から、表裏を意識しにくいように足を前後とも装甲で覆っておけば良かったのに。

 というわけで、スネだけを前側に、足先は蹄の状態にしてみる。膝関節が広く動くし、個人的にはこの状態が一番好みだ。

 上の画像のように、ベルゼブ腕は後ろ側に逃がしてやることも可能。
前に持ってくるのも攻撃的で悪くないが、X4Bは後ろ側がなんか貧相なのでこれでバランスを取れる。
 

 

   メタルグレイモンと記念撮影。
メタグレには敵わないが、X4Bも正面から見るとバランスの悪さが強調されていかんね。
ベルゼブの足がグレイモンの肩みたいに引き出せたら、もうちょいバランスが良くなったんでないかな。


 ところで、ベルゼブは合体にかなり貢献しているが、名前は「X4B」のまま。
一体どういう基準なんだと疑問だが、「数字が増えるのは合体後のデジモンの頭が見える時だけ」という説を聞いて納得した。
確かに、現時点では「シャウト」「バリスタ」「ドルル」「スターモンズ」の頭しか見えていないし、
ナイトやポーンチェスが合体したX4Kは顔が見えないから増えず、数字が増えたX5は腕に新しい頭が付いている。

 それと、X4Kは「クロスフォーナイト」だったのに、X4Bは「クロスフォー"ビー"」らしい。
Bなんだから「ベルゼブ」とか「ブラスト」とか意味があるはずだが、公式サイトでもアニメでも、やっぱり「ビー」のまんまだ。



まとめ

ベルゼブモン≫ オススメ度:

・人型であり、武器の装着も楽しめたりと、単体でもプレイバリューがある
・可動個所が多い
・(クロスフィギュアシリーズにしては)コストパフォーマンスがかなり高い
×
・頭部が大惨事
・ギミックの都合上、上半身が肥大化している
・カラーリングがドギツい

シャウトモンX4B≫ オススメ度:

・合体玩具でも珍しいケンタウロス体型をもつ
・X4と新ベルゼブの視覚的な欠点がカバーされ、中々見栄えが良い
・合体ギミックがしっかりとしていて、未だに余剰パーツも一切出ていない
・腕はよく動くしや足や羽もそれなりに動くので、表情を付けやすい
×
・ベルゼブモン部分が浮いている
・X4の抱えていた欠点(ドルル足の残念具合、手首の弱さ、スターソードなど)を大体受け継いでいる
・ベルゼブモンのおかげで緩和はされたが、それでも定価「9135円」の価値があるとはとても言い難い


総評

 ベルゼブモンは実際に手に取る前から「顔はヒデぇけど悪くなさそう」と感じていたが、その通りだった。
これで顔さえカッコよければ一気に評価も上がったのに…つくづく惜しい。
しかし、顔に拘らないのであればメイルバードラモンよりもオススメできる。

 この調子だと、やがて発売されるスパロウモンの目もどうなるかが楽しみだ。
スパロウの顔は生身な上に可愛い系だから、今までどおりなら一番ヤベェことになるんじゃないか。


 ベルゼブでやはり嬉しいのは、何と言っても「安くなった」こと。
単体ではプレイバリューの「プr」ぐらいしか字がなかったバリスタやドルルですら2300円もしたと思うと、
単体で人型として成り立っていてそれなりに大きく、武器遊びもできるベルゼブが2600円だというのは破格に思える。
今までのこのシリーズの価格バランスから考えれば、ざっと3600円ぐらい取りそうなものじゃないか。

 …まぁ、ぶっちゃけた話「やっとマイナスからゼロになった」だけの話ではあるが、
「安くなった」というのは消費者側にとっては手放しに喜べる話だろう。

 俺はベルゼブモンの発売前、「値段からして食玩版X4と同じぐらいのサイズだろうなあ」と推測していたが、
実際は食玩版(およそ14センチ)よりも一回り大きいサイズでの発売となった。
この調子なら、5000円らしいダークナイトモンのサイズにも期待して大丈夫かな?


 X4Bも悪くはないが、X4の時ダメだった部分が足を引っ張っている印象。
主人公なのにケンタウロス体型になるのはアイデアとしても玩具としても面白いし、
「最近のデジモンて人型ばっかじゃないですか!やだー!」って人のニーズにも応えられるのは良い。

 ただ、ベルゼブ部分がデザイン的にもカラーリング的にも浮きすぎているし、
なんつーか「わざわざベルゼブモンを合体させてコレになるのかよ」というガッカリ感がある。
 足以外の部分に変化がないから、本当に「X4が4本足になった」だけなのも少し物足りない。 
頭部か胸部に目立つ変化があれば一気に印象も化けただろうが、それは今後に期待かな。


 さておき、X4Bは何と言っても合体バンクがカッコイイ。
メタルグレイモンのレビュー最後で希望していた、「ロボットらしい合体描写」により魅力的に描かれている。
玩具同様のパーツ構成で合体し、適度に二次元のウソを織り交ぜたあのバンクは、X4Bというキャラを見事に引きたててくれた。
まさかこんなにも早く俺の望みが叶えられるとは思わなかった。

 スタート段階ではお葬式ムードだったこのシリーズもアニメ本編も回を増すごとに良くなってきているし、
いい風が吹いているこの調子をキープしたまま、最後まで突っ走っていってほしいと思う。


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