ペンデュラムプログレス
不遇の意欲作 |
発売日:VER.1 2002年7月27日 ~ VER.3 2003年3月28日
定価:2500円(税別)
「ペンデュラムプログレス」は、初代デジモン、ペンデュラムに続くデジモン育成ギアの新シリーズだ。 「デジモンペンデュラムプログレス」ではなく「ペンデュラムプログレス」が正解なので注意。 定価も地味に一回り高くなっているが、新シリーズなのでモチロン新機能や要素が追加され、 「プログレス=向上」の通り色々と進化している……のだが、育成ギアの中でもイマイチ影が薄いように思う。 VER.1の発売日である2002年7月と言うのは、丁度アニメ「デジモンフロンティア」が放映している時期で、 「デジモンワールド3」も7月頭に出たばかりであり、Vジャンプではデジモンコーナーは勿論健在で、Vテイマーも連載中だ。 まあ、「フロとデジワー3の時代」と言われると既に斜陽に入っている時期なのだが、 各メディアでしっかりデジモンが動いている時期に出た割には、やっぱり知名度が低いように思う。 個人的な話で申し訳ないが、当時の友達はみんなペンデュラムまでは大体手を出していたのに、プログレスの所有率は全然だった。 となると、「ブームが去りつつあり、手を出すファンが減っていたから」というのが主な理由だろうか? |
≪本体≫
強いて言えばA~Cボタンが丸ボタンではなく多角形になったコトで、よりメカニカルな雰囲気が強くなっている。 使用するボタン電池も変わらず、お馴染みの「LR44」を2つ。 説明書はペンデュラム同様に小冊子となっていて、20ページ強の本文がある。 |
≪ゲーム内容≫ 操作については基本的に初代やペンデュラムと変わらないので、そこは割愛。 効果音は初代やペンデュラムから変更されていて、 初代が大体「ピッピッ」、ペンデュラムが「ピロッピロッ」という感じだったのに対して、プログレスは「ピュロリッ」な感じ(曖昧)。 特に呼び出し音はかなり特徴的で、「ウァ~ォ!ウッゥア~オ!ウォッウォピリリリリ~!!」って感じでやたらテンションが高い。連続だとウザい。 ゲーム内容としては、今まで通りにデジモンを進化させて戦わせていくモノで、ここも基本は変わらない。 プログレス一番の特徴と言えば、過去の育成ギアである初代やペンデュラムでお馴染みだった「16ドット」から、 デジヴァイスなどのヴァイスシリーズで用いられていた「ヴァイスドット」に変更された点だろう。 これによって、今までは画面の上下に配置されていたコマンドアイコンはなくなり、 デジヴァイス同様、Aボタンを押すと画面いっぱいにコマンドメニューが表示されるようになった。
「16ドットより細かいヴァイスドットの方が見栄えが良いから」、「アニメ効果でデジヴァイスシリーズが好評だったから」、 「単純に今までとの差別化を図りたかったから」、あるいはそれら全てが理由か、それともまた別の理由かもしれない。 かく言う自分は16ドット派であり、ヴァイスドットはイマイチ好きではない。 公式絵のデザインを再現しようとするあまりヘンに複雑で見辛かったり、逆に「やる気あんのか」ってレベルで手抜きなモノも目立つからだ。
ウォーグレイモンのような人型タイプならスッポリ収まって16ドット以上に見栄えのいいドットになっているが、 インペリアルドラモンのような4足歩行タイプは全体のバランスも歪になってしまい、見栄えが大きく損なわれがちだ。 「育成ギア」として動かすために必要なアクションも用意されたものの、動きのバリエーションはペンデュラムよりも減ってしまった。 一応これでも初代ギアと同等のパターンは用意されているが、 ペンデュラムは「イヤイヤと体調不良」「怒ると攻撃」なども区別されていたのを思うと、やはり見劣りする。 さらにヴァイスドットの弱点として、「アクションが面白くない」というのがある。 基本姿勢の時点で枠にギチギチと押しこめられた窮屈な状態だからか、進化するほど動きが地味になっていく傾向が見られる。 上のメタルティラノモンもその典型で、折角16ドットよりも公式絵に近づいても、攻撃は「ただ吠えるだけ」のパターンがとても多い。 ペンデュラムの、雲の上で寝るエンジェモンや整備ドックに入るアンドロモンのように、「モノやギミックで面白く見せよう」という所まで行っていない。 そんなこんなで個人的にはあまりヴァイスドットに肯定的ではないが、 別に全てのドットが酷いワケではないし、雰囲気がガラッと変わったおかげで個性になっているのは間違いないし、別に気にしない人はしないだろう。 ◆進化関連 進化条件に「時間帯」が大きく絡むようになった。 プログレスでは1日の時間が「朝」「昼」「夜」の3つに分類されていて、 「朝の時間帯に多くのトレーニングやバトルをこなせば朝型の条件を満たし、該当のデジモンに進化する」というモノだ。 具体的にどういう仕様かは、攻略ページを参照 それ自体はまぁいいとしても、この要素は全く面白くない。 デジモンはリアルタイムと連動したゲームなのに、プレイヤー側の生活リズムをそこまでデジモンに合わすコトを強いるのは不親切だ。 本来のメインターゲットである小学生にしたって、朝や昼には学校があるんだから満足にデジモンの世話ができないはず。 小学生は学校をサボるか、学校にデジモンを持っていくか、夜型デジモンだけを押しつけているというのなら尚更ヒドい話だ。 実際はまぁ、プログレスの時計をいじれば済む話なのだが、 そんな裏ワザみたいなセコい手法を使わないと満足に遊べないのは、ゲームとして間違っていると断言する。 それとは別に、「アグモン→グレイモン」のような個別進化ルートが廃されたのも特徴。 プログレスは各バージョンを「ドラゴン」などのテーマでデジモンを集めているおかげで、進化の「自由度」と「違和感のなさ」を両立している。 デジモンは育成ギアに限らず公式に提示された進化ルートに疑問が浮かぶコトが少なくないので、 このように「進化ルートを自由にする」というのは、決してバカにできない解答のひとつだと思う。 進化条件としては、「ジョグレス」も受け継がれている。 今回はプログレス同士だけでなく、同時期に展開していた「ディースキャナ」ともジョグレスが可能になった。 …と言えば聞こえはいいが、「ジョグレスできるデジモンの組み合わせ」がかなり限定的になってしまい、以前よりハードルが高い。 く一部のジョグレス体には通常進化条件が用意される救済処置もあるが、 ほとんどのジョグレス体はペンデュラム同様にジョグレスでのみ進化なため、関連商品との連動を押しつけられて面倒だ。 「全登場デジモンの育成にテクニックを求める」のならともかく、こうも露骨に「金払いが求められる」のは良い気がしない。 俺なんかは、メガドラモン目当てでプログレス1を買った所もあるのによりによってジョグレス限定で、 ジョグレスができないままプログレスを買ってから4年後、不慣れなオークションを経てなんとかディースキャナを落札し、 これでエアドラモンさえ見つかればついにメガドラモンが…と思いきやエアドラモンのバーコードが全然見つからず、 家中のバーコードをスキャンしまくっても出ず途方にくれて、 暫くして家にあったカレーうどんのバーコードをスキャンしてみたらついにエアドラモンが…いやあ、あの時は嬉しかったなぁ。 ◆トレーニング 今作でも本体を振る(ペンデュラムする)アクションが採用されている。 ペンデュラムではカウント時間が3秒だったが、今作では「8秒」と倍以上に伸び、それだけ求められる回数も増えている。 ハッキリ言って冗長になっただけなので、別に伸ばす必要はなかったと思う。 一応、Bボタンを押せばカウント受付時間をその場で終了させるコトはできる。 また、カウント受付時間の後に何度ペンデュラムしたかが表示されるようになり、 テクニック的な意味でも、経年劣化による故障を疑う的な意味でも、確認ができるようになった。 また、攻撃も4段階に細分化された。 ペンデュラムでは5回の攻撃全てがスーパーヒットだと「メガヒット」と呼ばれていたが、 今作では5連ダブルが「メガヒット」、5連トリプルが「ギガヒット」、5連ハイパーが「テラヒット」と呼ばれている。 最大攻撃であるハイパーヒットぐらいは共用である「巨大衝撃波」でも演出として別に文句は無かったが、 流石にその他の通常攻撃は、それぞれ専用の技ドットを用意して欲しかった。 前作ペンデュラムが全デジモンに個別の技ドットがついていたと思うと、かなりキツい改悪だと言わざるを得ない。 ◆パラメータ 育成ギアとしては初めて、各デジモンに能力値が設定された。 技ドットによる差別化こそなくなったが、これのおかげでよりゲームらしく登場デジモンが差別化されるようになった。 デジモンに「体力」「攻撃力」などのRPG的要素がついたのは、これも元を辿れば「デジヴァイス」からだ。 デジヴァイス、D-3、ディーアークとヴァイスシリーズではずっと続いていたその要素は、 「ディースキャナ」には勿論、育成ギアであるプログレスにも「HP(体力)」「AP(攻撃力)」「SP(素早さ)」として設定されている。 (時期によって数値バランスは大きく異なるが、プログレスとスキャナは同期なので同じバランス) パラメータデジモンによって初期値と限界値が設定されていて、トレーニングをこなしたりして強化ができる。 例えばアグモンは初期状態だと「HP:9 AP:4 SP:0」だが、鍛えると「HP:23 AP:6 SP:1」にまで伸びる。 パラメータは勿論バトルに反映されるので、「トレーニングによる強化」や、「各デジモンがどう強いのか」を具体的に実感できるようになった。 まぁ、能力値が可視化されただけで結局は運ゲーな所も否めないが、 それでも各デジモンに「能力」という個性が与えられたのは大きいし、「しっかりとゲームっぽい!」と認識できる。 「ティラノモンはスタミナタイプ」「ガルルモンはスピードタイプ」と個性が分かれるのは、分かりやすくてとても良い。 自分の経験則としては、攻撃特化のパワータイプが無難に強く、回避特化のスピードタイプはロマンに溢れつつも不安定だった。 …ただ残念ながら、このパラメータは育成ギアには定着しなかった。 逆に、育成ギアで唯一パラメータを採用したプログレスの個性になっているとも言えるが、定番化してほしかったなぁ。 ◆バトルトレーニング 早い話が待望の一人用対戦機能で、周りに対戦相手がいなくとも、自分一人で完全体以上に進化させたり、バトルを楽しめるようになった。 内容は各バージョンでそれぞれ決まった成熟期→完全体→究極体がローテーションで出てくるだけの単純なモノだが、 育成ギアブームが既に収束していた当時につけられた機能としては、尚更大変ありがたいモノだった。 例えば1.0の場合だとグレイモン、メタルグレイモン、ウォーグレイモンが登場し、 まずは3回成熟期と戦い、4回戦目でメタルグレイモンが現れる。 これを1セットとしてひたすら繰り返していった後、通算100回目のバトルにて、ボスとなる究極体が現れる。 敵デジモンのパラメータは初期値の最弱状態に設定されているが、運要素もあるので意外と侮れない。 途中で負けてしまうとまたイチからやり直しで、究極体に出会うにはちゃんと99回連続で勝ち続けなければならない。 バトルトレーニングはバトル同様に成長期から可能で、勿論、勝てば勝った分だけバトル数と勝率を得られるワケだが、 どういうワケか負けた分はバトル数も勝率もカウントされないという、かなりのヌル仕様。 どっちかと言うと、個人戦より対人戦でのリスクを無くした方がお互い気持ちよく負けられて良いのでは…? 最後の究極体をめでたく倒せば「マスタープログレス」の称号が与えられ、 そのデジモンが死ぬまで1回もペンデュラムしなくても必ずテラヒットが出るようになる。 嬉しいようなありがた迷惑なような、少し行き過ぎたボーナスで、迂闊に取ってしまうと育成の作業感が増すので注意したい。 せめて、「何も振らなくてもメガヒット確定」ぐらいで良かったんじゃないかなぁ。 ◆コネクト 先述したジョグレス(プログレス同士、ディースキャナに対応)の他、いつもの通信バトルも可能。 プログレス及びディースキャナとはゲーム中のパラメータを用いた形式で、 ペンデュラム、D-3、ディーアーク、ディーターミナルとは簡易ルールで対応している。 バトルトレーニングが搭載されたこの環境でも、ディーターミナルのサンドバッグとしての有用性は健在だ。 ◆その他 他にも細かいところは色々と変わっている。 例えばデジヴァイスシリーズから「省電力機能」も輸入され、3分間何も操作をしないと画面が消えるようになった。 育成ギアにおいて「電池切れ=死」を意味するので、これは実質デジモンの延命処置とも言えるし、ありがたい話だ。 単純に「省電力機能搭載!」と聞かされれば、それ自体がなんだかエコでCOOLな気もする。 ステータス画面で「現在のデジモン名」がスクロール表示されるようになったり、 睡眠妨害に「ケガ率上昇」「寝坊」などのデメリットが発生する様になった(寝坊癖は次の就寝時に30分以内に消灯をすれば回復)りもしている。 なお、プログレスは世話を欠かさなければデジモンがずっと生き続けるという、 現実世界だけでなくデジタルワールドの少子高齢化にも思いを馳せさせられる仕様になっている。そりゃ次回作でデジタルハザードも起こるわ。 省電力機能がついたおかげで「素早い電池交換による延命」も容易になっているので、 その気になれば何年も最愛のパートナーと暮らせるという、なんとも愛の重いギアだ。 |
≪各バージョン紹介≫
ぶっちゃけ攻略ページを見てもらった方が早いのだけれど、一応各バージョンを紹介。 各バージョンは「1.0」「2.0」と呼ばれているが、ペンデュラムのように「1.5」などの一部仕様変更バージョンは存在しない。 プログレスはペンデュラム同様、 「ネイチャースピリッツ」や「ディープセイバーズ」と言ったテーマごとで登場デジモンが決まっている。 ただ今回は「フィールド」ではなく「種族」がテーマとなっているので、 その分「◯◯系のデジモン」の密度が高まり、そのテのデジモンが好きな人にとっては満足度の高いラインナップになっている。
2002年7月27日に発売されたプログレスの第1弾は、安定した人気を誇るドラゴン軍団。 本体カラーは「メタリックブルー&ゴールド」と「ホワイト&ゴールド」の2種類で、アルフォースカラーとデュークカラーといった雰囲気。 ドラゴンズロア(「竜の咆哮」)と言えばデュナスモンの必殺技としてもお馴染みだが、出てない。 そもそもデュナスモン自体がこのギアよりもう少し後に登場なので、意識はしていただろうが、登場は物理的に適わなかったのだ。 なお後の「カードα」においても、「ドラゴンズロア」という名前がドラゴン系デジモンのフィールド名として採用されていた。 登場デジモンはさながら焼肉カレーライスのような贅沢さで、アグモン、ブイモン、ギルモンの歴代アニメ主役3体の系譜が揃っている。 いかにデジモンがドラゴンに頼ってきたかも分かってしまう顔ぶれだが、それは今考えるのはやめておこう。 アグニモン系譜がいないのは、「ディースキャナ」が同時展開していたからで別にハブられてるワケじゃない。…と思うが、出しても良かったのでは? これだけ主役デジモンが揃った弾ではあるが、パッケージの看板となったのは新デジモンのカオスドラモン。 「デジモンワールド2」に登場していたカオスロードを今更リニューアルしたデジモンで、ムゲンドラモンの上位種に当たる。 出てきたはいいが、その後「デジモンネクスト」の三将軍として拾ってもらうまでは大した活躍もなく、正直出した意味が分からない。 分からないが、プログレス的には「HP99の超スタミナデジモン」として登場しているので、インパクトは中々のモノ。 また、漫画「Vテイマー01」の主役であるゼロの最終形態、アルフォースブイドラモンも地味にここが初登場。 ネタバレに配慮する気があるのかないのか分からないが、隠しキャラのような扱いであり、攻略本などでは公式絵がシルエットになっていた。
未知のデジモンに進化→表示される「アルフォースブイドラモン」の名前→でもドットが何じゃコレ という流れで、 当時は興奮したらいいのかガッカリすればいいのか、どう感情を処理すればいいものか分からなかった覚えがある。
上記の目立つデジモン以外にも、「ティラノモン→メタルティラノモン」「エアドラモン→メガドラモン」と言った 名前やデザイン的に正統ルートだろうに実装されていなかった進化系譜が初めて再現可能になったのも嬉しい。 そのメタルティラノモンとメガドラモンにも、それぞれカオスドラモン、メギドラモンと妥当な進化先を用意されているのもグッド。 また、メギドラモンは特殊なデジモンで、本来はジョグレス体だが、 「・夜型育成 ・睡眠妨害100回以上」という凄まじい条件で通常進化も可能。そりゃ夜に疲れさせられてそんだけ起こされたら暗黒進化もするわ。 勿論、前述したとおりに進化ルートは固定されているワケではないが、 「ちゃんとそれらしい進化ルートが用意された上で、自由に進化できる」というこの品揃えは、実に気が効いている。 しかし、何故かこの弾はデジモンの属性がメチャメチャで、 ブイドラモン系がワクチンではなくデータだったり、エアドラモンがウィルスだったりする。 「朝型=ワクチン」「昼型=データ」「夜型=ウィルス」という図式にムリヤリ当てはめたのかと思ったが、 昼型に属するブイモン系はしっかり属性フリーだし、朝型のカオスドラモンがデータ種だったりと、よく分からない。
2002年9月下旬に発売された2.0のテーマは「天使VS悪魔」で、パッケージも「対峙するエンジェモンとデビモン」になっている。 本体カラーは「ホワイト&メタリックブルー」と「メタリックダークブルー&ブラック」の2種類で、まんま天使と悪魔な感じ。 三大天使が勢揃いし、七大魔王の中でも人気の高いベルゼブモンとリリスモン、 さらに隠しキャラとしてルーチェモンも登場するというこれまた中々豪華な顔ぶれ。 デビモンの進化先として、ヴァンデモンではなくネオデビモンを起用しているのがまた通好みだ。 ヴァンデモンを呼んだらその先はヴェノムかベリアルが欲しくなるだろうし、ネオデビを通してベルゼブに繋げたのは見事。 しかし気になるのは、「テリア→シーサ→アンティラ→ケルビ」という、やたらとチグハグすぎるルートだ。 ここは素直に「ロップ→ウェンディ(トゥルイエ)→アンティラ→ケルビ」で良かったろうに、何故こんなコトになってしまったのだろう。 テリアモン人気にあやかりたかったのか、「暴走デジモン特急」のように間違えて連れてきてしまったのだろうか? 一応、シーサモンも含めてディーアークでメインデジモンをやった仲ではあるが、ここは素直に正統系譜で良かったのではと思う。 ウィッチモンとバステモンも今作のテーマにはあまりそぐわないデジモンだが、人型だし、物珍しいので悪い気はしない。 特にウィッチモンは元々デジモンウェブのドット絵コンテスト入賞デジモンであり、 「優秀作品はギアに登場」という入賞特典を、かなり間があきつつもようやく果たされたコトになる。 また、隠しキャラとしてフロンティアのラスボスでもあるルーチェモンが登場。 究極体まで進化させマスタープログレスを取得したデジモンの残したデジタマからのみ進化できる特殊なデジモンで、 成熟期以降に進化はしないが、成長期でありながら究極体クラスの能力を持つなど、ルーチェモンの並外れた強さを再現されている。 ただ、その分究極体の枠がしっかり1つ減らされている。 テイルモンがいるのにブラックテイルモンもいるのも相まって、登場デジモンが少し物足りないというか、損した印象を受ける。 天使と悪魔というテーマである以上、人型デジモンが多く集まるのは必然だったが、 それに加えて23体中6体が女性型デジモンという異様に女子力が高いラインナップは、もう二度と無いのではないだろうか。 …と言っても、このドットでテイマー諸兄のスケベ心が満たされるのかは分からないが…。
2003年3月28日に発売された、プログレスの最終バージョン。 本体カラーは「クリアレッド&シルバー」と「クリアブルー&シルバー」の2種類。やっぱりクリアカラーは最高だぜ! 「3つ目でオシマイ」と言うジンクスは、ペンデュラムエックス、デジモンミニと言った後輩にも引き継がれていく。 パッケージを飾るのは、新デジモンとなるメタルガルルモンX抗体。 このバージョンには、後のデジモンクロニクルやペンデュラムエックスに先駆けて、Xデジモンが先行登場しているのだ。 具体的に言うと、ワーガルルモンX、メタルガルルモンX、ケルベロモンX、レオモンX、ガルダモンXの5体が紛れている。 1.0にいたグレイモン達も「今回はガルルモンの奴を見ないな」とか思っていただろうが、まさかこんな姿になって現れるとは。 この段階で既に「X抗体がデジコアに影響を~」などの設定は備わっているが、ゲーム的には見た目が違うぐらいで、大したイミはない。 むしろ通常種よりX抗体版の方がドットは洗練される傾向にあるので、歓迎してもいいぐらいだ。
メタルガルルモンX抗体から普通のオメガモンになられてもイマイチ釈然としないが、やはり人気キャラはブチ込んでおきたかったのだろう。 プログレスで唯一の超究極体と言えるオメガモンは初期から「HP:96 AP:14 SP:6」という高いステータスを誇り、 「これはもしや、鍛えたらHP:99 AP:20 SP:7で全能力最大の最強デジモンになるのか!?」と期待させられたが、 鍛えてもHPが3上がるだけで、フツーのスタミナ系究極体のパラメータで終わる。ガッカリだよ! その他、四聖獣デジモンが勢揃いしているのも見逃せない。 ただでさえ四聖獣は育成の場に恵まれないのに、それが一堂に会しているとなれば二度とないかもしれない機会だ。ファンロンモン?誰それ。 しかし究極体枠を四聖獣で埋められた弊害もあり、全体的に登場デジモンがとっ散らかっている印象は否めない。 この限られた枠で、「動物」という広すぎるテーマを扱い、ましてやそこにX抗体まで混ぜた割にはまとまっているという逆の見方もできなくはないが…。 ていうか、動物がテーマなのは分かるけど、 X抗体をいち早く登場させたり四聖獣を揃えた弾のタイトルが「アニマルコロシアム」ってのはどうなんだろうか? なお、3.0は全体的にテラヒットの必要回数がやたら低いという特徴がある。 1.0の究極体は60回強、2.0なら50回強と既に減少傾向はあったが、3.0に至っては20回チョイでテラヒットが出る。 言うまでもなく、ペンデュラム回数は少ない方が時間に縛られない分ラクかつ確実なので、一種の格差と言えないコトもない。 1.0や2.0のヘビーユーザーは、対戦時に3.0テイマーにデカい顔をさせないように、しっかりマスタープログレスをとっておこう。 |
≪攻略本≫
タイトルを見るとイマイチ釈然としないが、一応全部で5冊の攻略本が出ているようだ。 【集英社】 ◆ディースキャナVERSION2.0&ペンデュラムプログレス1.0 2.0 A6判 952円+税 デジモンの攻略本と言えばやはり集英社のイメージがあるが、 プログレスの攻略はディースキャナのオマケで、しかも3.0は管轄外。 攻略本としてはそつなくまとまっており、バンダイ公式だけあって、「進化条件の時間帯関連」について唯一具体的に仕様がまとめられている。 この本はトラオ君とナビモーンによる妙に濃い解説漫画が掲載されているので、読み物としても面白い。 【DigiCube】 ◆バトルスピリットデジモンフロンティアコンプリートガイドブック A5判 1300円+税 社名はデジモン向きな割に、これとデジワー3の本ぐらいしか出していないデジキューブの攻略本。 タイトルにプログレス要素はカケラもない上に表紙にも注釈がないが、こちらもプログレス1.0と2.0についてしっかりまとめてある。 希少なフロンティアの読み物だし全ページがカラーで見た目は華やかだが、優等生すぎるというか、無難な印象も受ける。 【双葉社】 ◆ペンデュラムプログレス究極ガイド A6判 1.0:880円+税 2.0・3.0:900円+税 唯一各バージョンごとに本を出してくれただけでなく、唯一3.0をフォローしてくれた有能なシリーズ。 双葉社はデジモン関連ではあまり覚えがない出版社だが、初代やペンデュラム時代の攻略本のノリに近いモノを提供してくれた。 1冊まるまるが各バージョンを紹介しているだけあって、掲載されているデジモンの公式絵も大きく、 公式設定による解説文もしっかり掲載し、なんといってもドットのポーズバリエーションを掲載しているという、ギア攻略本の鑑。 余談だが、本を収集していた頃に2.0だけ中々見つからなかったので、未だに持っていない。 3社から攻略本が出ているが、 資料としては双葉社の究極ガイド、読み物兼ネタグッズとしては集英社のスキャナプログレスをオススメしたい。 |
≪まとめ≫
ヴァイスドットがまだ洗練されていなかったり、技ドットが共通なのは惜しいが、 バトルトレーニングの実装やパラメータ要素など、前作「ペンデュラム」よりもしっかりと進化した点が見られ、中々のギアだと思う。 登場デジモンのユニークさや「種族」をテーマにしたまとまりの良さの他にも、 「固定進化ルートの撤廃」など、今のデジモンにも参考にしてもらいたい点も多く、侮れないシリーズだ。 「実質、寿命がない」というのは育成ゲームとしてどうかと思うが、 同じデジモンを何年も育て続けているようなテイマーが実在するのを見ると、こういうのもアリかな、と思わされる。 なお、当然のように現在では入手が困難なので、勧めるに勧められない。 昔は1.0だけならオークションで定価いくかいかないかぐらいの値段で買えたモンだが、過去の話。 プログレスに限った話ではないが、出品は減り続け、相場は高騰し続けている。 そしてこのプログレス、なんと当時から公式サイトが存在しない。 デジモンの育成ギアといえば、昔から必ず個別のページが作られていたものだが、プログレスだけは、軽い商品紹介しかなかった。 アプリ展開はペンデュラムで止まったし、海外版に当たるギアもないらしく、プログレスは歴代ギアの中でも影が薄いというか、実際に扱いが悪いのだった。 レビュートップ サイトトップ |