デジバトシリーズ
1弾で終わったシリーズ

1999年8月発売
価格 1980円(税別)
公式サイト※消滅済

 「そういやこんなのあったなぁ…」と、俺は800円で売れ残り続けていたらしいソレを見て思った。
デジモンアドベンチャーが放送中の頃、近所のオモチャ屋にあったプレイコーナーにこいつがいたのを覚えている。
「今更こんなの買う奴、そうそういないだろうなぁ…」と、半ば保護の気持ちを感じつつ、俺はコレを購入してきた。

 そんなワケで、つい先日買ってきたデジバトシリーズの話をサクッとする。


 まず、この玩具は「シリーズ」と言う割に第一弾のアグモンとパタモンだけで展開が終わっている
デジモンがイケイケだったあの頃に出た商品なのにこうなのだから、大体のクオリティが察せてしまう。

 デジモンアドベンチャーの主役デジモンの内、アグモンは分かるが2体目にパタモンが選ばれているのが少し珍しい。
「当時の人気上位2人」か何かで選ばれたのだろうか。売れ行きが良ければ他のデジモンもリリースされたのかもしれない。


 さて、パッケージにも書いてあるとおり、この玩具の特徴は

・デジモンの姿をしたフィギュアである
・アニメ同様の声優さんによるボイスが入っている
・初代デジモンなどの、携帯ギアとバトルができる

 といった感じで、オイシイ要素を取り揃えた中々欲張りな玩具だ。
そう聞くと結構イイカンジに思えてくるものの、ウソはないが本当にそれだけなので、残念なことにあまり遊べない。

 俺が買ったのはアグモンだけなのでこちらしか紹介できないが、
本体デザインと収録音声が違うだけで機能的な違いはない。(尚、パタモンは耳がでかいのでアグモンより横に広い箱になっていた)

 とりあえず、本体の話から。
箱に入っている状態では正面からしか見られないためよく分からなかったが、斜めから見ればちゃんとアグモンだ。
(デジモンは正面から見るとビミョーなデザインのキャラが多いので、こういう梱包はあまり良くないと思う)

 可動はシンプルに「肩が根元から回転する」だけで、よくあるソフビレベル。
足や体にはギミックによる大人の都合が詰まっているので仕方ないが、せめて口ぐらいは動かせて欲しかった。
造形は中々いい感じで、バランスをとり辛いアグモンのデザインを上手く再現している。


 大きさは高さ9センチといったところで、結構小さい。
偶然にも(?)セイバーズの頃に発売されたドットパズルアグモン(左)とほぼ同じ大きさだ。

 リアビュー。
後頭部から尻尾にまでかけて電池ブタが設計されている。(ネジが使われているので開閉にはドライバーが必要)。
使う電池は単4電池を2本。
デジバトシリーズは機械が詰まっているので元々見た目より重いが、電池を入れるさらにズシリとくる。

 ケツの部分にはゲームモードを切り替えるスイッチ、そして足の裏には対戦用コネクタがある。

 …しっかし、スイッチはいいとして、コネクタはもっと他のいい場所に取り付けられなかったもんだろうか?
コネクタはアグモンの場合なら足の裏、パタモンの場合は腹に設置されていて、
「立たせた時に目立たない場所」と、ちゃんと気を遣われているのは確かに分かるんだが……うーん。
つーかそもそも「デジモンのフィギュアにコネクタを付ける」という発想自体が…いや、やめておこう。


 スイッチを動かして、「OFF=文字通り」「A=ボイスモード」「B=バトルモード」の3つにモードを切り替える。

 ライトギミックの類はないので電源を付けても見た目に変化はないが、オンの状態では当然しっかり電力を消費している。
中でもバトルモードは消耗が大きいのか、バトルモードのまま放置していると、
内蔵されたボイスを発することで警告(というか電源がオンであることのアピール)をしてくれる。


≪ボイスモード≫
 
 デジモンが喋るモードだが、まずはこちらをご覧ください。

 これはパッケージの上側。
「6つセリフをしゃべるぞ!!」と書いているのだから、このモードでは6つのセリフを喋るのだと思っていたら…

 実は、パッケージ右側のこっちがボイスモードの説明だった。下の黄色い部分の文字を読むと

大きな声で話しかけたり、手をたたいて大きな音を
出すと、2つの声のうち、1つを応えてくれるよ。


 とのことで、ボイスモードにスイッチを切り替えると、音や振動に反応してアグモンが喋りだす。
再生されるセリフの種類は説明にもあるとおり2つの声のうち………2つ!?

 どういうことだってばよとよく見ると、どうも「6つのセリフ」というのはボイスモード用でなく、全機能を含めての数なのだった。
つまり、残りの4つはバトルモード用…って、なんでバトルモードよりボイスモードの方がボイス少ねェんだよ!!
どうせなら、収録している6種類の音声が全部このモードで聞ければ良かったのに。

 「キミの声にアグモンがこたえる!」と謳っているが、なんでまた
「ベビーフレイム!」といきなり攻撃されるか、「あぐあぐ!!」と劇中でも喋ってないセリフの2択で応えられなきゃならんのだ。
辛うじてベビーフレイムは「いけぇアグモン!」とかの攻撃指令を出せば遊べるが、「あぐあぐ!!」はどうしたものか。

 一方のパタモンは当然アグモンと収録ボイスは違うが、ボイスの種類は平等に少ない。


≪バトルモード≫

 デジバトシリーズの一番の目玉(たぶん)。
当時展開していた2端子の携帯ギアと通信対戦ができる。

 バトルモードに切り替えると、デジバト側は常にバトル待機状態になる。
対戦させたいギアをコネクタで接続して、ギア側のボタンを押せば普通に対戦が始まる。


 折角なのでデジバトの強さを調べようと、初代Ver.4のピヨモンと、さらにペンデュラム4のピヨモンと何度か戦わせてみた。
初代ピヨは20戦したところ3回しか勝てなかったが、ペンデュラムピヨはデジバトと五分五分の結果を見せた。

 また、ペンデュラムのピヨモンが翌日バードラモンに進化したので戦わせてみると、8割ほどの勝率になった。
対戦回数が少ないのでデータとしてはあまり参考にならないが、
デジバトは大体「成長期並の強さ」で「初代はちょい不利(かも)」といったレベルの強さだと分かった。


 ちなみに、バトル時のギア側にデジバトから飛んでくる技ドットはお馴染みの  ←コレ。
アグモンもパタモンも初代では同じポジションだったし、多分パタモンも同じはず。


 デジバトには勝率や寿命の概念もないし、面倒なコマンド入力は勿論、バトル回数の制限すらない。
そしてに何よりデジバト側に負けさせるデメリットが全くないので、携帯ギアのサンドバッグ役にはピッタリだと言える。
 しかし、「成長期並の強さ」ではギア側の成長期が確実に勝てないので、サンドバッグとしては少し心もとない。
(サンドバッグ業界には「無制限に幼年期をサンドバッグにできる」というディーターミナルさんがいるため尚更)

 また、デジバトは「負けてもデメリットがない」だけでなく勝たせても全くメリットがないのが問題で、
デジバト視点で考えると、「なんなんだこのモードは」と首を傾げさせられる。

 対戦中のデジバトは、説明書に書いているとおり戦況にボイスで反応してくれるのだが、
前述のとおり対戦結果はデジバト側に何も響かないので、やっぱり何も面白くない。
(それにしても、勝ったから「勝ったぁ!」はいいとして、負けたら「うわぁ…」ってお前)

 、デジバトシリーズには音声のオンオフ切り替えがないので、黙って静かにバトルできないのも難点。
いや、喋るのがウリのトイだってのは分かっちゃあいるけど…。

 ギアだけでなくデジバト同士でも対戦は可能だが、
見た目がよろしくない上に、対戦結果が影響しないモノ同士で戦っても…なぁ…。

 折角この世に2人だけの「デジバトシリーズ」なのに、その2人を揃えて戦わせた状態が一番面白くないとはヒドい話だ。
デジバト同士の対戦なら隠しボイスが聞けるとか、何かそういう特別感が欲しかったところ。


≪まとめ≫
 
 アレな商品だと承知の上で買ったのでショックはなかったが、やっぱり残念な商品ではあった。

 当時はペンデュラムシリーズも続いてたし、フィギュアだってプライズやぬいぐるみが沢山あった。
そんなグッズに恵まれている環境の中、さらにデジモングッズの頭数を増やしたかったのか、
「それらの要素を組み合わせれば最強じゃね?」って考えがあったのかは知らないが、やっぱこれはちょいと無理だって!

 「人気デジモンのフィギュア」「アニメと同じ声優ボイス」「流行のギアと連動」とオイシイ要素を兼ね備えているが、
欲をかきすぎたせいで、結局どの面から見ても微妙になってしまったのが惜しい。

 他にも色んなデジモンが出ていればコレクション性があって良かったかもしれないが、
仮にそうでもこのプレイバリューのなさは辛いし、こんなので1つ1980円ってのは辛い。
どうせなら、ジャマな対戦要素を削って「声が出るフィギュア」として特化させておいた方が良かったかもしれない。

 幸い造形は可愛くできているから、電池なんかパパッと抜いて、ただのインテリアとして部屋に飾っておくのが一番かな…。