デジモンチャンピオンシップ
くうき よめ


発売日:2008年02月14日
お値段:5040円(税込)
公式サイト



■ゲーム概要

 細かい事を書くとついウジウジとなってしまうのでそこらへんの余計な件は消し飛ばすとするが、
何と、ついにデジモンのゲームに「育成要素」が帰ってきた!

 数多くのデジゲープレイヤーを絶望させたであろう悪名高きデジモンワールド2の発売から約7年半、
ついに「デジモンに育成要素を返せよ(泣)」と言うファンの声が届いたのだ!
途中、ディーなんとかとかいうクソゲーもあった気がするが、デジワー2から7年半か…長かったなぁ……。


 プレイヤーは「ゲージ」と呼ばれるブロックを組み合わせて作る環境の中でデジモンを育て、
様々なタイトル(大会)を勝ち抜き、そして4年に1度の大会「チャンピオンシップ」で優勝するのが目的だ。
これでもかというぐらいに「育成」に充填を置いたこのゲームは、まさにデジモンの「原点回帰」と呼べるだろう。 

 ちなみに開発会社は「エピックス」というところで、なんでもゲーム製作自体(少なくともDSソフト)は今回が初めてとのこと。
初めてという割にはデジモンストーリー(笑)を作った株式会社ベックより、よほど「デジモンを分かっている」作りになっている。

久々のデジモンのゲーム!
育成要素復活!
ハードがニンテンドーDS! 

 …と、期待できる要素は多々あるのだが、3~4万本しか売れなかった現状を見ずとも、
やはり実質的な問題も大いにあり、プレイしていて残念に思う点も多々あるのだった…。
今回は真っ当なゲームレビューらしく、色々項目に分けてこのゲームの事を書きたいと思う。
 



■ゲーム開始

 電源を付けると、なんとOPムービーが始まって感動を覚える。
デジストなんてセイバーズ組のデジモンが降って来るだけだったからな。
この時点で、パッケージのアグモンはセイバーズ仕様なのにゲーム中ではそうではないと判明するわけだが、
そんなら、最初からパッケージも普通のアグモンでいいのでは?セイバーズアグモンが幅広く受け入れられてるとは思い難いし…。
 ムービーの最初の方は「良く動くなあ」と思ってたら、後半の公式絵流用ラッシュに吹く。デジモンのチョイスが意味不明でさらに吹く。


 さて、スタート画面に行くとタッチペンで「LOG IN」、つまりスタートボタンを押せと言われる。 
このゲームの操作はほとんど、というかほぼ全てがタッチペンで、徹底っぷりがウザいぐらいだ。
タッチペンで操作が行えるのはいいが、普通に項目の「決定」ぐらいAボタンでもできるようにしといてくれ。


 さて、「育成要素が帰ってきた」と言うと「マジ?デジワーシステム復活?」とか思われて変に期待をさせてしまいそうだが、
最初に単刀直入にキッパリと言っておくと、デジワーのシステムとは全然違う

 じゃあどういうことやねんと言うと、携帯機のデジタルモンスターのシステムを踏襲しているということ。



 こっちの方なんです


 「なんだ、デジワーのシステムじゃねぇのか」と購買意欲を削がれたそこのあなた!………あ、やっぱ別に帰っていいです
なんというか、結局今回も「デジワーの再来」と思ってプレイするには、あまりにも荷が重すぎるという事実が否めないので…。

 
 この「デジモンチャンピオンシップ」というソフトは、本当に育成に偏っている

 まずゲームを始めると即行でプレイヤーの名前を聞かれる。
ちなみにこの時のプレイヤーの名前が後に大会に出る時のチーム名になる
(例えば俺の場合は「ほこ」としたが、大会にでれば「ほこチーム」となる。
親切なことに、プレイヤーの名前はその後いつでも変えられるので、あまり気にしなくていい。

 名前が決まると、舞台設定や世界観については全く触れられずに育成チュートリアルに入る。

 最初に言ってしまうが、このゲーム中に「人間」と言うキャラクターは存在しない
このゲームの支配人的なポジションの「プレジデント」や、何故か主人公の身を心配している謎の設定を持つ「おかあさん」、
そしてデジモン育成中にメールを送ってくる他のテイマーや、試合で戦うことになるテイマーは勿論いるわけだが、
アイコンやドットの類は全く存在せず、まさに文字だけの存在となっている。

 発売前に公式サイトで「大会の強豪チーム~」などが紹介されてたが、そいつらもデジモンだけでテイマーの姿は無い
それはプレイヤーサイドも同じで、デジモンワールドやデジモンストーリーのようなプレイヤーの分身となる存在がいない。 
 つまり、デジワーやデジストのように「デジモンの世界に入り込んで育成・冒険したりする」のではなく、
あたかも、このゲームを動かすニンテンドーDSを携帯機デジモンのドックに見立てるかのようにゲームをするのだ。

 これは結果的に良かったのか悪かったのか、そう考えると残念ながらマズかったと言える。 
「設定イラストはあるけどゲーム中では喋らない」と言うのは、昔のRPGなんかにもよくあったものだが、
「ゲーム中では喋るけど設定イラストは無い」と言うのは比較的少なく、プレイする側にとってもあまり喜ばしくない。
 前者は妄想でなんとか補えるものだが、後者はそれは難しい。
つまり、好きなキャラについて語ったり、絵を描いたりするという二次的な楽しみ方が極端に難しくなる。
 ぶっちゃけ、このゲーム中でメールで話しかけてくるキャラに魅力的な奴なんて一人もいないが、
それでもせめて(だからこそ?)、キャラクターアイコンぐらいは用意して欲しかったものだ。



 名前を設定し終えてゲームが始まった時点で、画面には既に「ケージ」と呼ばれるデジモンを育てる場所が表示されている。
このケージを表示している状態はデジモンを育成するための状態であると同時に、
セーブを行ったり今までのデータを見るための状態でもある、いわゆる基本状態であり、ゲームの拠点だ。
 
 ケージというのはブロックごとに区切られていて、そこに様々な効果を持つケージを組み合わせ、カスタマイズすることができる。
最初は14ブロックのスペースしかないが、クリアした頃には20ブロックのスペースが使えるようになるぞ。

 カスタマイズと言うのは、勿論ケージが種類によって様々な効果を持っているからで、
例えば、攻撃力を上げるトレーニングを行う「ジム」や、竜属性を上げるための「火山」、疲労を回復する「保健室」等がある。
ケージは全部で35種類あり、プレイヤーのランクが上がったり大会に勝ち進む事で、
新しいケージを購入できたり、既存のケージに再投資することでケージの性能をアップさせたりすることができる。

 この「ケージエディット」と言うのはデジモンの進化に関わる大事な要素となるが、
良くも悪くも狭いケージの中に、ブロックごとにさまざまなエリアを作る箱庭感覚が中々楽しい。

 詳しくは後述するが、このケージと言うのはディープロジェクトで言う「フィールド」に近い。
ディープロジェクトはそのフィールドが無駄に広くて、俺に言わせればデジモンの管理が煩わしかったものだが、
チャンピオンシップのケージは画面を多少横スクロールさせるだけですぐに全体が見渡せるほどなので、その点ありがたい。


 ケージは初期状態だと、何も効果を持たないブロックと、「空き地」や「運動場」など少し持った状態で始まる。
この何も効果を持たないブロックはケージに固定されていて、動かすことができない。
しかもただでさえ序盤はブロック数の制限に悩まされるというのに、この無駄ブロックが4ブロックも占拠してしまう。
 確かに「何も効果を持たないケージ」と言うのはこのゲームのシステム上無くてはならないものなのだが、
「4ブロック=デジモンを8匹収容できるほどの広さ」を割かれても、正直無駄でしかないのが残念だ。
この効果なしブロックは、大会から帰ってきたデジモンやハントで捕まえたデジモンが「とりあえず」と置かれる場所でもあるが、
大会に出るのは最大でも3体だし、ハントで同時に8匹も捕まえることもないだろうし、せめて2ブロックだけで良かったと思う。


 さて、ケージには「最初の1体」ということでボタモンが生まれる卵が既にもらえている。
少し放置すればデジタマは自然に孵化し、ボタモンの誕生に伴いついに育成の開始となるぞ。

■育成

 育成は前述したとおり、デジワーのそれに近いのではなく、携帯機のそれに近いシステムとなっている。
エサを上げたりウンチを掃除したり、トレーニングをしたり、と言った感じ。
だが「睡眠」に関しては少し違い、これはデジモンごとに寝るタイミングがバラバラで、正直今でも良く分からない。

 育成中のデジモンは、基本的に全員がケージ中のどこかのブロックにいる状態となっている。
スワンシリーズであったデジモンクローク、いわゆる預かり所みたいなものは存在せず、
デジモンの育成状態を停止保存してくれるような施設は存在しないので、常に自分のデジモンはケージ内で活動することになる。

 操作は基本的にタッチペンで行い、
タッチペンでケージ内をチョコマカするデジモンを選択することで、デジモンのケージからケージへの移動をしたり、
近くにエサを置いたり、ウンチを掃除したり、病気やケガを治す。

 エサ等のコマンドはケージ状態での画面下にショートカットメニューのように並んでいて、

「エサ」を選択→ケージ内にペンをチョン押し→エサがケージ内に置かれる
「ウンチ」を選択→ケージ内のウンチをチョン押し→ウンチが掃除される
 
 など、操作も携帯機のデジモンと大体似たようなシステムになっている。

 ちなみにトレーニングは「ケージからケージへデジモンを移動」させることで行われる。
例えば何も効果の無い基本ケージから、「ミニジム」へとデジモンを運ぶと、勝手にデジモンが1回トレーニングをする。
トレーニングによる効果はケージによって異なるが、「1回移動するごとに1度トレーニング」というのは同じ。
ケージからケージへの移動を行わない限りはトレーニングはせず、ひたすら放置していても能力は変わらない。
トレーニングをすると「体力」が消耗され、これが0になると瀕死状態となる。
瀕死状態を放置すれば数日後に死ぬので、「保健室」などの回復ケージに入れたり、エサを食わせたりして体力回復させてやる必要がある。
 尚、トレーニングは能力が「何かが上昇」すると同時に「何かが下降」するという仕様のため、
最終的に全能力を最大にする、と言った風なことはできない。
場合によっては「攻撃は4上がったけど防御は6下がった」と言った感じに、凄く損をしてしまうことも多々ある。


 メニューにはエサ等の育成に関わる事の他、デジモン図鑑やプレイヤーの情報、ショップへの移動などのコマンドも含まれる。
このゲームは基本的にこのケージ状態で過ごす事が多いため、この状態に必要なコマンドは大体全て揃えられているわけだ。

 チャンピオンシップが携帯機のデジモンと違うのは、同時に育てられるデジモンの数にある。
携帯機であれば勿論本体1つにつき1体だが、チャンピオンシップではプレイヤーランクに応じた「容量制限」があり、
この容量の範囲であれば何体でもデジモンが育てられるのだ。

 基本的には一軍と二軍とで、大体6体前後を同時に育てることになるが、これが中々忙しい。
どいつもこいつもすぐに腹をすかせるし、気付けばウンチが溜まってたりするし、トレーニングに失敗してケガしたり・・と。
だが、この忙しさこそがこのゲームの育成の楽しさだと言っても過言ではない。
これがもし1体ずつの育成ならば、もっと単調で飽きが早かっただろう(もっとも、1体限定育成ならシステムが違っていただろうが)。
狭いケージの中にチョコマカと忙しく動くデジモンの可愛さは中々今までのデジゲーでは味わえないものだ。
 俺は基本的に育成ゲームだと1体集中育成タイプが好みだが、
こんな感じに家族的というか、グループ的な感じなのもそうそう悪くないな、と思える。
強いて言えば、モンスターファーム2をやりこんだあとにモンスターファーム4をやった気持ちに似ている。


 で、育成ゲームである以上、時間の概念が勿論存在するわけだが、それはリアルタイムと連動ではなく、
この「ケージにいる状態」や後述する「ハント・大会に出ている状態」ではゲーム内の時間が進む。
 時間はAM7:00からPM22:00まであり、リアルで数秒経つとゲーム中で10分単位で時間が進んで行く。
12時になれば「その日」が終わり、同時にオートセーブされる(これとは別に、ケージ内で自主的にセーブを行うこともできる)。
日は季節ごとに8日間あり、さらにその季節、春夏秋冬の4つをもって「1年」とされている。
 
 時間の概念があるのはデジゲーとしても久しぶりだが、これが非常に厄介だ。
デジモンのパラメータサイクルや進化にも時間経過が必要となっている以上、ケージ状態で時間が流れるのは当然だが、
例えばケージ状態から、アイテムを買おうと思って「ショップ」に行ったり、ケージエディットをしようとしたりする時には
ケージ画面で下にあるアイコンのメニューを開いて移行することになる。
で、これで「メニューを開いた状態」で時間が止まってくれればいいのだが、
ショップに行こうとか、データを見ようとか、メニュー画面で少し考えているとその間にも時間はガンガン進んで行く
・・まあこれは個人で気をつければいい話なのかもしれないが、あまり精神的に良くない。

 「デジモンを保存する」ことができないこのゲームでは、兎に角時間の管理が大切なのだ。
折角育てた究極体も、他のデジモンに気を取られていてはいつの間にか死んでしまったりするし、
新しく生まれたデジモンも、狙ったデジモンへの進化条件を満たす前に、他のデジモンに進化してしまうこともある。

 そんなこんなで、進化条件の確認のためや、設置したいケージの確認など、
育成中に「さて、どうしようかな」となる場面が沢山あるのに、スタートボタンでポーズができないのはマイナスだと言える。


 尚、「デジモンを保存」、つまり育成の一時停止ができないことに不満を持つ声もあるが、
これは単に不親切で無くしたのではなく、ゲームに難易度を持たせるために意図的に外したものだと思われる。
 仮にデジモンの預かり所などがあってしまえば、
「1体育てる→預けて次のを育てる→預けて次のを育てる」と言った風に、育成が非常に簡単になってしまう。
ある程度の忙しさがあってこそのこのゲームなのだと、開発側は言いたいのだろう。
・・まあそれでも、「二度と復活できない代わりに対戦用にデータを保存する」みたいなのはあってよかったと思うが。


 ちなみに、今回は全体的な「デジモン」としてみても非常に久しぶりなことに「寿命」の概念がある。
タイトルマッチ(大会)に出ることで多少の延命効果は得られるようだが、どんなに真面目に世話をしてもいつかは死ぬ。
死ぬ歳、条件を満たしていれば「デジタマ化」、つまり転生して性格などのデータを少し引き継ぐぞ。


 それはそうと、デジモンの名前はケージにいる時にいつでも変更できるのが何気に親切だ。

■進化

 大体のシステムが携帯機のそれに近いとは上記したが、それは進化も同様だ。
・・が、なんとその携帯機の中でもよりによってデジモンアクセルに近いという最悪の事態となった。

 どういうことかというと、

元祖デジモン:進化条件満たす→進化タイミングまで待つ→進化
アクセル(笑):進化条件満たす→その場で進化

 というザマだ。
まだアクセルの「評」ページができてないため、プレイした事の無い人には分かり辛いだろうが、
進化に時間が必要とされないと、その分進化のペースが上がり、極端に飽きが早くなってしまうのだ。
デジワーで言えば、「進化アイテムが全てショップに揃っていて、尚且つ進化ボーナスも発生する」と言った感じだろうか。

 とは言え、チャンピオンシップの育成はアクセルほどの単調さを感じはしない。
実際にはこのゲーム中の全デジモンが進化に時間経過を必要としていないわけでもないし、
上記したとおり、「同時育成数」が多く、適度な忙しさが常にあるからだろう。


 今度は進化条件そのものについてだが、まとめ見てくれ。以上
・・で終わらせたいところだが、ちゃんと書こう。

 具体的にどんなことが進化条件になってるかはそれこそまとめを見てもらえば分かるが、
正直単調すぎて全然面白くないとしか・・。
ていうかまたジョグレスは無しかよ!

 育成ミス何回とかバトル何回とかデジタマ化(死後転生のこと)何回とか、そういうのはまだ良い。
○○属性○○以上ってのはアクセルすぎるっつーかicすぎるって感じで死ねって感じだが、
何気に攻撃力とか素早さとかの能力値が進化条件に全く関わってないのはどういうことだ。
戦闘にも直接関わる要素だし、別に戦闘に影響しない竜だの獣だととかいうアホみたいな属性よりよほど重要だと思うんだけど。

 そも、属性と言えば、確かアクセルかic辺りから点いてきた悪習だ。
デジモンをカテゴリ分けをしようとするのはいいが、その分け方というのが中途半端で、カテゴリ数自体が少ない事もあり、
ヌメモンがどう見ても汚物系なのに機械属性にされたりと、全然しっくり来ない。
 セントガルゴモンやダークドラモンと言った「動物とも機械とも取れる曖昧な種族」なんかもデジモンには多いのに、
各デジモンがもてる属性は飽くまで1つのみであったりして、徹底も足りないし、結局グループ分けとしても中途半端。
こんな不毛な措置を取るなら最初から明確に分けられた「ワクチン」「データ」「ウィルス」の3つのみで充分だろうに。


 進化条件が単調である以上に、簡単すぎるのもまた問題だろう。
このゲームのトレーニングは「ケージに放り込んだらデジモンが勝手に行うもの」だ。
つまり言ってしまえば、プレイヤーの技量が問われない単なる作業に過ぎない。
それでも、デジモンワールドのように進化条件が難しかったり、複雑だったりすれば面白い要素にはなり得ただろう。
デジワーなら、能力を上げるにも「トレーニング」以外にも「バトル」「アイテム投与」等色々方法があったのだから。

 だが、チャンピオンシップだとどうだろう?
見事なまでにやることはトレーニング1択だ。
アイテムの数はそれなりに豊富だが、デジモンの進化に関わるものは全く存在しない
つまり、ただでさえ進化が簡単なのに、やること自体も作業で、全然進化を目指す事が面白くないのだ。
 上の方で「同時育成数が多いから大変」とは書いたが、別にこれはやりようによってはどうとでもなる話。
他のデジモンを皆保健室や温泉、動物園といった回復系のケージにまとめて入れておいて、
育てたいデジモンにだけ作業を一点集中すれば、なんてことなく進化はあっという間に終わる。
 バトル回数が必要なデジモンは多少手間と時間が掛かるが、
いつでもいけるコロシアムでいつでも行えるフリーバトルに出ればバトル数は楽に稼げるし、
最終的にはバトル数を稼ぐ効果を持つケージなんてのも現れてしまい、結局は作業となってしまう。

 その「作業感」を大幅にアップさせるものこそが、アクセル同様の「条件さえ満たせばすぐ進化」と言う糞システムだ。
一部は時間経過を進化に必要とするものの、大体のデジモンは条件さえ満たせばすぐ進化だ。
このシステムがいかに糞かは実際に味わってもらえばよく分かる。
「めんどくささ」という手間をかけ、時間的には1時間にも満たない間にできあがったその目当てのデジモンを見たとき、
心に浮かぶのは「感動」でも「達成感」でもない、単なる「確認」に過ぎない。
もはや、デジモンを「育てている」のか「作っている」のかも分からない感じだ。

 最初と最後で言ってる事が完全に逆になってしまっているのは、
「やってる時は忙しいけど、そうでない時に冷静に考えてみるとただの作業だと気付く」からだ。
別に「忙しさ=作業間」というわけでもないだろうし、トレーニングの方法は改善の余地があったと思う。
それこそ携帯機のデジモンのように、ミニゲーム的要素をトレーニングに盛り込んだりすることもできたはずだ。
携帯機をそのままゲームハードに移したような「VER.WS」では、元祖携帯機VER.1~4のトレーニングが行えた前例もある。


 ・・おかしい、プレイしている内には楽しんでたはずなんだが、
こうして文字に起こしたレビューにしてみると、褒めるべき点が全然見つからない・・・。

登場デジモン

 もはや全員登場は不可能が前提となったデジモンのゲームにおいて、ある意味最も大切な要素だ。
これもまとめを見てもらえば分かるので、個々の判断は任せるとする。

 今回は、「デジモンのチョイス自体はそう間違ってないが、総数が如何せん少なすぎる」と言った感じ。
既にデジモンの総数は800体をオーバーしているというのに、全216体なんて数字に何の価値があるんだ
パッケージの裏には「200種以上のデジモンが登場!」とまるで数多く登場してるかのように宣伝文句が載っているが、
これって「デジモン総数の1/4だけ登場!」って言ってるのと同じなんだから悲しいものだ。正確には1/4以下だし。

 総数の少なさによる弊害がモロに現れているのが分かるのは、ブイモン系譜やギルモン系譜の未完成さだ。
とは言え、こいつら主役系は既に散々今まで出番を貰ってきたのだから、主役系の成熟期・完全体は削ってくれても構わない、と俺は思う。
しかしそれは本来はやっちゃいけないことで、ホントに「最後の手段」のはずだ。
今の今までデジモンがいられるのは主役系デジモンの活躍があってこそなのだから、彼らの扱いはそれなりに優遇されるべきなのだ。

 つまり俺が何を言いたいかというと、こいつら以外にまだ他に削られるべきデジモンがいると言うこと。
デジモン一覧を見てもらえば分かると思うが、今回も多いんだ・・色違いデジモンが
 
 数えてみるとなんとその数19体
数値的には少なめに思えてしまうが、全216体の内19体って事は大体1/10。
実に1割のデジモンがマジ要らない子という計算となる。
(ちなみにダークティラノモンやジオグレイモンと言った亜種はカウントに入れていない)

 しかし、各デジモンにたった5~6枚しかドットが用意されてなかったデジモンストーリーに比べて、
それこそ携帯機のデジモン以上に、各デジモンごとにドットの枚数が用意されている今作では、本当に容量がきつかったのかもしれない。
 しかし、そんな都合は普通消費者は考えないし、考えなくていい。
本当に容量が足りなかったのなら、普通は色違い商法に走らないだろう。
色違い商法の根本的な考えは「楽して儲けよう」だ。少なくとも、消費者である俺たちからしたらそんな印象しか受けない。
公式絵でデザインが違っている「ティラノモンとダークティラノモン」や「グレイモンとジオグレイモン」なんかが
このゲームだと単なる色(模様)違いになってるのを見る辺り、まだまだ手抜き精神が抜けてないと見える。

 なんにせよ、色違いで数を稼ぐとしてもこの色違いデジモンのチョイスは、無い
ただでさえデジモンが少ないこの場でユキアグモンとかアルラウモンとか出されて誰が喜ぶんだ
本来色違いを出すべくは、「進化先」と位置づけられる完全体以降のデジモンだろう。
黒アグモンとかアイスモンとか出してるヒマあれば、ワルシードラモンとかカオスデュークモンを出したらどうなんだ?


 勿論、今回のチャンピオンシップにて、初めてゲームに登場するデジモンもいる。
ビクトリーグレイモンとズィードガルルモンと言った不人気コンビや、
10周年記念デジモンのはずなのに11周年に発売のこのゲームにやっと現れたドラコモン系譜などだ。
すまん、「など」じゃないな。「以上」だ。

 しかし、折角出てもらったのはいいんだが、別に感慨深くもなんともないんだよなあ・・。
ドラコモンなんかはパッケージでも目立ってるけど、正直「ドルモンと交代しろよ」と思った人が7割ぐらいだろうし、
ビクトリーやズィードなんて、俺みたいなごく一部の物好きが好いてるぐらいで、人気マジで無いし。
 ズィードガルルなんか、折角登場したのにドットがメタルガルルの一部変更だったりするから、
ああ、最初からこのためにデザインされたのか」とか考えて悲しく、というか呆れすら覚えたぞ。

 ドラコモン系譜にしても、幼年期Ⅰであるプチモンから勢ぞろいかと思いきや最終形態たるエグザモンがまさかの不在だ。
あれだけ「この見た目でロイヤルナイツとかねーよ」と散々言われるのが目に見えてたのを押し切って登場したというのに、
まさか、多分最初で最後のチャンスだった登場機会を逃すとは誰が予想しただろうか。
 
 そしてエグザモンに限らず、今回はインペファイターを覗いて超究極体が全く居ないというデフレっぷり。
デジモンミニのページでは超究極体の存在についてあーだこーだと文句を言った俺だが、
まさか超究極体がいないとここまで地味なゲームになるとは思わなかった

 ていうか、いろよ!
俺が育成ゲームで超究極体の存在について不満なのは「強すぎるから」という点であって、
超究極体が存在すること自体については許容、というか歓迎したいことだ。
長年デジモンファンをやってる人なら「今回はこいつが育てられるぞ!」などのサプライズがあれば、食指が動いてしまうだろうし。

 ただでさえ発売前まではセイバーズやカードαなんかで
「ロイヤルナイツ!」「オリンポス十二神!」「七大魔王!」「四大竜!」「四聖獣!」とインフレ究極体を煽っていたのに、
上の5つのグループの中から今回登場した奴なんて、デューク、アポロ、ディアナの3体だけだぞ。
 一体今までは何だったんだ。何を宣伝したかったんだ・・。

 それに、今回のチャンピオンシップのような「他のゲームと世界観が繋がっていないゲーム」であれば、
「他のゲームで敵だったりラスボスだったりしたキャラを育てられても問題ない」と言う利点もあったはずなのに、
今回登場した歴代ラスボスは・・・・もはや登場が当たり前になったムゲンドラモンだけじゃねぇか!!
 デジスト2の主役であるコロナモン系譜とルナモン系譜が登場したから、
デジスト繋がりでデジスト1のラスボスであるクロノモンなんかが育てられたらなー、と俺は期待してたんだけど・・。
 ゲーム的に「人間>>>>>>>デジモン」と位置づけられる事自体珍しいから、
たまには極悪なラスボス軍団を率いてみたかったものだが、せいぜいダークマスターズを3人連れることしかできない。


 そしてこれはネタバレになるんだが、ラスボスが新登場のデジモンではないというのも凄まじくマイナスポイント。
ドラコモンが登場するのは発売前から分かってたから、せめて俺は「ラスボスはオグドモンかしら」と予想していたのに・・。
まさかチャンピオンシップ決勝にて対峙する対戦相手がフツーの究極体3体とは思わなかったぞ。

 ていうか、ソフト発売と同時に出た攻略本(一枚目の画像右)に、早くも全登場デジモンが網羅されていたのも酷い。 
「流石に全ネタバレは無いだろう」とか「どうせいつものVジャンプブックスクオリティだろう」と
全然期待せずに参考資料程度に買ってきたのに、なんでこんな時にだけ予想を裏切るかな
いや、別に今回の集英社は誤植も全然無いしデータも豊富だしで「グッジョブ!」って感じだけど・・だけど・・・・。

 そんなわけで、登場デジモンに全く何のサプライズもないのは分かってもらえたと思う。
いや待て、サプライズと言えばオメガモンがいないのは凄まじいサプライズか。
うーむ、多分ただこれだけのことで、かなりの購入者を減らしちゃったんだろうなあ。
オメガモン・・俺が間違ってたよ。やっぱりデジモンにはあんたがついてないとダメみたいだ・・・。

 余談だけど、俺が攻略ページで「未登場」として選んだのは本当に厳選した結果で、
最初は「とりあえずこいつはいるよな」とリストアップしていったらその数は100を超えていたので、最終的にかなり削ったぞ。
俺の言う「未登場」が全員登場して尚且つ後50体ぐらいいれば文句も無かったんだけどなあ・・。

進化系譜

 さて、超究極体がインペファイターのみで尚且つ初代とペンデュラム組がメインという地味すぎる今回のメンツ、 
登場デジモン並に肝心な進化系譜の方はどうだろう、と言われると、

 60点・・・ってところだろうか。

 進化系譜を設定したスタッフにドットマトリクスをブチかましたくなるデジモンストーリーの後だからか、 
今回の進化系譜は至極真っ当、というかかなり無難なチョイスに思える。
「登場デジモンが少ないながらも、その中でなんとか頑張ってますよ」と言ったいじらしさも所々感じる。

 ・・とは言え、やはり納得できない点は多い。
頑張っているとは言っても、「なんとか(半ば無理やり)形になっている」と言った程度で、別に褒められたような箇所は無い
残念ながら、今回も俺の思い描いていた理想の進化系譜とは程遠い結果だ。

理想:アグ→グレイのような基本的な進化を抑え、世代が上がるにつれて尚且つ様々なデジモンへと進化する
現実:グラウ→メガドラのような無茶苦茶な進化が基本で、世代が上がるごとに進化の道が狭まっていく

 俺が特に気に入らないのはやはり、究極体の選択肢が少なすぎることだ。
ここまで来たらもう「デジモン総数の少なさ」に関して文句は言わないが、少ないなら少ないなりの配慮というか、やり方があるだろう。
これはデジモンミニのページでも言ったが、やはり進化は様々な道筋があってこそ面白いのであって、
どいつもこいつもがケラ→クリサリ→インフェル→ディアボロみたいな固定系譜ばかりでは全然面白くない。
勿論そういう系譜が固定されたデジモンはいてもいいが、今回ケラモンもインプモンもドラクモンもいねぇし・・

 今回のケースで具体例を挙げれば、俺は トリケラモン→セントガルゴモン の進化が一番気に入らない。
何が気に入らないかって、トリケラモンとセントガルゴモンには共通点が全然無いのに系譜がこれしかないこと。
ここにもし、セントガルゴだけでなく、ウォーグレイやムゲンドラと言った「竜」の共通点がある進化先も存在すれば、
「ああトリケラ→セントガルゴってのもアリだな」と余裕を持てただろう。
別にセントガルゴモンが嫌いというわけではないのに、こういう「無理強い」の形を取られれば、誰でも嫌悪感を抱くものだ。

 デジストの時は進化系譜の形式上進化がかなり限定されてしまうのはまだ理解できたが、
今回の進化はもっと自由度の高い進化が期待できたはずなのに、こんなことになってしまったのは非常に残念だ。

「トリケラ→セントガルゴ」なんてのはまだまだ個人的な不満だろうが、
「クネがクワガーになれない」「テイルがエンジェウーになれない」など、俺が言うまでも無く不自然な系譜は他にもある。


 「進化系譜に自由度があればもっと楽しめただろう」というのは、結局俺がデジモンミニに感じたのと同じ感想だ。
制作会社が違うとはいえ、なんでデジモンってこういう点が全く解決されないんだろうなあ。

能力制限

 チャンピオンシップをダメにする要素の中でも一際輝くこの要素!
なんと、デジモンごとに能力の限界が設定されている
各デジモンごとに能力がランクに分けられ、そのランクにより上限と下限が設定されてしまっているのだ(どーん)。

 ポケモンでいう種族値や努力値のような細かいシステムがあればまた話は別だが、ンなもんあるわけねーよ(笑)
なんでわざわざ能力限界を設けようとしたのか、考えた奴の脳にアヴァロンズゲートをブチこみたいところだ。

 この糞仕様のせいで、「○○モンで最強を目指す」なんてことは全くできなくなった
しかもその能力ごとの格差が酷く、成長期や成熟期ではそれほど大した差は出ないものの、究極体ともなるとそれは悲惨で、
ゲーム中でも破格の優遇を受けるビクトリーグレイモンなんか、
全能力が最低状態になったとしても最強状態のプクモンより全能力で勝っていると言う酷さ。
 
 この能力格差の基準は何だろう?と思ったらまさかの「メジャーかマイナーか」が判断基準
今まで主役を張ったデジモンなんかはあからさまに優遇されているのに対し、
プクモンやグリフォモン、スカルマンモンといったペンデュラム初登場の地味な究極体は悲しいほどに冷遇されている。
これはマイナーデジモン好きとしては「絶対に許さないよ」とキレざるを得ない
なんでわざわざ育成ゲームからやりこみ要素を失くそうとするかな。
そういえばモンスターファームDSも種族ごとに能力制限があってヒンシュク買ってたっけ・・。

 しかも、これは優遇されてる側にとっても別にいい話ではなく、 
優遇側でも結局「上限」が設定されているために、せっかく能力自体は3桁なのに決して「999」には届かない。
 全てのデジモンが「制限」というしょーもない枷に閉じ込められたのだ。
大体、最終的にはトレーニングで一度に能力が10~20ぐらい伸びるようになるのに
成熟期の段階で最大能力が200もいかないんだから、いかにこの制限が蛇足で糞仕様かが思い知らされる。

 「能力の伸び具合に差がある」のはよくあることだし、ゲーム的にも差別化として良いけど、
「能力の限界に差がある」なんてのは、少なくとも育成ゲームでは愚の骨頂だと今回のことで学んでくれるといいなあ。


バトル

 デジモンは育てるだけのものではない。やはり戦うことが必要となる。

 ケージ状態からメニュー「バトル」を選ぶと、コロシアム的な場所に連れて行かれるが、
画面にはでかでかとバトルのタイプ選択をするキューブが移るだけで、特に世界観的なものは見られないぞ。

 バトルには様々なものがあり、
日によって開催されたり開催されなかったりする、いわゆる大会である「タイトルマッチ」や、
日程による都合関係なくいつでも行え、バトル数や賞金を少し稼ぐことができる「フリーバトル」、
現在のデジモンの状態をパスワード化し、それを入力することでデータを呼び出して行う「パスワードバトル」、
ワイヤレスやwifiを用いる「つうしんバトル」、
そして4年に1度だけ開かれる連戦の大会「チャンピオンシップ」がある。

 バトルは最大3対3で行われるが、大会の種類によっては1VS3の変則マッチだったり、任意でこちらを1体や2体にすることもできる。
 バトル前には各デジモンに

・アタック(通常攻撃を積極的に行う)
・スペシャル(通常攻撃の積極性が少し減るが、強力な必殺技を多く使うようになる)
・サポート(攻撃は少し控えめになり、各デジモンの持つサポート能力を優先的に発動するようになる)

の3つの命令を与える事ができるが、バトル自体はオートで行われ、バトル中に作戦変更はできない。

 発売前はバトルがオートと聞いてスタッフの正気を疑ったものだが、いざやってみると割と問題ない
特に命令を出さなくてもデジモンは割と好戦的にガシガシ攻撃してくれるし、ひたすら逃げ回るような事は滅多に無い。
むしろ、命令を出せないからこそ応援したくなることも多く、なんともメイクドラマな展開も起きる。
 俺がチャンピオンシップ2スレ目にレスしたのと同じ内容だが、
チャンピオンシップ本選にて、
決勝戦ではなかったけど、「ヤッベこっちもう残り1体だ殺される!」って時に
既に倒されてた俺のウォーグレイさんが復活して即ガイアフォースかまして
逆転勝利した時は今までやったデジゲーの中でも一位二位を争うほどに感動した。

 ちなみに、作戦は3つあると上記したが、必殺技を撃ち易くなる「スペシャル」が圧倒的に強い。
アタックなんてデジワーで言う「まかせた!」だし、サポートもこれといった戦果は期待できないが、
通常攻撃の数倍の威力を持つ必殺技の頻度が高まれば、それだけ勝利の確率はぐぐっと上がる。
必殺技発動にはTP(俗に言うMP)を消費するが、連戦でない限りは試合中に息切れすることもないだろう。
 ちなみに必殺技は各デジモンに1~3個あって、
デジモン自体のドットが小さいため、地味ではあるが必殺技用のモーションもちゃんとあったりする。


 尚、チャンピオンシップ優勝後、ゲームに登場する全216体のデジモンをコンプリートすると、
バトルに参加させた内の1体目を自分で操作することができるようになる。
移動は勿論、通常攻撃や必殺技の発動も思いのままなので、あからさまにバランスブレイカーなわけだが、
「オートなんて我慢できねぇよ!」というプレイヤーのために与えられた救済処置であり、オマケ要素といったところだろう。
ていうか、普通にプレイする分にはそうそうオートでも苦戦することはない。


 さて、バトルに関してはさほど不満は無い・・と言いたいところだが、残念ながらここも詰めが甘い。
いや、バトル自体は中々良い感じなのだが、いかんせんバトルの「環境」が悪すぎる。

 まず、タイトルマッチの盛り上がらなさ。
折角敵チームにも名前があり、デジモンにも名前がつけられているというのに、
あの「ただのザコエンカウント」のごときの扱いはヒドい。
せめて強豪チームにはテイマーの顔アイコンぐらいあっても・・。
なんというか、どれも同じ大会に見えてしまい、折角のタイトルの価値が薄まっている。

 そしてプレイしていて誰もが思うのが「パスワードバトル」のもどかしさだろう。
パスワードバトルは自分の育てたデジモンの1~3体分のバトルデータ(能力、作戦等)をパスワード化して、
それを「データ」として扱い自分のデータ同士戦わせたり、他の人のデータと戦わせるわけだが、
この時に出るパスワードと言うのが、まず長い。
俺が攻略ページに置いてあるパスワードなんかも「ねXQボも雷家や五GPわ&yポおめガ水ム?」と言った具合だが、
パスワードバトルがしたければ毎回これを打ち込まなければならない
ドラクエのふっかつのじゅもんじゃあるまいし、なんで2008年にもなった現在にこんなものを何度も打ち込まねばならんのだ。

 さらにこのパスワード、折角デジモンに付けた名前が反映されない
例えば上のパスワードを打ち込んで対戦を行うと、名前はそれぞれ「アルファ」「ベータ」「ガンマ」と実に無難な名前で固定されている。
名前なんてたった上限が5文字程度なんだから、これぐらい一緒に記憶してくれりゃいいのに。
 
 そんなことより、なんでわざわざパスワード化するのかを問いたい。
確かにパスワードバトルに利点が無い事は無い。
そのパスワードさえ打ち込めばその相手とバトルができるわけだから、
「こんなメンバー作ったからためしに戦ってみてよ」みたいなこともできる。
 とは言え、普通バトルデータはデータで保存するもんじゃねぇの?
わざわざパスワード化せずとも、例えば「チームその1」みたいな感じで3体分のデータを対戦用にセーブできればいいじゃん。
対戦時にわざわざパスワード打ち込まないで、その「チームその1」のデータをロードできたらいいじゃん。

 デジストなんかとは違って「やがてデジモンが死ぬ」分、こういう対戦データ保存はできて当然だと思う。
デジモン預かり所みたいな「デジモンの育成データの一時保存」ができないのは、
進化の難易度を上げるために意図的に無くしたのだろうと分かるが、それとこれとは話が別だ。

 大体、パスワード化すればそのパスワードさえ入れれば誰にも使えるということでもあり、 
「本当に自分が育てたデータなんだ」と言い張れなくなる。ゲーム中でデジモンが死ねば尚更だ。

 個人的にはこの「対戦用データが保存できない」というのがチャンピオンシップ最大の欠点だと思っている。
なにしろ、このせいでゲームをクリアした今、デジモンを死なせたくないがために電源を付けるのが嫌になった現実がある。


 そして何気に搭載されているwi-fi対戦だが、一度も相手が見つかった事が無いので俺は何とも言えない。
ちなみに対戦以外にできることはなく、デジモンやアイテムの交換や譲渡は行えない。


ハント

 デジモンチャンピオンシップをデジモンレンジャーと呼ばせる所以である要素。 
ハント、つまり狩りなのだが、人間がデジモンを狩ろうだなんておこがましいとは思わんかね

 ケージ画面からバトルと似たような感じで行うもので、基本的にいつでもできる。
ただプレイヤーがハントに出かけている内にもケージで時間が進むため、
できればあらかじめエサをやっておいたり、ケージの掃除をしていくのが無難。
また、ハント自体にも厳しくは無いが制限時間がある。

 ハントで行ける場所は16箇所あり、それぞれ入場料や現れるデジモンが違う。
また、ゲームの進行具合によっては最初は解禁されていない場所もある。
 
 ハントもゲーム中でチュートリアルをしてくれるが、
とりあえずはフィールドをうろつくデジモンを

タッチペンで囲む(捕捉する)

タッチペンでひっぱる(ロープで取り押さえる)

デジモンの体力が無くなるまで持ちこたえる

デジモン、ゲットだぜ!

という流れ。 
他にも、エサで釣ったり、ワイヤーで閉じ込めたり、オトリを使ったりと色々な方法がある。
しかしエスカレートしていくと銃弾をブチ込んでダメージを与えたり毒肉を与えたり電流ワイヤーで囲んだりとなんかえげつない。

 これらのハント用のアイテムも最初から全て使えるわけではなく、
ゲームが進行するにつれてショップの品揃えが豊富になっていくのでそれを購入する。
つっても、大体はデジモンを取り囲むロープさえ良いのを買っておけば他のはそんなに重要でもない。

 また、入場したフィールドで使うレーダーや、見つけたデジモンの情報を知るためのプラグインなど、
なんか知らんがやたらとハント用の装備アイテムは充実している。

 ハント自体の難易度はさほど高くなく、育成の息抜きにやるぐらいでも丁度良いが、
何しろ終盤ともなると野生で普通に完全体が出てきたりして、育成の重要性がなんだか薄れてくるぞ。
捕まえた状態そのままでも地味に強かったりするから、相手が成熟期や完全体ならそのまま大会に出してもイケる。いいのかよ。


 まあ、思ってたよりは悪いモンじゃなかったけど、わざわざウリにするほどの要素かは不明。
個人的には幼年期ぐらいから自力で育てたデジモンの方が愛着沸くし、
ハントなんて「ヤベッ今日のタイトルマッチ成熟期限定じゃん、2体ほど狩って来なきゃ」程度の認識しかない。


■総評

 とりあえず悪い点だけをざらっと羅列していくと

・今時たった216体の少なすぎるデジモン総数
・改善されたとは言え未だ違和感の残る進化系譜
・アクセルに準じた時間経過を必要としない進化の存在
・デジモンの種族による能力制限と克服しようのない酷い格差
・対戦用データの保存ができない
・クリア後のボリュームの無さ
・隠し要素も皆無で、いわゆるやりこみ要素がどこにもない
・ハントいらね

 と言ったところだろうか。多いな
せめて、能力制限と対戦用データの件だけでも改善してくれれば大分マシになったんだがなあ。


 ちなみにこのゲーム、これといったバグは無いことは誇れるが、肝心のゲーム自体が楽しくないので意味がない。

やはり、「ただ育てるだけ」に留まったこのゲームは色々と問題がある。
全体的に不親切な点が多く、やりこみ要素どころか純粋にゲームとしてのボリュームが全然無いし、
ファンの盛り上がらなさも拍車をかけて、「もうどうでもいいや」とクリアと同時に飽きてしまう

 そこまで悪い出来とは思わないが、正直これも人に薦めあぐねる完成度だ。
 クソゲーとまでは言わないが、「何でこれぐらいのことができないの!?」の連続で、
進化系譜の単調さや能力制限なんかは「てめぇ絶対わざとやってるだろ!?」と怒りすら湧いてくる。

 つっても、まだ持ってない人がここまで読んだとしたら、恐らく欲しくはなくなっているだろう。


 攻略ページを作っている頃は「もっと売れるといいな」とか思っていたが、
実際に自分がクリアして即行で飽きて、そんな状態でこのレビューを書いている時、
自分でも書いてて「全然褒める所がないじゃん」と、我ながらびっくりした。
「わざわざ褒めるような所が無い」のと「細かい不満点が多すぎる」故にこんなボロボロなレビューになってしまったのだな。


 ちなみにゲームの「BGM」について今まで全く触れてないのは、本当に特筆することがないからだ。
デジゲーの中で言えばBGMの質は個人的に、バトクロに続いてワースト2位
なんというか、無難すぎて耳に残る曲が全然無い。
チャンピオンシップ本選でBGMが変わったのはいいんだが、肝心の決勝戦に専用BGM無しとかふざけんな



 俺がこのゲームに対してこうも憤りを覚えるのは、そのゲームの内容云々の前に「発売タイミング」が原因だ。

 言いたくはないが、2008年4月現在でのデジモンの死にっぷりを見る限り、
もしかしたらこのチャンピオンシップが最後のデジモンゲームとなってしまうのかもしれない。
 別にデジモンが死に掛けていたのは10周年(笑)である去年からそうだったのだから、
結果的にその翌年に発売されるこれが「最終作」となってしまう可能性は十分考えられたはずだ。

 そんな背景があるというのに、今回のチャンピオンシップと来たら、
エグザモンが出ないわオメガモン欠席だわ登場デジモン自体全体的に地味だわまずゲームで初登場のデジモンがいないわで、
なんというか、「これが最後だ」という意気込みが全く感じられない
 そも、そういう意図を込めて作ったわけではないのかもしれないが、それはそれで開発側の勉強不足が大問題だ。

 大体、「もうデジモンが死にますよ~♪」って時にこんな
デジモン入門用ソフトみたいなモン出されても「空気読めよバカ」としか言えねぇよ!!


 「続編が絶対出るよ!」と言う希望があればまた違っただろうが、
公式サイトは例によってやる気無いし、チャンポン発売とほぼ同時にVジャンプがデジモン捨てるし
20万本売れてめでたく続編も出たデジストと違い、現在まだ5万本も売れてないっぽいチャンピオンシップに未来はあるのだろうか・・。

 せめて、デジモンストーリーの代わりにこれが出ていたならば、
「デジストのおかげでデジモンに絶望した層」をまだ引き戻せたかもしれないし、
「DS初登場」というチャンスを使って「デジモンは育成モノなんです!」というアピールもできたと思うんだがなあ・…。


 なんというか、全てにおいて遅すぎた
「原点回帰」「ドラコモン登場」「wi-fi対戦」…。
どれもこれも去年、あるいは一昨年にやっていればまだ評価されたことだが、今の今になってやることではない。

 大体、あれだけロイヤルナイツだの七大魔王だのエグザモンだのオグドモンだの。
バカの一つ覚えのインフレだけで盛り上げ(たつもりになっておい)てお膳立てしておいて、
いざ発売された新作にそいつら全部いませんなんてオチが用意されてるとは、誰が予想したか…。
 結局、「ファンを裏切った」という点では今回も全く同じだ。


 ていうか、育成に原点回帰するにしても、なんでデジワー形式じゃなくて携帯機形式にしたんだろう?
携帯機形式は携帯機でやるからこそ面白いんであって、わざわざゲームハード使ってまでやりたくねぇんだよ
 だからこそ、携帯機にはできない要素がてんこもりだったデジワーがあれだけ人気を得て受け入れられたのに、
何をどう勘違いして「原点回帰(ただし携帯機)」なんてコンセプトを考えついたたんだ?
こんな肩透かしくらうぐらいなら、俺はツインVER.2を出してくれた方がよっぽど嬉しかった!!



 何はともあれ、このゲームの続編とは言わないが、今後デジモンがどうなるのかが気がかりだ。
もしこのままデジモンがなんとか生き長らえて、また復活のチャンスがあるのなら、今回のこれも「場繋ぎ」として認められる。

 そう、このチャンピオンシップはせいぜい「場繋ぎ」にしかなれず、とても「集大成」とは呼べない。
確かに「デジワーの再来」を予感させておきながら見事なクソゲーだったディープロジェクトよりはいくらマシになっているが、
正直、完成度で言えばどんぐりの背比べ…いや、目糞鼻糞を笑うといったところか。
「ニンテンドーDS」という恵まれた環境を全く生かせてないあたり、チャンピオンシップの方が問題かもしれないな。
 「バトスピ→バトスピ1.5」や「デジスト→デジスト2」「デジミニ→デジミニ3」と言った前例を見るに、多分今回は本気を出してない。
だからこそ単純なボリュームアップを果たすだけでもそれなりの期待ができる…わけだ、が…。


 俺がわざわざこのゲームの攻略ページを作ったのは、
「公式がダメならファンで盛り上げるしかない!」と考え、少しでもチャンピオンシップを通じてファンと楽しみたかったからだが、
今思うと俺は相当なバカだったよ。
つまんないクソゲーで盛り上がれるわけがないものな。
結局、チャンピオンシップ発売時点で既に絶滅危惧種であった「デジモンファン」は、さほど増えることもなく終わってしまった。


 だが俺は、今回のチャンピオンシップがファンにわずかな「希望」を持たせられる代物だったと思いたい。
なんだかんだでRPGから路線変更、いや軌道修正をして「育成」という本来の姿へと帰ってきたわけだし、
確かにデジモンごとの能力格差は酷いが、もはや忘れられてると思ってたマイナーデジモンが沢山出てきた。

 他の場所でも何度か書いたが、
俺が思うにこれは、「好きなデジモンを育てるゲーム」と言うより、「育てたデジモンを好きになるゲーム」だ。

 序盤は思ったとおりに進化できず、ユニモンとかヨウコモンといった別にそれほど好きでもないデジモンにばかり進化したが、
進化したそいつらを必死に鍛えて大会に勝ち進んでいくのは中々デジモンファンとしては充実した時間だった。
このゲームをやったおかげでそういうユニモンやゲソモンと言った比較的マイナーなデジモンや、
良くも悪くも優遇されているので大会でも非常に頼もしいブレイクドラモンに新しい一面を見ることもできたし、
出ることがもはや当然だと思ったのに何故かハブられたエグザモンなんかにも愛着が湧いた。

 久々に、デジモンでそう思わせてくれたという点では、このゲームはよくやってくれたと思う。


 そう考えると、例え今日と言う日にデジモンが終わったとしても、
携帯機はツイン、ゲームはチャンピオンシップと、曲がりなりにも原点回帰はできたから、
いっそデジモンは、ここで終わってもいいのかもしれない…。