デジモンバトルクロニクル
大乱心クラッシュモンスターズ

発売日:2004年7月29日
定価:6800円(税別)
公式サイト


パッケージのウォーグレイの顔がひん曲がってます
右のゲームです

 さて今回は「デジモンバトルクロニクル」。
 買った人が少ないのか、このゲームはあまり話題に上らない。
「話題にならない」ということは、このゲームに関する情報が多くないということ。
ゲーム内容の参考にできるものがなく、「興味はあるけど買おうかどうか悩んでる」といった人もいたのではないだろうか?

 とりあえずレビューを探してみれば、アマゾンレビューではやたら高評価なのに対し、
大手レビューサイトのPS2 mk2では対照的な評価になっている。

 これを書いている「俺」の意見にどれほどの信憑性があるかは分からないが、
この場合、俺から見て真っ当にレビューしているのは間違いなく後者のPS2 mk2だ。
まぁ、amazonのレビューがアテになるわけない

 ついでに個人的な評価をmk2方式でやらせてもらえば オ:1 グ:2 音:1 熱:1 満:0 快:0 難:2 といった感じ。
結論を言ってしまうと、バトクロは「買おうか悩んでいる人」に言える最上の言葉が「やめとけ」となってしまうゲームなのだった。


 このゲームは「デジモンの格闘アクション」で、ハードも次世代機なので「バトエボの続編だろ?」と思っている人が多いかもしれない。
だが実際はシステム的にもビジュアル的にもそんなことはなく、全くの別物と思ってくれた方が良い。
少なくとも「続編」という考え方は危険だ。何故ならこっちの方がダメすぎるからだ。


 というわけで、「レビュー」とはとても言えそうにない愚痴に入る。
正直言いたいことはPS2 mk2のレビュアーさん方にほとんど言われてしまっているが、まあいい。

 どうせなら「バトルエボリューション」のレビューを先にやっていた方がこのページも比較が分かり易かっただろうに、
俺の気まぐれでこちらが先になってしまったことはお詫びしたい。



ゲーム概要

 「デジモンバトルクロニクル(以下バトクロ)」はデジモンがプレイヤーキャラクターとなる対戦アクションゲームだ。
1対1のサシ勝負限定の「バトルエボリューション(以下バトエボ)」とは違い、今回は最大4人対戦がウリとなっている。
大半の人はすぐ気付くと思うが、もちろん任天堂のスマッシュブラザーズのパクリだ。
パクリでも面白ければ許せるものだが、これは許されなかったケースだ。


 今作の発売時期は、アニメ「フロンティア」が終わり、Vジャンプで連載していた「Vテイマー」も大団円を迎え、 
ペンデュラムXも終了してアクセルはまだ出ていない…という、デジモン氷河期の真っ只中
辛うじてカードだけがひっそり続いていたが、ゲームショップからデジモンカードの姿が消えだしたのもこの辺りじゃないかな。

 こんなタイミングにデジモンの新作ゲームが出る!なんて聞いたら期待してしまうのも仕方がない。
しかも今回はハードが「PS2」!
ついにデジモンの据え置きゲームも次世代機へとシフトするのか!…と喜んだものだ。
PSの「バトルエボリューション」がキャラゲーとしても中々良くできたものだっただけに、その期待は益々高ぶった。

 どういうわけかこのゲーム、よほど売れる自信でもあったのか、
PS2、ゲームキューブ、そしてX-BOXと、それぞれに対応した3機種同時発売という形になった。
(これは後に発売されるデジワーXも同じ)

 まぁ、買う側としては対応ハードが多いほうが「ハード持ってなくてできない」コトにならなくて済むから、嬉しいのは確か。
しかし、ゲームはタダで生産できるわけじゃないだろうし、採算が取れてたのかといらぬ心配をしてしまう。
増してや、その実際のゲームが非常にアレなできだったのだから尚更だ。


 何はともあれ俺は、発売日に1万円札を財布に忍ばせてゲームショップに急いだ。
デジモンのゲームは基本的に売れてないから滅多に買いっぱぐれが無いのが良い所だ。
当時俺の家にはXBOXは勿論、ゲームキューブどころか64すらなく、消去法でPS2版を買うことになった。

 バトクロは「最大4人対戦が可能」だが、ご存知の通りPS2はマルチタップ等を使わない限り、コントローラは2つしか挿せない。
4人対戦を楽しみたいなら大人しく他の機種版を買った方が安く付くだろう。
まぁ、こんなゲームで対戦してくれる相手を3人も見つける方が至難の業なのでいらん心配だ。


 家に帰り、すぐさまフィルムを破いてケースを開く。
黄色をベースに青色で彩られたディスクから、なんとなく理解しがたいセンスを感じる。


バトエボに比べて寂しいディスク

 …なんでまた、描かれているのがブイモンだけなのだろう。
折角のお祭りゲーなんだから、ディスクもせめてパッケージ並に賑やかにしてくれてもいいじゃないか。

 気を取り直してPS2にディスクを挿入。
「このゲームはメモリーカードを~」等といったセーブに関する注意が出てくるが、文字がヤケに小さくて読み辛い。

 御馴染みのBANDAIロゴが表示されるが、今回もバンダイはただの販売で、開発したのはBLACK SHIPという会社のようだ。
この黒船は海外のメーカーであり、なんとバトクロは洋ゲーなのだった。
(ちなみに、バトルエボリューションの開発はボンバーマン等で有名なハドソン)

 いざ、洋ゲーと知ると多少の戸惑いを隠せない。今までのデジモンゲームはどれも日本製だったからだ。
なるほど、ディスクデザインがアレだったのは洋ゲーだったからなのか?
パッケージイラストが地味にヘタクソだったりデジモンチョイスがおかしいのは…違う理由か。このパッケは日本版限定だし。

 海外のゲームが日本版に移植される際、当然ゲーム中のテキストやボイスなどには変更があるわけだが、
その「変更」がこのゲームの場合かなり酷く、担当スタッフに「くたばれ」と言いたくなるぐらいの手抜き仕事だから期待してくれ。


 既にテンションは下がりきっているが、高い金を出して定価で買った以上、遊ばなくては損だ。
黒い画面の下の方に小さく「Loading..」とだけテロップが入る悲しすぎるロード画面に更なる不安を覚えつつも、やっとこさタイトル画面へ入る。


デッズィッモォォン…バトォォゥクロニコォォウ!

 …と、外人のいかにもアメリカンな発音でゲームタイトルが叫ばれてゲームのロゴが現れる。
この時点でディスクをフリスビーにして窓から放り投げたくなったが、6800円のフリスビーというのも割に合わないので腕を抑える。

 バトエボでは「テイマーズ」のOP「The Biggest Dreamer」をバックにカッコいいオープニングムービーが流れたものだが、
今回はタイトル画面で放置していても、さほど上手くも見やすくもない淡々とした誰得デモプレイが始まるだけだ。



 さて、このバトルクロニクルは何度も言ったように格闘アクションで、ストーリー等のような要素は全く無い。
…別に格ゲーだからってストーリーモードを作らなくていい言い訳には全くなり得ないんだが、
それよか、残されたゲーム内容の全てがスマッシュブラザーズの劣化コピーでしかないのが難点だ。


 とりあえず、参戦したデジモン達について書こう。
バトエボの発売タイミングはフロンティア放映開始より早かったのに対し、今作はデジモン4部作が終わって暫く経ったという時期。
つまり、4部作のデジモン達がみんな最終形態で登場も可能という、シリーズモノを扱うキャラゲーとしてはベストなタイミングだった。
(アニメや漫画が展開中に出されるゲームは、大体メンツが揃ってなかったりして中途半端になってしまう)

 なんと今回の参戦デジモンは40体以上であり、バトエボの全24体に対し、かなりのボリュームアップだ。
なるほど、これが容量が大幅にアップした次世代機の力というやつだね!


 さあ目ン玉見開いて良く見やがれ!これが全47体にも及ぶバトルクロニクルの全参戦デジモンだ!!

デジモンアドベンチャーより
・アグモン(グレイモン→ウォーグレイモン)
・ガブモン(ガルルモン→メタルガルルモン)
・ピヨモン(バードラモン→ガルダモン)
・テントモン(カブテリモン→アトラーカブテリモン)
・パルモン(トゲモン→リリモン)
・ゴマモン(イッカクモン→ズドモン)
・パタモン(エンジェモン→ホーリーエンジェモン)
・テイルモン(ネフェルティモン→エンジェウーモン)

デジモンアドベンチャー02より
・ブイモン(フレイドラモン→インペリアルドラモンファイターモード)

デジモンテイマーズより
・ギルモン(グラウモン→デュークモン)

デジモンフロンティアより
・フレイモン(アグニモン→ヴリトラモン)

隠しキャラ
・ブラックアグモン(ブラックグレイモン→ブラックウォーグレイモン)
・ブラックガブモン(ブラックガルルモン→ブラックメタルガルルモン)
・ブラックギルモン(ブラックグラウモン→カオスデュークモン)
・オメガモン
・ディアボロモン
・ベリアルヴァンデモン
・ダスクモン
・ネーモン 


 おお、流石全47体!ボリュームがバトエボとは段ちg…ってなんじゃこりゃあ!!


 まず目に付くのが、全体的なバランスの悪さ。
デジアド無印のデジモンが多すぎなのは、誰の目にも明らかだ。
24/47体ってアホか!?ほぼ半分占めてるじゃねーか!
確かにシリーズでは無印が一番人気なのは分かるが、これは極端すぎる。変に作品間のファンの対立が深まるだけだ。

 それに対して02以降寂しすぎ。か…各作品から主人公のみ1体って何だよそれ…!
02組は無印のパタとテイルが兼任できるからまだいいとしても、
せめてテイマーズからレナ、テリア、ベルゼブとか、そしてフロからはせめてヴォルフ系譜ぐらい出してやれ。
しかもフロ組はヴリトラモン、つまりハイブリッドビースト止まりで、究極体クラスにすらなれていないという…。

 次に目に付くのがブラックバージョンと言う名のハズレども。3体もブラックいらねぇよ!
恐ろしい事に3体とも声優はノーマル版と同じだ。
アニメで出番が無かったBガブとBギルは勿論、02で活躍したブラックウォーグレイモンに進化するBアグモンすら通常種と同じ声だ。
「声優は同じ」だが、技のモーションやタイプは大きく異なり、当然台詞も違う。じゃあ尚更声優変えろよ!
 わざわざインペファイターのためだけに高橋直純さん(ワームモンの人)を呼ぶ余裕があるのに、
何故ブラックウォーグレイモンの担当として檜山修之さんを呼べない!?
声優のギャラをけちったか?単にめんどくさかったのか?声優が違うことを知らなかったのか!?

 真実は闇の中だが、仮にキャストがしっかりしていたところで別にこのゲームの評価がマトモになるわけではない。
こういうファンへの配慮のできてなさが積み重なることで、最終的にゲームが全体としてダメダメになることを分かってないんだろうか。

 コアな指摘かもしれないが、ブラックウォーグレイモンの背中に勇気の紋章があるのも気に入らん。
一応説明すると、通常のウォーグレイモンの背中の盾「ブレイブシールド」には太陽のような「勇気の紋章」が刻まれているわけだが、
ブラックウォーグレイにはそれがない(=無地)という設定になっている。
つまり、このブラックは通常種のポリゴンモデルから本当に色を変えただけの手抜き仕事ってわけだ。
 

 そもそも、ファンサービスとして「ブラックカラー」を出したければ、格ゲーなんだから2Pカラー扱いで十分だ。
「ポリゴンも一部変わってるしモーションも技エフェクトも声優も全部違うぜ!」ってレベルなら別キャラ扱いにしても問題ないけど、
今回みたいな中途半端すぎる仕様で「こいつも独立した一つのキャラです!」なんて言われても誰が喜ぶんだ?
増してや、今回はただでさえキャラの枠が少なすぎて、とても色違いデジモンなんかにそれを割いている場合ではない。
 ゲームとしてボリュームを増やしたいなら、こんな中途半端なキャラに力入れてないで、
ブラック3体に注いだ力の分で、また別にヴォルフとかベルゼブとか、1つの新キャラを作ってくれた方がよほど喜ばれるはずだ。



 今更だが、進化系譜も所々おかしい。
テイルモンはエンジェウーになってホーリードラになっといた方が設定にも忠実だろうに、なんでわざわざネフェルティを挟む?
折角「劇中で究極体まで進化したキャラ」なのに、ホーリーエンジェともども完全体止まりとはな。デジヴァイス以下の糞仕様だ。

 ブイモンは元々進化が複雑すぎるため、どう頑張ったところでたった「2段階」の進化でしっくりくるルートは作れそうにないが、
流石に「フレイドラ→インペファイター」という進化は、あまりにもブッ飛びすぎていて違和感が拭えない。

 フレイモン系譜も全体的におかしい。というかまずフレイモンがおかしい
既に、本来は成熟期であるテイルモンが成長期ポジションとして参戦しているのだし、
他にオメガやダスクといった、最初から強力な形態で戦える隠しキャラが存在しているのだから、
いっそのこと最初からアグニモン(アニメでも第一話からこいつだったし)にしておいても問題なかったはずだ。
そして アグニモン→ヴリトラモン(あるいはアルダモン)→カイゼルグレイモン としておいた方がどれほど良かったことか…。


 そして最後、進化を必要としない隠しキャラ。
オメガモンとディアボロモンがいるのは、チョイスとしては素晴らしい。
特に、ディアボロが参戦することでバトエボでも成し得なかった「ウォーゲーム」の再現が可能になったわけだ。

 …と思いきや、今回オメガモンの声は田中秀幸さんが当てていて、アグ・ガブ役の2人が同時に喋るアニメ版とは全く雰囲気が違う。
田中さんはベテランであるし、声質もオメガモンには中々合っているし、後に「ゼボリューション」でオメガモンを正式に担当することになる。
だが、この時点では「わざわざ金をかけて原作再現を放棄した」という信じがたいクソ現実を見せ付けられただけだ。
だって、オメガモンの声を当てた2人は既に雇ってるんだぞ?なんでわざわざこんなコトを!?マジで誰か分かるように説明してくれよ!!

 オメガモンに相対するディアボロモンも予想の斜め上を行き、なんと千葉繁さんが当てている
なんで劇中で全く喋らなかったキャラにわざわざ高い金を払ってベテランを呼んでまで喋らせようとしたのだろう?
こんな別に誰も望んでいなかったキャスティングしてる余裕があれば
とりあえず原作どおりにすべくブラックウォーグレイモンをなんとかしろよ!


 海外版だとキャストとかはどうだったんだろうなあ。海外版の声優さんともやはり食い違いがあったりしたのだろうか。



 話を隠しキャラのことに戻す。
登場自体は妥当な上の2体は良いとして、残りの3体はこれもうどうすりゃいいんだ…ってレベルだ。

 まさかのベリアルヴァンデモン参戦には正直驚いた。しかも声優さんも02どおりに森川さんだ。
その割にゲーム中ではヴェリアルヴァンデモンと誤植されていてみっともない。
しかし、アニメのベリアルヴァンデモンと言ったら…アレだろ?俺は別にいらないなあ。

 そしてダスクモン。
ダスクモンと言えば主人公の一人「源輝ニ」の兄「輝一」の精神がケルビモンに操られ手先にされているデジモンだ。
…こいつが「まだダスクモン」ということは、「輝一がまだ敵」ってことで、本編が片付いてないってことじゃ…。
ああ、どおりでこのゲームのフレイモンはカイゼルにもスサノオにもなれずヴリトラ止まりなのか!納得できねぇけどよ。
 なんにせよ、こいつをライバルポジションとして出すぐらいならロイヤルナイツだのルーチェだのケルビだの出した方が良かったと思う。
ていうか、輝ニが進化するヴォルフ系譜がいない時点で、ダスクと戦わせて意味のあるキャラがいねーんだよ…。

 で、最後にもはやツッコミたくもないのが約1体。
…なんでよりによってネーモンなんだ?
わざわざ参戦してるってことは海外では人気…なのか?正に今の僕には理解できないチョイスだ。
しかもこいつ、メチャクチャ強いときた。バトクロをやるとネーモンをブチのめしたくなるのは必至だと言える。


 もはや、仮にゲーム面が完璧だろうと「登場キャラがダメだ」とA評価がCぐらいに下げられそうな勢いだが、
個人的には、バトクロには本当に「アニメのデジモンしかいない」というのも大きなマイナスだと思う。
これはバトエボやバトルスピリットもさほど言えたことではないが、
バトエボには「ゴクモン」がボスキャラとして初登場し、バトスピにはこちらもボスとして「ミレニアモン」「ズィードミレニアモン」が登場する。
キャラゲーとは言っても、やはり「ゲーム」である以上、ゲームならではのオリジナリティある敵キャラがいれば嬉しいところだ。
ゴクモンは理不尽なほどの強さ、ミレニアモン(ズィード)は戦闘の方法そのものが変わるなど、演出も光っていた。
だが、バトクロは…。

 というか、「バトルクロニクル」と言う割には「デジモンクロニクル」と全く関係ないのもヒドいな。
ドルモンやリュウダモンが参戦してても誰も文句言わなかったどころか、むしろ大歓迎していたところだぞ。

  

 ところで、今作の登場キャラ「全47体」という数字自体に偽りは無い。
だがしかし、「47体」という数字に見合った満足感を感じることができないのも事実だろう。

 大体、アグ、グレイ、ウォーグレイの3体は確かに「3体」だが、これってキャラ的には「1人」じゃないか。
それを踏まえて再計算すると、キャラはたったの16体しかいない。ブラックは勿論数に入れないぞ。
何故こうも一気に「47」から数が少なくなってしまうのか。その原因は「成熟期」にある。

 バトエボやバトスピは「成長期→究極体」と一気に最終形態まで進化していたのに対し、今作は途中に「成熟期」の1ステップが挟まっている。
つまりこのゲームは成熟期だけで実に11体もの枠を取られているわけだが、正直成熟期なんていらねぇんだよ
そりゃ「あるかないか」で聞かれたらある方が良いかもしれないが、このせいで容量や枠が取られるのならば、絶対にいらないはず。
仮にこの11枠を他に回せたとしたら…新規にデジモンが5体とそれぞれの進化系、更に1体のキャラを足せたことになる。
 とりあえず必須であろう ワーム(グランクワガー及びインペドラゴン)、レナ(サクヤ)、テリア(セントガルゴ)、
インプ(ベルゼブラスト)、ヴォルフ(マグナガルル) …と言ったメンツを足せるだけでも物凄く魅力が上がるじゃないか!なんで足さなかった!


バトクロのキャラ選択画面
バトルクロニクルのキャラ選択画面
キャラクターの並び方が滅茶苦茶な辺りからも適当さがひしひしと感じられる
ちなみに、二段目右端の黒い「?」のシルエットはただの「ランダム選択」

クルモンがウザい
一方こちらはバトルエボリューションのキャラ選択画面
ちなみに、上でやったのと同じ計算法で考えると、バトエボのキャラはなんと14体
キャラクターの「需要」を的確に抑えている分、こちらの方があらゆる点で優れていると言えるだろう

 ところで、この「デジモンバトルクロニクル」の良い所について、「CGが綺麗」と言うのをよく聞く。
確かに「綺麗か否か」と聞かれれば、流石次世代機だけあって今までのデジモンのゲームの中でもポリゴンの綺麗さは断トツだろう。
だが、それと同時に綺麗なだけだと思う。
 バトクロをプレイしたことがない人は、公式サイトのデジモン図鑑を見て、デュークとかインペファイターとかの顔を見てもらいたい
「角度を選ぶ」というのもあるだろうが、明らかにポリゴンのレベルは決して高くない
比較的、動物っぽいデジモンはそれなりのカッコよさ可愛さを保ててはいるが、よく見れば表情が死んでいたりするから油断できない。
正直、ポリゴンのモデリングとして見れば、デジワー3の方がよっぽど日本的で優れていると思う。

 大体、ハードが次世代機になっているから「綺麗」になるのは当然のことで、わざわざ褒めるほどのことでもない。
むしろCGの「美麗さ」なんかよりは、もっと本来のアニメのイメージを再現したようなステージや、
設定に忠実なポリゴンや、迫力のあるエフェクトなんかに気遣うべきだったろう。
 こんな思い入れの無い「綺麗なステージ」なんかわざわざ作ってくれなくても、
ただの平面に、背景としてアニメ本編で使われた風景の一枚絵が入ったような簡素なステージの方がよほど嬉しいぞ。
この点は別に日本だろうとアメリカだろうと同じ思いだろうと思うのだが、それができていない辺り
このAMAZE ENTERTAINMENTという会社、単にゲーム会社として微妙なんじゃね?と思ってしまう。

 尚、バトルクロニクルで用いられたデジモンのポリゴンモデルは
ブラウザゲームの「デジモンネットバトル」や「デジモンサークル」に流用されたようだが、
俺は迷い無く切ってプレイしていないのでそれについては語ることが無い。


 これは実際にゲームをやってもらわないと分からないんだが、総じて挙動がなんかおかしい
バトルに勝利した時なんか、やたら手足を振り回したり、メリハリが無い動きがカッコ悪いというか、不気味だ。
完全体や究極体へ進化したデジモンは「重さ」の演出があった方が「らしい」だろうに、お構い無しにヒョイヒョイウネウネと動く。


 ■ゲームシステム

 アクションはバトエボ同様に、基本的な格闘に加え、各デジモンが必殺技を数種類持つほか、さらに「投げ技」や「ガード」がある。
さらに今作はボタン長押しによる「タメ技」や、進化エネルギーを消費することで行える「HP回復」等のコマンドが加わった。
 全体的に、アクションが豊富である割に、操作性自体は悪くない。
自分はPS2版なのでその場合でしか話せないが、△でジャンプ、□と十字ボタンとで各必殺技、
R1で進化~と言ったキーのポジションはとっつきやすく、説明書を読まなくても大体分かるぐらいだ。
その上キーコンフィグ機能もついているのは親切だ。…この親切心を他にも……

 ルールもバトエボ…というか一般的な格ゲーに同じく、「自分以外の相手のライフを0にする」のが勝利条件だ。
だが今回は「ライフ」の他に「HP」もあり、HPを0にすればライフが一つ減り、そのライフを0にすれば勝ち、という仕様。
つまり、アクションやシューティングゲームでいうところの「体力ゲージ」と「残機」があるというわけ。

 一見、バトエボよりもゲーム要素が増えて面白くなった印象を受けるかもしれないが、
実際にプレイしてみれば、無駄な要素が増えたせいでゲームバランスが壊れてしまったのがすぐに分かる。

 特に「ライフ」と「HP」が分かれたというのが厄介で、これのせいでかなり、いや滅茶苦茶テンポが悪い

 アクションゲームならこれは理解できる。
「HP」はステージ中でのダメージ、言い換えれば「ステージをどれほど動けるか」のための要素、
「ライフ」はHPが失われたことによるダメージ、こちらは「ゲーム自体をどれほどプレイできるか」の要素だ。
もしHPがなければ、ステージ中でのダメージは即死となり、ゲームバランスが取りにくくなるし、
もしライフがなければ、何度でもステージにチャレンジができてしまい、ゲームそのものに難易度や緊張感といったものがなくなってしまう。

 だが、今作は「ライフ」を失っても、ゲームが仕切り直されるわけではないし、
ステージ復帰直後の無敵時間も極端に短い(ほぼゼロ)など、「ライフを失った側への配慮」が欠けている。
そのため、一度傾いた形勢が全然直らない残念なことになっている。これこそ正に死に設定だ。


 既に書いたが今回の「進化」は「成長期→成熟期→究極体(完全体)」と2段階となっているが、このせいでさらにテンポが悪くなる
成熟期へと進化したところで、劇的に強くなるわけではないし、
そこからさらに最終形態へ進化するためにまたもや進化エネルギーをゼロから溜めなくてはならない
それに、最終的に究極体になるデジモンでは「完全体」がいないため進化系譜的にも未完成になる。
要するに、あらゆる点で中途半端なため、ゲーム的な存在意義が全く見出せない。

 さらにここで、前述した「ライフ」が追い討ちをかけてくる。
HPが0になると「KO」という表記とともに「パァン!」と風船がはじけるような手抜き演出でライフを失い、ステージから一時退場するわけだが、
まだ残機があり復帰する際には、「死ぬ直前より一段階退化した状態」となり、進化はやり直しということになる。
 復活時には進化ゲージが少し増量してくれるのだが、本当に「少し」なので全然割に合わない。


 尚、バトエボでは、進化ゲージは相手を攻撃するか、相手に攻撃されることで自動的に上昇していったが、
今回は、攻撃によりダメージを受けたデジモンから噴出す「青い水晶」を回収することで初めて進化ゲージが増加する
丁度、バトルスピリットの「スピリット」みたいな感じで、これを集めて進化ゲージを満たし、進化等のコマンドを行うことになる。

 ただ、バトスピは「自分・相手から出たスピリット」で色も効果も違い、
敵から噴出したスピリットを回収することでスコアになるシステムだった
(相手に取られる前に、自分から噴出したスピリットを回収することもできる)。

 バトクロの水晶に「敵味方誰から出たか」の区別はなく、取ればそれだけゲージは増える。
基本的に、攻撃されて水晶を噴出してる側は技によって一時拘束されるので回収スピードは落ちる。

つまり、立ち回りが上手くできなければ不利になる一方というわけだ。

 バトエボでは「攻撃された時」のゲージ上昇が大きいため、不利な状況から反撃に移ることもできたし、
バトスピの進化はスピリットに関係なく「フィールドに現れたクルモンをタッチすること」で行うので、逆転するチャンスはある。

 だがバトクロは、全てのバランスを進化ゲージで取っているといっても過言ではないのに、
そのバランスが根本からブッ壊れているため、残念なバランスになってしまった。

 成熟期の存在がジャマなのは相手も同じことだが、一度どちらかの進化が完了してしえば、もうフェアとも言っていられない。
もし「成長期→最終形態」というだけの進化なら、こちらに進化のチャンスが一度でも来れば十分勝機はあっただろうが…。


 「でも逃げ回れば相手の進化解けるじゃん。そん時こそ反撃のチャンスじゃね?」と思う人もいるだろうが、甘い。
なんと今回、基本的には死なない限り進化は解けない
つまり、進化段階が上で有利で勝ってる側はマジでずっと有利なまま!
相手がミスるか、自分が頑張るか以外に理不尽なゲームバランスを叩き直す手立ては何も無い!いいのかよ。

 4人対戦なので毎度毎度同じ相手に一方的にボコられることはないし、
ハプニング性もあるから逆転はまだまだ可能…と思いきや、今度はリンチの可能性も出てくるぞ。


 もう進化できない最終形態のみで使える「ボーナスアタック」、いわゆる「超必殺技」は、
バトエボでは、成長期から進化を経た究極体の場合、「現時点での残存進化エネルギー全てを糧に発動し、発動後は退化する」仕様だった。
使用すれば退化してしまうデメリットはあるが、
無進化デジモンは超必殺技発動のためにゲージを満タンにしなくてはならないので、
無進化組より素早く超必殺技を発動できるという強みがあった。
実際、超必殺技が一度でも決まれば戦局は大きく傾くので、退化することは大した欠点にはならず、上手いバランスだったと言える。


 一方バトクロでは、この超必殺技の発動条件は全デジモン共通で、
「もう進化ができない時、ゲージが満タンの時に使える」というだけで、進化・退化には直接影響しない。
成長期から頑張って進化してきたデジモンは超必殺技のために3回もゲージを満タンにしなくてはいけないのに、
無進化デジモンは単純計算1/3の労力でそれを使えてしまう

 しかも、バトクロではライフ制が導入されているから、「一撃」の重要性がバトエボよりも大幅に下がっている。
頑張って超必殺技をキメて相手を倒したところで、相手はまたもや復活してくる。
無進化組は別に自分が死んだところでまた同じ姿で復活できるのでポンポンと超必殺技を撃てるというものだが、
いちいち進化ゲージを気にしなくてはならない進化デジモンにとって、
ゲージを全て消費してしまう超必殺技はギャンブル以外の何物でもない

 普通ならここで「でも実は~」と進化デジモンに対し救済処置の一つでも見つかるところだが、バトクロの非情っぷりは徹底している。
コマンドの箇所でさらっと触れたが、今回は進化エネルギーを糧に「HP回復」ができる。
つまり、負けている側の成長期・成熟期が進化のために進化エネルギーを溜めなくてはならない一方で、
進化を終えている究極体は進化の必要がないため、エネルギーを遠慮なくHP回復にまわすことができる。
 負けている、ということは「進化エネルギーを放出した」「ステージから一時的に消えた」ということになり、
自分がやられた時はほぼ間違いなく敵に進化エネルギーを蓄えさせることになってしまう。
 HP回復は消費エネルギーの割に効率が悪いためバランスブレーカーというほどでもないが、
「究極体では使用できない」などの縛りぐらいあっても全く問題なかっただろう。

 一応、「進化ゲージを一瞬でマックスにする」というアイテムが存在し、時折出現するが、
「アイテムを取れるかどうか」は全員に平等なので、これは負けている側への救済処置にはなれていない。



 本来、この「進化」というのは一発逆転を可能とする切り札というポジションにあるべきだし、
その切り札というのは「即効性」があり、「一時的」であるのが最低限の条件だろう。
バトクロの進化は、ただ戦闘をグダグダに引き伸ばしているだけのもので、
一度進化できてまえば、自分が死なない限り進化したままのため、一方的に相手をボコり続けるだけの面白くない要素だ。


 特に今回酷いのが「進化デジモン」と「無進化組」の格差の広がり具合で、
バトエボの時点で既に進化デジモンが努力の末にやっと無進化デジモンと同じ土俵に立てるというバランスだったのに、
超必殺技やコマンドでの問題、それ以上に「成熟期への進化」と言う無駄な1ステップを挟んでしまった今回は、
よりによってダメな方向にパワーアップしてしまった


 やはり、ここらへんのゲームバランスはもっと調整し直す(最初からしてない?)余地がありまくりだ。
無進化デジモンもボス用デジモンとしてなら、最初から進化済みの彼らは「強敵」としての役目を果たせたが、
何のデメリットも無しに他の成長期と並んで存在するのは大問題だ。
…てか、対戦モードの時だけでも、
バトエボみたいに他の進化デジモン達も「最初から進化状態を選べる」とかやってくれりゃそれで済んだんだよ!!


 
 勿論、テクニックや頑張りによって通常のデジモンで無進化デジモンを倒す事も不可能ではないが、
最初からここまで差を広げられていたようでは、ゲームとしての完成度が低いことに変わりはない。

 

 進化についての問題は何もゲームバランス的な事だけではない。
「進化」そのものの演出が非常に淡白なのだ。

 バトルエボリューションでは、ゲージが溜まり「EVO」と表示されると進化可能状態になり、
進化ボタンを入力するとパートナーとなる選ばれし子供のカットインが入り、その声援を受けて進化した。
 バトルスピリットではステージに現れたクルモンにタッチすることで進化が発動し、
さらに進化後はデジモンの登場作品にそって進化挿入曲が流れるという、ファンには嬉しい要素があった。

 バトルクロニクルは、まずパートナーたる選ばれし子供達がゲーム上に全く存在しない
バトスピもバトル中には選ばれし子供は出てこないが、キャラクター選択画面には普通に出てくる。
ここまで徹底して人間の存在すら匂わせないデジゲーは珍しく、バトクロの他にはVer.WSぐらいだろう。

 バトクロの進化は、ゲージが溜まると聞き取る気にもならない変な実況が進化可能状態を教えてくれるので、ボタンを押すと
「○○モン進化~!」と叫んで、青い帯みたいなのに卵状にくるまれて、出てきて進化完了。以上
アーマー体や究極体への進化コールも全デジモン共通で「進化」で、「超進化」や「ワープ進化」といった違いがない。
折角歴代作品が揃ってて、折角オリジナルキャストまで呼んでるのにそこらへんガン無視かよ。一体何を考えているんだ。




 そして全体的なゲームバランスについてだが、ぶっちゃけありえない
「成熟期が邪魔」「無進化組有利すぎ」「ネーモン死ね」など散々言ってきたが、まだある。
 まず全体的に無敵時間が少なすぎる、というか一部に至っては無敵時間が存在しないこと。
例えば、大抵のゲームは一度ダメージを食らったりダウンしたりすると、キャラクターが点滅したりして一時的に「無敵状態」となる。
この「無敵状態」というのは「一方的な大ダメージを受けないため」にする救済処置だが、これが無い
「無敵時間がない」というのはクソゲーのお約束なので、覚えておいて損はないぞ。

 タチの悪いことに、バトクロには一部のデジモンにだけハメ技と言える技がある。
例えばグレイモンやグラウモンなどの「炎を吐く」と言った攻撃がそうで、相手を壁に追い込んでひたすら炎を吐き続けていれば大抵すぐ死ぬ
これは炎攻撃に相手を拘束する効果があり、さらに無敵時間が無いためにハマってしまうから起きた悲劇だ。

 上にも書いたが、これは「ライフを失いステージに再登場する際」も同じ
デジモンの進化時は流石に無敵状態だが、その間は操作も不能なので無敵の意味は無い。



 どちらかが一度有利になればそちらに情勢が傾くばかりで、「駆け引き」というものが存在しない
これは対戦アクションとしては致命的だろう。
増してや、このゲームは1対1の真剣勝負を楽しむものでなく、4人で同時に戦う乱闘系ゲームであり、
「お互いの強さを競い合う」というよりは、単純に「戦いそのものを楽しむ」ゲームのはずだ。
だのに、こんなゴミみたいな環境の中「4人対戦可能」なんて言われても何も楽しくなく、こんなもの接待ゲームにもなりやしない。
 ただでさえ「デジモン」と言うブランドは知名度的にもアレだというのに、これでは集客性もクソもない。
かといって、「デジモン」を良く知る者同士で戦っても、「これはおかしいよな?」「なんでこうなる?」と言った疑問の連続で、 
デジモンを知ってる人にも知らない人にも幅広く楽しめないゲームだ。
 ホント、何なんだこのゲーム


ステージ

 ゲームの舞台となるステージは全部で10ある。
どれもやたらと「ギミック」には力が入っているが、正直な所見てて面白いといえるものはない。
しかもギミックはやたら高威力で、例えば「デンジャータウン」で出てくるトロッコは、触れると即死
「面白いゲームの中に理不尽なギミック」はともかく、「つまらないゲームに理不尽なギミック」では不快もいい所だ
 とはいえ、即死ギミックというのもそれはそれでゲームに緊張感を持たせてくれているし、
散々言った「相手究極体だ!ヤベぇ!」って状況をひっくり返すのに一役買ってくれているかもしれないから、あまり悪くは言わない。

 ただ分かるのは、「製作スタッフはデジモンを知らないんだろうなあ」ということ。
何しろ、アニメで出てきたような風景を思わせるステージが一つも無い
これはバトエボ等もそうだったが、今回はデジタルらしさすら無いぞ。
かろうじて「あくむのトイタウン」では、ギロモンやオタマモン、インプモンと思われる風船が背景にあるが、面白いというか、怖いだけだ
それに、トイタウンと言っておきながらもんざえモンやトイアグモンを出さない時点でたかが知れている
また、同ステージではアヒルのような巨大オモチャがステージ全体に炎を吹き襲い掛かるというトラウマになりかねないイベントがある。

 この怖さは恐らく、ギミックと言うのが「向こうからこちらへ」の一方的な干渉しかできないからだろう。
例えばそのアヒルのオモチャも、攻撃によって壊せたりすればまたイメージが違っただろう。
なにしろ、干渉ができないということは、アヒルのオモチャは無敵なのだ。
いかにも海外的で不気味なデザインの玩具に一方的に屠られる僕らのヒーローデジモン達…地獄絵図にもほどがあるわ!

 また、どのステージにもギミックが盛り込まれすぎていて、逆に言えば静かに戦えるステージが無い
どこもかしこも、地形が入り組んでいたり、ギミックが五月蝿かったり、強制スクロールだったり…。
やはりステージが何種類もあるのならば、一つぐらいはただ地面があるだけでギミックの類は無いステージが欲しいものなんだがなぁ。
なんでこういうところに限って手を抜かないんだよ


アイテム

 バトクロも一応ゲームなので、キャラクターやステージ以外にもバトルに影響する要素がある。
無敵 一定時間ピンク色のオーラを纏い、その間は無敵になる
炎上 炎を取得することで、デジモンが炎上してパワーアップ …パワーアップだと分かり辛い
鉄拳 拳を取得することで、デジモンがメタル化して大幅にパワーアップする
のろい爆弾 取得すると3秒に一度、自分の体から爆弾が飛び出るようになる 触れると敵だけでなく、自分もくらう
HP・アップ 赤い十字のようなアイテムで、取得するとHPが10%だけ回復
HP・マックス デジ・アップの上位版で、取得するとHPが全回復する
デジ・アップ 何度か文章にも出てきた「青い水晶体」のこと 取得すると進化ゲージが少し溜まる
デジ・マックス デジアップの上位版 取得すると進化ゲージが一気に満タンになる
デジ・ニューク 取得すると範囲内のデジモン全員の進化エネルギーを3割ダウンさせる

 よくもまぁ、ここまで無個性というか親しみの湧かない…ていうか、デジモンと関係ないアイテムばかり考えられるものだ。
「炎上」なんかは原語版だと「Fire Up」となってるようだから、それを「炎上」などと訳する日本スタッフが悪い気もする。
 とはいえこれらのアイテムは、ゲームとしてはそれなりに普通なアイテムだと思う。
どれも本来のデジモンのアニメやゲームと全く関連性が無いのは誰もが気付く点だが、もうアメ公に期待するのはよそう。

 アイテムは他にもあり、「?」がついた箱のようなアイテムを取得すると、様々なイベントが起きる。
いなずま 一定時間、ステージに落雷が起きる 雷が落ちる場所は落雷の前に光って示される
おやすみ! 全ての敵を15秒間眠らせる
ファントモン ファントモンが現れ、触れると即死 やけに物騒だが、唯一デジモンらしいイベント
進化ぎゃくてん 全てのプレイヤーの進化状態が逆になる 成熟期の場合は戦況により変わる 無進化組影響なし
オール進化 全てのデジモンが一段階進化する 無進化組影響なし
オール退化 全てのデジモンが一段階退化する 無進化組影響なし
HPこうかん 全てのプレイヤーのHPがランダムで入れ替わってしまう
デジ・マックス デジアップの上位版で、取得すると進化ゲージが一気に満タンになる
体こうかん 一定時間、全てのプレイヤーのデジモンがランダムで入れ替わってしまう
ピニャタ・パーティー 発動させたデジモンが一定時間ロバに変身 その間は動きが鈍くなり、アイテムも取れず、攻撃も不能に


 なんというか、無進化組のせいでえらくイベントに意味が無くなってる気がするぞ。
せめて無進化組はオール進化の時にはゲージが満タンになったり、オール退化のときにはゲージが0になったりしても良いんじゃ…。
「オール進化」や「オール退化」といった進化に関わるイベント、逆に言えば無進化組には全く関係ないイベントが、
オメガ、ディアボロ、ダスク、ベリアルの無進化4人組で対戦を行った時でも普通に起きてしまうのはダメだろう。
もっとも、この場合はゲームのセールスポイント「進化」を無視する無進化組の存在の方がおかしいのだろうけど…。

 「HPこうかん」や「体こうかん」は一発逆転を可能にするなかなか面白いイベントと言えそうだ。
が、飽くまで「ランダム」である以上、通常のプレイ以上の屈辱や不快を覚える結果になることも当然ある。

 
 ほぼ全てのアイテムやイベントがトホホなネーミングで効果が良く分かるというある意味素晴らしいセンスだが、
一覧の最後の「ピニャタ・パーティー」だけは、ちょっと名前だけでは分かり辛く浮いてる感がある。

 効果は表に書いたとおりだが、文字で示しても分かり辛そうだから現物の画像を見ていただこう。


画像の彼は元ウォーグレイモンさんです
ちなみに曲も専用のものに変わる

 なんかトラウマものなんですけど
これは「一定時間、専用曲が流れその間はほぼ行動不能状態に陥る」といういわゆる「ハズレイベント」なんだけど、
そんならヌメモンとかスカモンとか選択肢は色々あっただろうに、わざわざカラフルなロバを選択する辺り、なんとも海外のセンスだ。


音楽

 勿論アニメの曲なんて一つも使われていないし、BGMはステージごとに固定
しかもこのゲームは耳に残らない曲ばかりで、そもそも15種類も曲があるかどうかすら怪しい。
つーかステージも音楽もアニメと全く関係ないキャラゲーなんて俺初めてプレイしたよ。

 バトル中はアイテムを取った時や進化した時などには、
タイトルコールをしてくれたのと同じ方が英語でウザく実況してくれているわけだが、
普通のゲームならこの実況のオン・オフぐらいは設定でいじれそうなものだけど、実態は言わなくても分かるだろう
 この英語実況、地味に「OMNIMON(オメガモンの英名)」をちゃんと「OMEGAMON」と言ってたり、「日本語版」準拠で喋っているのが分かる。
わざわざ日本版のために実況を再収録してくれているということか。「そこ」じゃなくて、「人」を変えろ!!

 アニメと全く関係の無いステージの中で、日本離れした音楽をバックに、
何故か本場アメリカンの発音の実況と共に日本語の台詞で暴れまわるデジモンはもう、デジモンじゃない

 ちなみに、各デジモンには技のボイスだけでなくダメージを食らった時にもボイスが一応あるのだが、
これがなんと各デジモン1種類だけで、相手にハメ技を食らった時なんかはコレを連呼する
しかもそのボイス自体も「いてっ」や「いたいな~」等、緊張感に欠けるものばかり。
特にゴマモンがハメ技をくらった時は「いたいたいたいたいたいたいたいな~たいな~な~」とかなってヤバイ

 BGMが酷すぎるせいでSEの酷さが目に付かないが、SEも決して良くは無い。
なんというか、どれも「バスッ!」「ボスッ!」といったかすれたような面白みの無い音ばかりで、
爆発音やビームの放たれる音みたいな「響く音」が全体的に無く、聞き心地の悪いものばかり。
勿論、BGMですらアニメを参考にしてないんだからSEなんて尚更だ


 ■ゲームモード

 バトクロには「本当に対戦しかすることがない」と言ったが、そのゲーム内容は

・ひとりでプレイ
・みんなでプレイ
・トレーニング
・オプション
・データ

 これだけ
…せめてこれに加えてミニゲームの一つや二つぐらい入れておいてもバチは当たらんだろうに。
バトエボどころかバトスピにだってミニゲームはあったわけだし。

 ここまで読んだ人なら今更買って実際に遊ぶつもりなんて起きないだろうから一つ一つ解説していこう。

ひとりでプレイ
 文字通り、一人で戦闘を何度か繰り返すモードで、難易度は「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の三段階から選べる。
特徴と言えば、戦闘終了後にはチャート式になったマップのようなものが現れ、「次にどいつと戦うか」を選択肢から選ぶことができる。
上にいくほど難易度が高いルートであり、逆に下にあるほど簡単になっていく。

 最終的にルートは6つに別れ、その一番右端にはラスボスとなるデジモンがそれぞれ
「ベリアルヴァンデモン」「ダスクモン」「オメガモン」「ディアボロモン」「ネーモン」「ただの乱闘」となっている。
ベリアル~ネーモンの5体は隠しキャラ扱いなので、ここでで倒すことで使えるようになるぞ。
……隠し条件もっと捻れよ…。
 ちなみに黒いいらない子3人衆は、ひとりプレイをクリア後乱入してくるのを倒せば良い。


 ちなみにこれは全モード共通だが、
キャラクターを選択し、バトルが始まるぞ、という前にいちいちクルモンが技のコマンドを一部持ってくる



数種類あり、毎回ランダム

 これは別に選択したデジモンとは全く関係なくて、本当にただのランダムだ。
これはてっきり「ロードしている間これでも見てて下さい」って意味のモノだと思っていたが、別にそうでなく
本当にただ、いちいちクルモンが技のコマンドを一部持ってくるだけなのだ。
いらねぇよ!

 しかもこのクルモンはボタンを押さないと数秒間そのまま居座るし、その間バトルのデータもロードしない
マジでいらねぇよ!!



バトルのロードはこの画面で行う 4人対戦の場合は上下にそのデジモンが入る

 これももう一度言うが、これが全モード共通なのだ。
「ゲームのテンポを悪くする事」にこれほど情熱を燃やしたゲームを俺は他に知らない。



みんなでプレイ
 最大4人同時で行う対戦モード。
友達が来た時などで一緒に遊ぶため、このゲームの中でも最も遊ぶと思われるモード。
しかし、スマブラのパクリのくせに「チームバトル」と言う概念が当然のように無いのが悲しい所。
「何故4人対戦がウケたのか」を全く理解してないアホに4人対戦を作らせるとこうなるわけだな。
どうせパクるなら良い所もパクれよという指摘がこの世から消えることはなさそうだ。
 オプションで変更できる要素が「バトルモード」「ライフ数」「ゲームスピード」だけで、しかもいじれる範囲も相当制限されている。

 デジモンを選択する時には「パワー」というものを5段階で選べる。
これはどうも単に「技の威力」であって、COMの「思考能力の強さ」とはまた別のような気がする。
どうあれ、「パワー」というよりは「つよさ」と表記してくれたほうが色々分かり易かったと思う。

 尚、恐ろしい事に同じデジモンは同時に戦う事ができない
普通、キャラゲーなら「俺こいつ好きだから使うぜ」「俺も好きだから使うぜ」ってケースはいくらでもあるし、
普通、格ゲーなら「俺こいつが持ちキャラだから使うぜ」「俺だってそうだから使うぜ」ってこともいくらでもあるし、当たり前だ。
むしろ「同じキャラ同士が戦う」というのもゲームならではのなせる業であり、醍醐味だろう。
 だがそれができず、キャラ選択は早い物勝ちになってしまっている。
普通のゲームならば、キャラの頭上に「1P」「2P」等の表示を出して区別したり、
色違いのキャラクターを用意して「同じキャラの選択」を可能とするのだが、そんなことにも気が利かないようだ。
おいおい、黒いのを3体も出してるからてっきり色違いを出すのはお得意なのかと思ったのに期待外れもいいところだ。


 ・バトルモード
  通常モードなら、お互いに攻撃し、先に相手の体力を0にすることで競うモードだが、
 条件(もう覚えてない)を満たすと、攻撃する事で相手に毒をなすりつけあう要素が加わった「ポイズンバトル」や、
 所々に現れるクルモンを捕まえてポイントを競う「クルモンキャッチ」等、文字で見ただけでもつまらなさそうなモードが充実している。
  数あるモードの中に「でかデジバトル」というのがあり、てっきり俺は全員のサイズが大きくなってしまうモードかと思いきや、
 その実態は、何故か一部のデジモンが最初から進化状態で、一方的にボコることができるというだけの意味不明なモードだった。

  ちなみに、隠しコマンドを入力することで「進化ゲージ常に満タン」「進化エネルギーが常に放出している
 「全ての攻撃が即死になる」というモードを選ぶことができるのだが、別に嬉しくない。
  しかもコマンドを入力するタイミングはメニュー画面以前のタイトル画面でしか行えず
 電源を切るかリセットするまで効果は持続するため、逆にやめたい時は電源を切るかリセットすしかない
 なんで普通に「バトルモードに追加」という処置を考えないのだろう。


 ・ライフ数
  なんと3~7しか選べない
 なんでただ数値をいじるだけの気遣いすらできないのだろう。
 尚、この「ライフ数」というオプションはバトルモードが変わると「ポイント数」等、それぞれに対応したオプションになるが、
 例えばクルモンキャッチにした場合は20・50・100とたったの3段階にしか選べない。マジで頭おかしいんじゃないだろうか。


 ・ゲームスピード
  「おそい」「ふつう」「はやい」の3段階から選べる。こんなところは別にスマブラからパクらなくていいんだよ!
 この場合の「スピード」とはデジモンの動きや技のスピード、ステージのギミック等のスピード全てを指す。
 「おそい」にしたら単にストレスが溜まる程度にチンタラとなるだけなので基本的に「はやい」一択となる。



 尚、戦闘終了後には、優勝したデジモンが空中浮遊する台座の上で表彰される。
その際、格ゲーらしく勝利台詞を言ってくれるのだが、
ウォーグレイモンが「このが負けるはずがない!」
ベリアルヴァンデモンが「に挑んだのが間違いだったなぁ!」などと、
見事に劇中での一人称を無視してくれている(ウォーグレイは「僕」、ベリアルは「俺」が正解)。

 そんな勝利台詞パターンは進化形態それぞれで違うものの、各デジモン1個のみ
…バトエボだと各デジ3パターンぐらいはあったんだけどね。
つまり、たった唯一の勝利台詞の一人称を間違えているウォーグレイやベリアルは悲惨だということだ。
 心なしか、演じる声優さん達の声も当時の演技を忘れているというか、なんともやる気なさそうだ。

 
 バトル終了後は試合内容によって点数が付けられるが、こんなクソゲーに評価などされたくないものだ。
常にトップで勝ち続けたり、試合最初にファーストアタックをかけたりすれば点数は上がり、
コンボを一度も使わなかったり、敵に後ろからトドメをさされてしまうと減点されたりする。
 一応、ハイスコアは「データ」のところに保管されるので無駄な要素ではないが、
バトルの設定自体に自由度が無いからあまり意味があるとは思えないなぁ…。


 ご親切なことに、バトルが終わりキャラクター選択画面に戻るとキャラ選択が全部リセットされている
スタッフさんありがとう!試合が終わってまた同じキャラをもう一度使うなんてありえないですものね!


トレーニング
 「トレーニング」とは言っているが、普通の対戦となんら変わり無いため無駄すぎるモード。
ただ、ライフは強制的に「無限」にされているため、終了するには「中断」するしかない。
しかも、コンピュータの思考力や動きを調整したり、アイテムを自由に登場させるなどの操作は一切できない。
こんな環境下で一体何をどうトレーニングしろというのかサッパリ分からない。「クソゲーに耐える訓練」か?
あらゆる点でいかにスマブラがよくできたゲームだったかを思い知らされてしまうのが悲しい。もっと頑張れよAMAZE ENTERTAINMENT。

 「ライフが無限=不死」なので、トレーニングを中断するにはスタートで戻るわけだが、戻れる場所が「メニュー」しかなくて非常に不便。
普通、「トレーニングに戻る」「最初からやり直す」ぐらいは標準装備するもんじゃねぇの?マジで頑張れよAMAZE ENTERTAINMENT。

 しかも、この糞仕様は全モードに標準装備されている。
これは例えば、

メニュー画面から「みんなでプレイ」を選択

キャラクターを選んでステージ選んで設定いじってゲームスタート

バトル開始

アレ?ライフ制にしてたはずなのに時間制にしてたよ 設定やり直そう

キャラ選択画面には戻れず「メニュー」にしか戻れない

( ゚д゚ )


 ということだ。



オプション

・サウンド
 SE、BGM、ボイス、ステージ音のボリュームの具合を調整できるが、「ステレオ・モノラル」の設定は変更できなかったりする。

・そうさせってい
 いわゆるキーコンフィグ。
 十字ボタンによる移動以外のボタンを自由に設定できるほか、コントローラの振動の有無を設定できる。


 ここは特に不満の無い場所なのだが、設定を何一ついじらなかったとしても一度「見る」と、
オプションから他のメニューへ移ろうとする際にオートセーブが働いてしまうのだけがうっとうしい。
別にPCみたいに復元ポイントを保存してるわけでもないんだから、いじってない限りはセーブをしなくていいじゃん…。

 このオプションというのはバトル中にスタートボタンを押してポーズをかけた時にも変更できるが、
「さてメニューに戻ろうか」とか言うときに間違ってこの「オプション」を選ぶと、
やはり何もいじらなくても戻る時にセーブで数秒待たされてしまうのでうっとうしい。


データ

・デジモンずかん
 ゲームで使えるようになったデジモンの能力が「素早さ」「攻撃力」「防御力」「必殺技力」「HP」
の5つの要素で5段階評価されているもの、そのデジモンの解説、そして技のコマンド、技名を見ることができる。
たった5段階で能力を教えられても困るが、このゲームなら実際に5段階でしか調整していないかもしれない。

 能力評価やコマンド表などはありがたいが、問題はデジモンの解説。
全体的には意外とマトモなのだが、ごく一部、というかベリアル、いや、ヴェリアルヴァンデだけ異様におかしいのだ。
これは公式サイトで見れるものと「漢字と平仮名の度合い」以外は同じなので、興味がある人は是非見て欲しい。
(それにしても「ずかん」が平仮名なのに「成熟期」は漢字だったりと、このゲームの漢字レベルはどうなってるのだろう)

 ここで伏せるのもきまりが悪いので、どうせだしそのヴェリアルヴァンデを紹介しておこう。
折角だから、ひらがなを多用していて見にくい事この上ないゲーム版で書こう。

ヴェリアルヴァンデモン 
 左右のかたにソドムとゴモラというせいたいほうを
 きせいさせているまほうがたデジモン。
 ヴァンデモンのさいしゅうけいたいとされており
 ちせいが高い。7大まおうの1体と考えられている。

※「せいたいほう」はゲーム版だと全部ひらがななので問題ないが、公式サイトだと「聖体砲」と変換されている 正しくは「生体砲」
※「魔法型」ではなく「魔王型」 魔法型って一体…
※結局こいつは七大魔王から外されてしまった 公式で嘘をつくなよ…


 
 解説が狂っているのはこいつだけだが、実はほぼ全員が狂っているものがある。それが「技」だ。

 バトルクロニクルはもうとにかく「技」が酷い
もう二度と見ることの無いような新技ラッシュなのは格ゲーだから仕方ないだろうが、
本来の技が無いのにワケの分からない新技に差し替えられているのは、困りものだ。

 大体の技がアニメのイメージなぞ全く意に介していない上にカッコ悪いクソ演出に溢れていて、
特に究極体が行う超必殺技は手抜きが酷く、大抵「自分を中心になんらかの衝撃波が飛ぶ」だけで、「大技感」が無いし、爽快感に欠ける。
しかも、バトエボなんかが比にならないぐらいに技名を間違えているものもある。

 その点についてちょっと書いておくが、成長期や成熟期は大抵が無個性なので、基本的には究極体(完全体)ばかりになる。
デジモンの順番はゲームに従っているので、滅茶苦茶なのは俺が悪いんで無く、ゲームが悪いのだと思ってくれ。

■ウォーグレイモン
 なんとガイアフォースが通常必殺技
「→□」のコマンドで何度でもガイアフォースが打てちゃうぞ!ヤッター!



ガイアフォース!ガイアフォース!ガイアフォース!
演出が手抜きで全くカッコよくないけどガイアフォース!ガイアフォース!

 超必殺技「ブレイブトルネード」は、アニメのように自らを竜巻と化し敵に突撃する超電磁スピンではなく、
その場で立ったまま両腕を上げて回転し左右に竜巻を起こすというあまりにも不恰好な演出。
ちなみに通常技の方に「グレートトルネード」があり、こっちは一応ちゃんと突撃する。
溜め技「ウォードライバー」は、溜めるごとに力が溜まり、発動するとその場にドラモンキラーを叩きつけるよく分からない技。
どうせなら、溜めるほど弾が大きくなるイメージでガイアフォースをタメ技にしてくれれば良かったのに。


■ガルダモン
 ガルダ、アトラー、ズド、リリといった、無印完全体止まり組はみんな揃ってマトモだったりする。
どれも本来の必殺技を持っているし、演出もアニメに準じているのが嬉しい(本当はコレが普通なんだけど)。
むしろ、こいつらだけがバトクロの良心だと言っても良いぐらいで、
ゲーム的にもこいつらは 成長期→成熟期→完全体 としっかりとアニメ通りに進化できるわけだ。
 中でもガルダモンは、ゲーム中でもバランスよく色んなタイプの技を持っていて使いやすく、オススメのキャラだ。
超必殺技である「ファイアハリケーン」は、ガルダモンのデザイン的にもマジシャンズレッドを思い出す。


■ヴリトラモン
 カード等では必殺技の「コロナブラスター」が炎を纏いながらバンザイジャンプするだけという謎技になっている。
「フレイムストーム」「ファイヤービロウ」など、腕の武器から炎弾を連射する技を持つが、発射角度が違うだけで技名も違うらしい。
超必殺技の「ワイルドファイア」は自分を中心にちょっと炎が渦巻くだけで、特筆することもない。
こいつの進化前であるアグニモンは、進化と同時に「ファイアダーツ」を誤発動することが多く、なんかうっとうしい。
 

■メタルガルルモン
 なんと、メタルガルルモンのトレードマークである氷のブレスを吐く必殺技「コキュートスブレス」が無い
「ガルルトマホーク」どころか「グレイスクロスフリーザー」までゲームには登場しているのに、これは一体どうしたことか。
 しかし気付けば、本来はミサイル一斉掃射攻撃の「グレイスクロスフリーザー」が氷のブレスを吐く技になっているんだがこれはもしかして…。
さらに、胸のハッチから発射するはずの「ガルルトマホーク」も胸のハッチからは発射されず
このゲームでは両肩のミサイルポッドからの6連射ミサイルが「ガルルトマホーク」とされている。
しかも、超必殺技は「ギガデストラクション」という新技で、この技がミサイル一斉掃射になっていたりする…。
「一斉掃射」といっても、せいぜい5発程度のミサイルがのんびり相手をホーミングするだけで非常にダサい。
その超必殺技に加え「ギガミサイル」という技も持ち、今回のメタルガルルモンはやたらと「ギガ」が好きなようだ。
 ちなみにこの「ギガミサイル」が胸のハッチから発射されているぞ…。


■エンジェウーモン
 ホーリーキック、ホーリーアロー、ホーリーアタック、ホーリーダッシュ、ホーリーチャージキック、ホーリーチャーム…と、
お前は昔のスーパーロボットかと言わんばかりに同じ単語を技名に付けまくっている。
これといって酷い点は無いが、その分色々と地味。ポリゴンにエロスを求めている人はガッカリするとだけ言っておこう。

 
■ズドモン
 個人的に、このゲームでは一番のお気に入りキャラ。
地上だろうと空中だろうとハンマーを打ち付けて衝撃波を放つ「ハンマースパーク」がステキ。
全方位に衝撃波を飛ばす超必殺技の「バルカンリベンジ」はよく分からんが強い。


■デュークモン
 聖槍グラムから「ライトニングチャージ」とか言いながら電撃を放ったり、
超必殺技も「ライトニングチャージ」とか言いながら全身から電撃を放ったりと、やたら電気属性に目覚めている。
(技名が同じなのはゲームの「デジモンずかん」がそう書いているからで俺のミスではない。
 実際には前者の方を「ライトニングカフス」だか「ライトニングスカウト」だか、聞き取れないが別名で叫んでいる)
 こいつの何が凄いって、溜め技が凄くカッコいいこと。
聖盾「イージス」を敵目掛けて構え、ボタンを長押しして溜めていくと、イージスに刻まれた△模様が一つずつ光り始め、
完全にパワーが溜まってからボタンを離すと強力なビームが発射されるのだ(威力は落ちるが途中発射も可能)。
ああかっこいいなあファイナルエリシオン…と思いきや、これはファイナルエリシオンではない
このカッコ良い技の名前は「シールドアタック」というあまりにも残念すぎる技名なのだった。
 声を当てていた野沢雅子さんは何か違和感を感じなかったのだろうか?
何はともあれ、「これの声お願いします」と言って来たスタッフが悪いのには間違いない。スタッフ死ね。氏ねじゃなくて死ね。
 そして本来の必殺技であるファイナルエリシオンはこのゲームに存在しない


■リリモン
 狙ったのかどうかは知らないが、「グリーントラップ」という技がある。
使ってみたが単に花がヒラヒラ舞うだけで、デジワーのそれとは全然違っていた。まあ期待はしてなかったが。
通常必殺技の「フラウカノン」の連射性能がなんか凄くていやに強い。
超必殺技の「サンバーストバイン」は自分を中心に緑色のヒマワリみたいなのがザクッと咲いて敵を刺すよく分からない技。
 それと、何故かトゲモンがヤケに強い。
チクチクバンバンはロケットパンチになっていてやたら当たるし、
マッハジャブは「いーとーまきまき」をしながら相手を巻き込んで上昇するという謎の演出。


■ホーリーエンジェモン
 通常必殺技「エクスキャリバー」
 溜め必殺技「エクスキャリバースト」
 それはそうと、超必殺技の「ヘブンズゲート」が命中すれば即死という中々グッドな演出。
エンジェウーモンは「ホーリーダッシュ」をするが、こいつは「ホーリージャンプ」の使い手。どんだけホーリー好きなんだ。
尚、エンジェモンの「ヘブンズナックル」は本来ならパンチ、あるいは拳から光の波動を放つ技だが、
今回のゲームでは拳から光がみょ~んと伸びて長さを維持するという意味が分からない醜態を晒している。
なんでチクチクバンバンをロケットパンチにしておきながらこっちは…。


■アトラーカブテリモン
 「ホーンバスター」「メガブラスター」と御馴染みの技をちゃんと使ってくれる良い奴。
溜め必殺技の「ライノチャージ」はツノを地面に下ろし、そのまま雑巾がけのごとく突撃して相手に接触すると突き上げる妙な技。
超必殺技は「ライトニングウェーブ」だけど、それにしてもこのゲーム「ライトニング」って単語大好きですね。


■インペリアルドラモンファイターモード
 「スプレンターブレード」「ポジトロンレーザー」「ドラゴンキック」と馴染みの技が多いが、「ギガデス」が無いのはどういうことだ。
溜め技が「スーパーポジトロンレーザー」と意味不明。強化ポジトロン扱いならこれがギガデスで良いじゃん…。
超必殺技「イオンブラスター」は自分を中心にした衝撃波なんだけど、これもギガデス扱いでいいんじゃないの?
ポジトロン、及びスーポジは発射直後に何か障害物に当たるまで直進する超性能で、バトエボのコキュートスブレスに相当する反則技。
 フレイドラモンは「ファイアロケット!」と言いながら拳から炎を出し、「ナックルショット!」と言いながら炎をまとい突撃する。
つまり「ファイアロケット」と「ナックルショット」の声が逆になっているのが非常に情けない。

 
■ブラックウォーグレイモン
 技名やエフェクトは変わっているが、モーションは大体同じ。テヌキモンと呼んで問題ない。
ガイアフォースは通常版から特に仕様変更されていて、ウォーグレイモンがただの火の玉を直線状に投げるのに対し、
ブラウォは土星みたいに輪がついたよく分からない球体を投げる。
このガイアフォースは軌道が独特で、重さを持ったボールのようにバウンドしたりしながら、敵に当たるまで一定時間ウロチョロする。
演出が迫力の無さに磨きが掛かっている癖にダメージはかなり大きく、敵に回すと非常に厄介な動きでウザい。
 何はともあれ、声の都合であまり使う気にはならない。


■ブラックメタルガルルモン
 弱すぎる
必殺技がほぼ全てショッボい誘導ミサイルで、ミサイル操作中は無防備な割にミサイルの威力も決して高くない。
 また、こいつもエンジェウーモン並に技名が凄く、
ファイアウルフクロー、バーストウルフクロー、アイスウルフクロー、メタルウルフクロー、ブリザードウルフクロー、
と、謎単語「ウルフクロー」にかなりのこだわりを持っていて、ウルフのクローという割に全部ミサイルだ。
相手を凍らせるアイスウルフクローだけはまだ救いようのある性能だが、やっぱり性能はどれもヒドい。
 メタルガルルモンの超必殺技「ギガデストラクション」がブラックにも存在し、こちらでは同名のくせにタメ技になっているのだが、
この技を溜めている間はヤカンの湯が沸いたような情けないSEが鳴り響くぞ。…何故?
 勿論コキュートスブレスは無い


■カオスデュークモン
 デュークと同じく、溜め技が折角カッコいいのに技名が違う。
こちらの場合は「シールドデストラクター」。デュークモンよりはマシだな
さらに、こいつは「ジュデッカプリズン」や「デモンズディザスター」等の本来の必殺技も一応持っている。
だが超必殺技は「ウェーキングデッド」というなんだかショボい技に。


■ダスクモン
 通常必殺技「ゴーストムーブ」が「最寄の相手のいる場所にワープする」という鬼性能。
ただでさえ最初から究極体レベルの能力なのにこれは強すぎるだろ…。
何気に「ガイストアーベント」や「エアオーベルング」等本来の必殺技もしっかり持っている。
 
 
■ディアボロモン
 何故か千葉繁ボイスな今作のディアボロモンだが、「カタストロフィィィィッ!カァノォオン!!」等ヤケに気合の入った声は、嫌いじゃない。
「ケーブルクラッシャー」「ラインサージ」「ウィルスダウンロード」等、二度と使わないことが約束された技のオンパレード。
超必殺技「システムフェイル」は自分以外の全デジモンを退化させる。これはステージ全体に効果があるので回避不能。
進化してない、あるいは進化しないデジモンには当然、この技による退化効果はでないが、
超必殺技発動時には、他のそれと同じく自分を中心に波動が出るので、ここにダメージ判定がある。


■オメガモン
 「グレイソード!」と言いながら剣を構えて突撃しつつ同時に背後にガルルキャノンを撃つ変態デジモン。
「アルティメートアッパーカット」というなんだか凄そうな技も持つが別に凄くなかった。
 地味にタメ技が「オメガソード」だったりするが、同じ剣で切っている「グレイソード」とどう違うのかは分からない。
別にバトエボのミス(パラディンの必殺技「オメガブレード」が「オメガソード」になってた)を意識したわけでもないだろう。
 超必殺技の「ソードオブルイン」は剣を忙しそうにバッバッと振り回して自分を中心に波動を放つ、やはり良く分からない技。


ヴェリアルヴァンデモン
 本来は、両肩の生体砲から放つのが「パンデモニウムフレイム」のはずだが、今回は全身から黒いオーラを発して、
一定時間、自分以外全員のキー操作を滅茶苦茶にするのが彼の超必殺技「パンデモニウムフレイム」だ。
このテの技ってコンピューターにもちゃんと効いてるのかが疑問で、自分で使うとアレだけど敵に回すとうっとうしいのが嫌だ。
 で、両肩の生体砲からは「メルティングブラッド」…ではなく、「ハウリングブラッド」を放つ。やっぱ適当だこのゲーム。
宙に浮いてクルクル回転しながら黒いオーラを下に延々と流し続ける「ブラックレイン」が実にキモい。
何故かこの人だけはガードが「ソウルシールド」という特別なものになっているが、性能は未知数。ハッタリかも。


■ネーモン(笑)
 死ね
性能的にはそんなに強くないはずなのに、いざ戦ってみると恐ろしいほどのポテンシャルを秘めている。
技名も「やったー」「1,2,3,4,5,6,7!」「あれれ?」「ガスだ」「あれ?」等、考案者の人格をも疑いたくなるネーミング。
 どれがどれだかいちいち覚えてないし確認するのもめんどいので省くが、
バナナをヒョイヒョイと投げる技があって、結構連射が効く技なのにバナナ6発でオメガモンが死ぬ
その他の攻撃方法も、ゲップしたり屁をこいたりと、ウザさの汚さに磨きが掛かっている。
つーか、フロンティア本編でもウザくはあったが、こんな下品なキャラではなかったはずじゃ…。


 
 尚、この図鑑はいわゆる「メニュー」のようなものが設けられておらず、
ページ移動はひたすら「↑」か「↓」を選択するしかない
しかも、例えば「アグモン」ならグレイモン、ウォーグレイモンと言った進化系譜へのページにはすぐいけるが、
「ピヨモン」または「ネーモン」といった別のデジモンのページに移る際には毎度毎度ロードがかかる
こんなもの、バトル時のキャラクター選択画面と同じインターフェイスにしてればもっと快適にできたろうに…。

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・ハイスコア
 文字通り、「ひとりでプレイ」等、各モードでのハイスコアのランキングが表示される。だけ。 

・クレジット
 ロードがやけに長いが、「スタッフロール」を見ることができる。
デジモンの乱闘をバックに小さく見にくいスタッフロールがステージに半ば隠れながら高速で変に動くので、見せる気ないと思われる。
ていうか、外国のスタッフの名前はカタカナじゃなくてちゃんと英語で表記するのが礼儀だと思うんだが…。

 ■総評

 単刀直入にはっきり言って、やってて楽しくない。これに尽きる。
「対戦」しかやることがないゲームなのに、その対戦が糞と来たらもうお手上げだ。
勿論、すぐに飽きる
OPムービーも凝った演出も無く、アニメのキャラが総登場するわけでもなく、曲もステージも関係ない。
「またやりたい」「久しぶりにあれを見たい」といったプレイヤーの心を動かす要素が全然無い

 せめて、技名の間違いを無くし、バトルの設定の自由度を上げて、チームバトルを可能にしてくれたらまだマシだったろうが、
その程度のことにすら気をつけないスタッフの作ったゲームだと思うと精神的にも全然楽しくない。
ありがちな言葉だが、「作った人はこれで本当に楽しいと思えるのか」と、俺は心から問いたい。

 こんな手抜きで楽しくないゲームでも、「4人対戦格闘」というジャンル自体が持つ面白さに助けられて、少しは遊べる面もある。
だが、やってれば必ず「なんでこれがこうなってないんだ」という不満が山ほど出てくる。
「楽しくないゲーム」というより、「楽しくできたはずのゲーム」と言った方が近いかもしれない。

 客観的に見れば、いや客観的に見ずとも十分救いようのないゲームだ。
「デジタルモンスター」でなくアニメの「デジモン」として売っておきながら、全くファンの気持ちを考えず、
「出来が多少悪くても許してくれる」というファンすら裏切ったゲームだ。
さほどアニメ版デジモンに熱がない俺からしてもこう不満が出るのだから、熱狂的なファンからしたらさらにヒドいだろう。


 このページの最初に「情報もないし攻略サイトも無い」と書いたが、当たり前だ。
情報なんて必要ないし、攻略する所も無いんじゃどうしようもない。
当然のように攻略本も出ていないわけだが、そもそも必要なかったわけだ。


 俺はレビューを書くために久々にこれをプレイしたが、これが恐らく最後のプレイだ。
結局、俺がこのゲームについてできることと言ったら、
「こんなゲームがあったんだぜwww」と定価で発売日に買った自分を嘲笑いながらネタにするぐらいだった。


 そんな感じのゲームだが、別に俺の言葉に耳を貸さず、
興味が湧いたのなら買って自分でプレイしてみるのもいいだろう。


 …いや、やっぱり止めとけ