とびだす!3D東映アニメまつり(CG東映アニメまつり)
デジモンアドベンチャー デジモングランプリ!
デジモンセイバーズ デジタルワールド危機イッパツ!

寄せ集めに紛れたデジモン短編作品

公開 2009年10月3日
(各作品の初公開日は別記)
DVD発売 2010年2月21日
価格 4725円(税別)
公式サイト

   今回紹介するのはデジモンアニメという括りの中では恐らく最マイナーの部類となる、
デジモンアドベンチャー デジモングランプリ!」と「デジモンセイバーズ デジタルワールド危機イッパツ!」の2作品。

 これらは「サンリオピューロランド」で限定的に公開されていた短編で、
かたや2000年、かたや2006年と、2013年の今からすると結構な前に公開されていた。

 サンリオに足を運ばないと見られないファン泣かせな作品だったものの、
2009年10月3日より「とびだす!3D東映アニメまつり」の同時上映作品として劇場公開され、
さらに2010年にはDVDも発売・レンタルされるようになり、手軽に見られるようになった。やったね。

 とは言え、それでもここのレビュー向けなマイナー作品だろうし、折角なので収録作品をまとめて紹介。
上記のデジモン2つと同様に、イベントで限定公開されていた「ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎の幽霊電車」と、
3D東映まつり唯一の新作かつ30分という最長の尺である「きかんしゃ やえもん」を合わせ、
この4つの作品を合わせたのが「東映アニメまつり」となる。

 いずれもCGによって描かれた作品で、乗り物がテーマになっているのが共通点。
 劇場での上映時は3Dに対応した立体映像作品だったものの、
DVDでは3D非対応のため、通常映像版と、フィルム付メガネで立体に見えるバージョンが収録されている。
(レンタル版DVDは一般販売版と違いメガネが付属しないので、通常映像版のみ収録。
 その都合で、DVDでは上映時のタイトルから「とびだす!」「3D」などの部分が変更されている)


 また、「DVDで全編再生した時の作品の順序」は「劇場上映での順序」とまた違うらしいので、
このページでは「デジモンファン視点でのレビュー用」にそれっぽく並び替えてます。




ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎の幽霊電車
1999年3月20日公開 約12分

 DVDの再生順序だとトリに来るのがこの「ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎の幽霊電車」。
4作品中では最も古く、花やしき他遊園地やイベントで上映されていたとのコト。
鬼太郎には詳しくないけど、キャストやキャラデザはテレビシリーズ4期がベースだそうですよ。

 ウィキペから引用…しようと思ったらなかったので、自分で適当にあらすじを。

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 テストで0点をとり、どうしたものかと落ち込む少年「三太郎」の元へネズミ男が現れた。  ネズミ男は、「答えを覚えてるなら過去に戻れば解決だ。妖怪ポストに、昨日に戻してくれるよう頼め」と三太郎をそそのかす。
 ポストに願いを書いた手紙を投函すると、鬼太郎の乗った「幽霊電車」が迎えにやってきた。  乗り込んだ電車の中には無数の妖怪がいて三太郎を怖がらせるが、もはや降りることはできない。  幽霊電車は昨日どころか一昨年、去年へと戻っていき、過去の三太郎少年がやらかした「ゴミのポイ捨て」や「亀イジメ」などの悪事が再現公開され、 三太郎は妖怪からその過去の罰を受けさせられる。
 その後、当初の願いどおり「昨日」に戻してもらえたが、これまでの件で三太郎は考えを改め 「もう悪いことをするの、やめたんだ」と、テストには手を付けなかった。  三太郎が改心してくれると信じていた鬼太郎は満足し、彼を元の時間に戻し、別の子供を探して幽霊電車ごと去っていた。

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 「ズルをしてはいけない」という、教育的なお話。
短時間でまとまっているけども、登場するのは見慣れたメンバーで、
この話専用の変わった妖怪が出るワケじゃなく、正直そんな面白いモンでもない。
「クレイアニメっぽい質感のCGで、水木絵が滑らかに動いてる」ってのは
(作品の公開時期も踏まえて考えれば)スゴい気がしたので、鬼太郎や水木しげるファンなら十分楽しめるのかも。

 ちなみにこの鬼太郎とデジアドは細田守演出作品。
パッケージの裏でもアピールされてるけど、鬼太郎のは言われなかったら細田作品だと分からない気もする。




きかんしゃ やえもん
2009年10月3日公開 約30分

 映画の主役であり、DVD再生でもトップバッターを務めるのがこの「きかんしゃ やえもん」。
前述のとおり、他の作品はどれも過去に公開された作品である中、やえもんは唯一の新作かつ長編。
この東映アニメまつり自体、「やえもんとオマケ」という認識で間違いではないかもしれない。

 とりあえず、この映画の原作となったオリジナルの「やえもん」について、ウィキペディアから適当に引用。

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 『きかんしゃ やえもん』は、日本の絵本。作者は阿川弘之(文)と岡部冬彦(絵)。 擬人化された古い蒸気機関車を主人公とする作品で、1959年に岩波書店より刊行された。小学校の国語教科書に掲載されたり、 影絵劇化、アニメ映画化されるなど、広く知られたロングセラーであり、2007年9月までに累計122万冊が売れ、刊行から半世紀を経た2010年現在でも新品で入手可能である。

ストーリー
 とある支線が通じる田舎の小さな機関庫に、「やえもん」という名の蒸気機関車がいた。 やえもんは年寄り機関車で、今日も同じくらい年寄りの小さな客車を引いて、町の大きな駅との間を、行ったり来たりしている。 ある日、町の駅に着いたやえもんは、電気機関車などに「びんぼうぎしゃ」と馬鹿にされ、「自分はまだまだ走れるのに」と、腹を立てたまま帰路についた。 ところが、あまり腹を立てたために煙突から排煙だけでなく火の粉も吐き、それが線路わきの田んぼのわらに燃え移って、火事になってしまう。 幸いすぐ消し止められたが、火事を起こしたやえもんに、まわりに住む人々はすっかり怒ってしまった。 鉄道の職員たちはかばってくれたものの、人々の怒りはおさまらず、やえもんは走ることを許されなくなり、とうとうスクラップにされることが決まってしまう。 解体のため電気機関車に牽引されていこうとするとき、 運良く通りかかった博物館の人に「珍しい古い型だ、日本にも数台しか残っていないはず」と引き取られ、交通博物館で保存されることとなった。

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 というワケで、有名な絵本が原作。俺も小さい頃に読んでたなあ。トーマスのパチモンみたいに思ってたけど…。
上映されたのはコレの「3Dリメイク版」で、随所に大幅なアレンジが加えられたおかげで、ほぼ別物レベル。
こちらもあらすじを引用…しようとしたらやっぱりなかったので、適当かつ勝手にまとめ。

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3D版ストーリー

 大都会・東京に残されたボロ機関庫に、「やえもん」と言う名の蒸気機関車がいた。  電車や新幹線が活躍する現代に機関車の出番はなく、やえもんは機関庫の中で眠りこけたり、ネズミの群れに武勇伝を語るだけの日々を送っていた。
 ある日、意地悪ネコの「サマ」がネズミを狙って機関庫へ入りこんできた。  やえもんはネズミを車内へ匿うが、サマに「この老いぼれ機関車が!」と蔑まれ、デリケートな心は抉られてしまう。  煙幕噴射でサマを追い払うが、サマは近くにいたディーゼル機関車の「ディム」に落下。  ボディをススで汚されたディムは、「またやえもんの爺さんか…全く…役立たずのくせに!」とやえもんの豆腐メンタルをさらに刺激する。

 近所の電車や新幹線も加わって「俺達や役に立つ列車だ!役に立たなきゃ列車じゃない!」「俺達は走れなくなりゃ…ただの鉄クズなんだよ!」 などともうやめて!やえもんのライフはとっくに0よ!
 その後、機関車イジメのビッグウェーブに乗って構内整備でやえもん機関庫の取り壊しが決定。  (この世界の人間は電車が自我に目覚めている件を知っているのか分からないが)車庫のすぐ外での 「でも、この中には古い機関車が保管されてるんじゃ?」「残念だが、明日の朝イチにはスクラップ工場に運ばれるんだ」という会話がやえもん達の耳に届く。  やえもんの友達であるネズミやカラス達は脱走を提案。 「体はボロいし、肝心の石炭がない」とお通夜ムードの本人だったが、なんとか説得される。 一方、この話を聞いたサマはディムと組み、脱走阻止を企む。  カラスのカー助は「夜になれば石炭を確保できる」と言い、それまではやえもんの錆びを落としたり水を用意したり、脱走の前準備を進めていく。
 夜。カー助の案により、石炭を積んだ貨物列車に飛び乗って石炭を強奪していくネズミ達。

 やえもんに石炭を積んで用意が整いつつある頃、サマを乗せ、クレーン車の「フック」と連結したディムがやえもんの元へ迫る。
「明日の朝まで待たなくてもすぐにスクラップ工場へ連れてってやるぜェ!」と夜更けに騒音を出して機関庫を破壊する作業車の屑。  間一髪、巻き込まれる前にやえもんは盗んだ石炭で走り出す。こちらも負けじと深夜に「ポッポー!」と汽笛を鳴り響かせる機関車の屑。  一悶着あり、石炭が切れて動けなくなってしまったやえもんにフックのクレーンが命中し、捉えられてしまう。 ひっかかったクレーンを外そうとするネズミ達を前に、やえもんの脳裏に今までの思い出がよぎる。 涙ポチャーン演出を挟んだ所で、燃料不足を考慮していたカー助の仲間達が到着し、空から石炭が補給される。  復活したやえもんを追い、フックを切り離したディムが追いかけてくる。  隣り合った2本のレールで走る2体だが、そのレールの先は1本に収束していた。

 どちらかしか走れなくなった状況で、やえもんの謎石炭パワーが発動。ディムを吹っ飛ばし、やえもんはネズミ達を乗せて脱走に成功する。
「ねぇやえもん!これからどこ行くの?」
「そうじゃなあ…どこまでもじゃよ。線路が続く限り」

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 大体こんな感じ。
 子供向け作品にあまりツッコむのもアレだけど、「大人しくしてろよ」と「ほっといてやれよ」の嵐で、 
世界観もキャラクターの言動もイマイチ理解できず、正直キツいっす。

 「収まるべき所に収まった」原作に対して、後先考えずアイキャンフライしたこのオチはどうなんだろう。
「舞台が現代に」「動物の仲間が登場」「俺達の戦いはこれからだ!」などの改変が目立つけど、
「人間がいる現代」「電車が意思を持ってる」「動物も意思持ち」を全て混ぜた世界観はムリがあるんじゃ…。

 作品のテーマは機関車のプロパガンダがメインで、
「おいッ!蒸気機関車ってこんなんかァ!?」「ボクらは知らなかった!蒸気機関車がこんなにスゴかったなんて!」
 など、(特にやえもんが覚醒してからは)機関車を持ち上げるセリフが続々登場。

 それはいいけど、個人の感想としてはやえもんのビジュアルが正直ダサいのがちょっと…。
(俺の記憶が確かなら)怒ると原作通りに「癪だ!癪だ!!」って言ったりするのはいいけど、性格も魅力的かは微妙。
むしろ、悪役であれど憎めない感じのディムとフックの方がいいキャラしてたように思う。

 悪役と言えば最悪なのがサマとかいうクソ猫。
諸悪の根源のくせに、やえもんが謎パワーでディムを吹っ飛ばした頃には一人寝返っていて、
「こうなったら人間に知らせて捕まえてやる!」とディムが鳴らした汽笛を、「往生際が悪い!」と蹴り壊し、
「あんたこそ役立たずのスクラップにしてもらわなきゃならないみたいだねェ!」などと調子の良いコトまでホザく。死ね!!


 まぁシナリオはちょいとアレだったけど、CGとかは綺麗でよく出来てると思います(フォロー)。
あと、デジモンファン的には見逃せない要素もあって、

・機関車やえ"もん" 
・メインキャストに竹内順子、菊池こころ、菊池正美、金田朋子
・監督が貝澤幸男

 これはもはやデジモンアニメですね…間違いない…。
いつの日か、エンシェントロコモン名義でやえもんがデジモン化する可能性が…?





デジモンアドベンチャー デジモングランプリ!
2000年7月公開 約7分

 続いては「デジモンアドベンチャー デジモングランプリ!
2000年7月にサンリオピューロランド、ハーモニーランドで公開されていた短編作品。
 
 7分という短い尺を「今年度デジタルワールド最大のイベント、デジモングランプリ」に集中させていて、
エンジン音と共に始まり、レース終了と共に幕を下ろす尺の詰め込みっぷりが魅力。

 タイトル通り「デジモンアドベンチャー」と「02」のキャラが登場し、
アグモン ガブモン テントモン  ピヨモン パルモン テイルモン  パタモン ゴマモン
ブイモン ホークモン アルマジモン  そしてピコデビモンがそれぞれ専用マシンを駆って、
「キングオブデジモン」の称号を手に入れるため争う、というモノ。
(キングオブデジモンという名称は出てくるものの、エテモンは未登場)


 レースだけあって全編通してスピード感に溢れている上、
足の引っ張り合いやアクシデントでレース状況は二転三転するので視聴者を飽きさせず、
デジモンの台詞やフジテレビのアナウンサー・福井謙二氏による実況のおかげで情報量も多く、
目でも耳でも楽しめる高レベルな作品となっています(ベタ褒め)。


 声優はピコデビモンを含め全員がアニメと同じなのも嬉しい所。
ただ、尺の都合で全員が目立つというワケには当然いかず、
マトモなセリフが一言二言レベルのデジモンも多いけど、7分しかないからね、しょうがないね。
(尚、人間の出番はない。ただホークモンが「京さぁぁぁぁぁん!!」と叫ぶのみ)

 鬼太郎の項目でも書いた通り、この作品の演出はデジアド劇場版のパロットモンやウォーゲームでお馴染み細田守氏が担当。
そのせいか話の雰囲気もウォーゲーム(デジタルワールドへ移動シーン)に似ていないコトもなく、
モロにウォーゲームのBGMがそのまま使われていたりして、デジアドや02のファンなら結構必見かもしれない。
2000年の映像作品としては妙にCGのクオリティも高いし、満足度が高くてフツーに面白い良作でした。


 …ジュレイモォン…コレノ4ネンゴニデル「デジモンレーシング」ッテ…ナンダッタノォ…?




デジモンセイバーズ デジタルワールド危機イッパツ!
2006年7月公開 約7分

 紹介する最後の作品「デジモンセイバーズ デジタルワールド危機イッパツ!」は、
2006年7月にサンリオピューロランドの「夢のタイムマシン」等で上映された、サンリオ第二のデジモン。


 このアトラクションは「映画に合わせて観客が座っているシートが連動して動くアレ」みたいな感じらしく、 
劇中でもアグモン達がトロッコみたいな乗り物に乗って、デジタルワールドを見て回るというお話。

 話のメインとなりガイド役を務めるのは、
セイバーズの主役であるアグモン、ガオモン、ララモンと、ゲストのクルモンを合わせた4体。
セイバの3体は勿論アニメと同じ声優で、クルモンもテイマーズと同じ金田さんが起用されている。


 世代を問わず沢山のデジモンが登場するのが魅力だが、
基本的にデジモン達は映像に迫力を出すアトラクション的な出番であり、コレと言って話に絡みはしない。
尺がないからね、しょうがないね。



 暫くはアグモンとガオモンが揉めたり、トラブルを起こしてデジモンに追われたりしながら道中を進んでいく。
当時まだアニメに出たコトのなかったブラキモンや、
オロチモンやパンダモンなど登場デジモンは少しマニアックなチョイスが多く、新鮮な気分だ。
他にはベジーモンやウパモン、トゲモンなどが登場。


 オロチモンにしつこく追いかけ回されている内に、ご一行はデジモンや地形がデータに分解され、
それらのデータが一点に集中していくという不気味な場所へ辿り着く。
何やら不穏な空気だが、分解されたデータが集まっていくその先にいたのは…

 アーマゲモン!?
まさか短編作品でここまでガチなボスキャラが登場するとは…。
アーマゲモンは次々と周囲のデータを食らい、このままではデジタルワールド全てを吸い尽くしてしまう。

 これはマズいとアグモン、ガオモン2人が進化して対抗。
 進化バンクはセイバーズ本編で使われているモノと一緒で、ちゃんと挿入歌「Believer」もかかる。
(尚、この作品で使われているアグモン達のモデリングは、進化バンクで使われているモノと同じのようだ)

 何故かバンクの「ギュイーン!」って音が軒並み「キュルルーン♪」って感じの可愛い効果音になってたり、
それ以前にデジソウルチャージしてねーだろ等のツッコミ所はあるが、やはり進化シーンがあるのは嬉しい。

 ジオグレイモン&ガオガモン VS アーマゲモン!
不利な気がしてならないが、相手はアンチオメガモン特化のアーマゲモンだし、たぶん大丈夫だろう(適当)。

 この構図はタッグテイマーズ序盤の
「ブイモン&ワームモン VS (オメガモンに敗れ手負いの)ディアボロモン」って展開を思い出すなぁ。

 クルモンの謎パワー援護があったりして、なんやかんやで勝利。
あっけない気もするが大丈夫、「冒険者達の戦い」のガルフモンよりはずっと善戦してたよ!

 倒されたアーマゲモンは元の「無数のクラモン」へと分解され、
クラモンがデジタルワールドで今まで食べたデータを元通りにしてハッピーエンド。めでたしめでたし。


 短時間ながら多くのデジモンが登場したり、進化バンクや戦闘シーンもあるのは中々豪華。
話はユルい子供向けだけども、CGや演出もよく出来てるし、デジモンファンが見る分には十分な出来だと思う。
 あえてケチをつけるなら、ララモンが全く役に立ってないって所かな。



≪まとめ≫
 
 地雷に飛び込む勇気のDIVER気分で買ったものの、平均して作品の出来は良く、
そもそもビビりながらレンタルアップ品を500円ぐらいで買っただけだし、思いのほか満足してます。

 つっても、目当てになる作品が2つ合わせて15分のデジモンだけだって人からしたら、
正規品をちゃんとした値段で買うってのは少しハードルが高いってモンでしょう。
気になった人はまずレンタルを探すか、俺と同じく中古で安いのを漁るぐらいで丁度いいかも。