デジモンミニ
何のために生まれて

発売:VER.1 2005年11月22日
VER.2 2006年3月18日
VER.3 2006年6月28日
価格:1260円(税別)
公式サイト




 「技術の進歩」というものは凄いものだと心から感心する。
今では誰もが当たり前のように使っている携帯電話なんか、数十年前では考えられてすらいなかったというし、
最初は部屋一つ分ほどもあったというコンピューターなんかも、今ではコンパクトになりテレビのように普及している。

 「技術の進歩」でできることと言えば、「高機能化」がまず思い浮かぶが、「小型化」ということもやはり大きな利点だ。
「以前より小さいのに同等、あるいはそれ以上の働きができる」というのは、技術の向上っぷりを明確に表している。

 そんなこんなで、あらゆる機械の小型化が進んでいる現代だが、
そんな中でも特に「持ち運ぶモノ」が小さくなるというのはありがたさが良く分かる。
携帯電話もそうだが、音楽プレイヤーなんかもそうだ。CDやMDはもう不要で、データのみで再生が可能なまでに進化した。

 小さければ体に負担が掛からないし、邪魔だということもなくなるし、アクセサリーにもなり得る。
まぁ、俺がわざわざこんなことを言わずとも、「小型化」がどれほど素晴らしい事かは誰もが既に体験しているだろう。
 

 …しかし、「小型化」が喜ばれるのは、飽くまで「小さいのに優れている」という前提があってこそだ。
携帯電話だって、いくら持ち運びに便利とはいえ電話機能に問題があれば駄目だったり、
MP3プレイヤーだって、いちいちデータの入れ替えをしないと色んな曲が聞けなかったりしたら元も子もない。
ただ無意味に小さくなることで、肝心の内容までが小型化、いや、劣化してしまっては意味が無いのだ。


 というわけで今回は、ただ無意味に小さくなって劣化したデジタルモンスターの話。




 デジモンミニはデジモンアクセルに続く、新しいシリーズだ。
余りに突っ込みどころ満載かつ新デジモンラッシュだったアクセルとは方向性が180度グルリと変わり、
元祖デジモンシリーズへの「原点回帰」を踏まえつつ、本体を小型・軽量化するというのがコンセプトとなった。

 公式サイトでも言っているように、そのお値段はアクセルの約半額となる1260円であり、
1980円だった元祖や、2200円だったペンデュラムに比べても随分なお手ごろな価格になっている。

 「ここまで」の情報ならば、
「元祖デジモンを踏襲」し、「小型・軽量化」していて、尚且つ「安い」と、まさに良い所尽くしだ。
実際、デジモンミニは元祖デジモンを踏襲してたし、小型・軽量化も十分されていて、おかげで安かった。
だから俺も、なんだかんだで各バージョンを1個ずつ簡単に揃えられたわけだ。
 …だが、実際に手に持って育ててみないと分からない欠点が次から次へと出てきたのが問題だった。
 

 俺の偏見だが、世間一般の男の子の多くが遊んでいた「デジモン」というものはペンデュラムまでだと踏んでいる。
ペンデュラム以降、つまりプログレス、ペンデュラムX、アクセル、ツイン、そして今回のミニなんかは
そこら辺、つまり「実際に遊ばないと分からない欠点」を詳しく書いていこうと思う。


 とりあえずはゲームシステム云々の前に、本体の事から話そう。



 上の画像を見てもらえば分かると思うが、ミニの大きさは大体コレぐらい。
上段がミニシリーズで、左からVER.1、2、3だ。
俺のVER.1は気の迷いでガンダムマーカーメタリックレッドで塗装したため実際の商品とは異なる場合がございますのでご了承下さい。
下段が比較用の他シリーズで、左から元祖VER.4、ペンデュラムZERO、そしてプログレスVER.1だ。
 
 本体の小型化は勿論、液晶までもかなり小型化しているように見えるが、
元祖デジモンのような「メニュー」の部分が無かったり、デジモンの動く範囲が狭くなったりしているため、
本体画面の中で動く「デジモン自体の大きさ」はそう変わらない(多分。
厚さ比較の写真はめんどくさかったから撮らなかったが、本体の縦幅と横幅の比は元祖とそう変わらないので、
「それなりに小さくなっている」と適当に補完しておいてくれ。


 元祖との違いは、まずはコネクト部分。
今までは2つの接触部分を持つ端子だったが、デジミニだとそれが3つになっている。
そのせいで元祖やペンデュラムとは通信できないが、アクセルやデジヴァイスicとは通信できるのが救いだ。
このおかげで、どうしようもなかったアクセルにも「ミニのサンドバッグ」という天職が与えられたのだ。
(ちなみにペンデュラムXも端子が3つで、ミニともコンバイン自体はできるが、肝心の中身が対応してないので通信はできない)

 これはさほど大きな変化でもないが、↑の画像を見たらすぐ分かるとおり、チェーンがただのボールチェーンになった。
汎用性で言うと以前のようなフックタイプとどっちが良かったのかは人によるだろうが、
とりあえずボールチェーンだとケータイのストラップとして付ける分には中々良い感じだ。

 ただ、ツインのページでも書いたが、今回から画面が剥き出しになってしまっているのが難点。
これも↑の画像を見てもらえば分かるが、元祖達は画面周りにフレームが隆起して設置されることで
画面が窪んだ設計になり、画面が割と守られているのだが、ミニの画面周りはツルリとしていてそれが無く、剥き出しなわけだ。
このクソ仕様が引き継がれてしまったツイン同様、これのせいで非常に画面に傷がつきやすい。
何の考えも無しにケータイのストラップにしようものなら、画面があっという間にズタボロになってしまうぞ。…俺がそうだった。

 「なんで従来のように画面を窪ませて設置しないんだ」と疑問が出てくるが、
もしかしたらここで本体の「小ささ」がアダになっているのかもしれない。
本体を手にとって色々な角度から見てみると、この小ささで従来のように画面を窪ませるのは色々と耐久的にヤベぇ気がする。
代わりにフレームを付けようにも、こんなに小さい本体に見合ったそれを着けたところで、すぐに破損してしまいそうだ。
だからといって画面を剥き出しにされても困るが…ここは大人しく画面保護シートを小さく切ったものを用意するしかない。

 エンターブレインから出ている「デジモンセイバーズ、デジヴァイスic、デジモンミニと遊ぶ本」という攻略本には、
なんと、「デジモンミニ画面保護用シート」がシールとセットで付録として付いてきている
残念ながら俺が買ったのは中古でシートは使われた後だったが、ちゃんとシートの大きさはミニの画面サイズに一致している。
エンターブレインは気が利くなぁ…っていうかバンダイがこれ最初から同封しといてて下さいよ!


 尚、デジモンアクセルがダメダメだという理由の一つに、「液晶の背景が無い」というのがあったが、
幸いデジモンミニではそれが復活(結局ヴァイス系を除く携帯機シリーズで背景無かったのはアクセルだけ)し、
バージョンごとに異なる背景が入っていて、VER.1は草原、VER.2は森、VER.3は光となっている。
限定版などはまた違った背景が用意されているようだ。


 しかし、画面の設計だけでなく、全体的に本体自体もかなり安っぽいのが辛い。
安っぽいというのにも色々と基準があるが、ミニの場合は「素材」「デザイン」の両方の意味で安っぽい。
「小型化」によるコストダウンは嬉しいが、「素材変更」によるコストダウンは大体不満が出てしまうものだ。

 本体はただのプラスチックで、しかも本体の小ささからくる都合か、かなり薄そうで不安な設計。
大きさ的に「アタリ!」とか書いてる200円ぐらいの怪しい黒いカプセルのガチャポンから出てきても不思議ではない見た目だ。

 見た目が安っぽいだけならまだしも、実際にモロいのが割と大問題。
本体後ろにあるスピーカー部分なんかは、細かい穴が沢山空いているからか、
購入した時点でこの部分のプラにヒビがいっているのが当たり前なのか、
俺が3つ買ったミニはどれもそうだったし、他の人からもそういう報告があったから多分間違いない。
 今の所「破損レベル」にまで割れたという経験や報告は聞かなかったが、手荒に扱うのはよした方がよさそうだ。


 そんなデジモンミニだが、なんか知らんがカラーバリエーションは割と多い。
VER.1はレッドとグレーの2色で、俺はレッド。
VER.2はイエローとホワイトの2色だが、ホワイトは物凄く安っぽいのでイエローの方がお勧めだ。
VER.3に至っては内容と一緒にカラバリも増えて4色あり、ブラックが人気らしい。でも俺はクリアオレンジ。
 他にも、攻略本を出したエンターブレインの「あそぶ本版」や、ジャンプ版、ボンボン版などのカラーバリエーションもある。
好きな色を選ぶのも良いし、登場デジモンに合わせて選ぶのも良いだろう。

 さらに、どういうコネや経緯があったのか知らないが、あの有名な「UNIQLO」とのタイアップで、
「デジモン柄の着いた服を買うと限定カラーのデジミニも付いてくる!」と言う企画者の頭を疑いたくなる企画まであった。
これは「デジモンセイバーズ」の英語ロゴが入った長袖シャツ5種類に、限定カラー(5種)のミニが付属して1980円というものだったが、
デジモンミニの公式ページでも「特設ページ作るよ!」と言う割にはそこで更新停止してる辺り、
タイアップの結果は口に出すのも気の毒だったのだろうから、あえて触れないでおこう。

 …ていうか、百歩譲ってUNIQLOとタイアップするのは良いとしても、
それに付属する限定カラーのデジミニが全部中身はVER.1ってのは流石にダメすぎやしないか?
折角5タイプものカラーバリエーションを出すのなら、中身にもバリエーションもたせりゃよかったのに。
ていうかどうせ過去のデジモンのドット流用しかやってねぇんだから、
本体カラーごとに登場デジモンも一部変更するぐらいやってくれても別に問題なかったんですよ?


 企画タイミング的にも、デジモンミニが発売された当初からタイアップしてたならともかく、 
「シリーズ最終作のVER.3が出ましたよーデジモンミニこれでオシマイですよー」って時に
「中身全部VER.1だけど限定版いっぱい出したよー」なんてやって
本当で売れるとでも思ってんのかと。

 ムリヤリ複数買いするとしても、ここでデジモンミニの「内容の薄さ」が仇になってしまう。
例えば究極体が5体いたとすれば、「同時に全究極体揃える」とかの目的で同じバージョンの色違いを5つ買うような人も出たかもしれない。
だがちょっと待ってほしい。実際はこれで出たのはVER.1だぞ?後述するが、VER.1って究極体は1体だぞ!?
どう考えても一つで十分じゃないか!

 というわけで、完全に「限定商品である」「本体の色が違う」という点にしか価値が無い。
…こんなモン、わざわざユニクロとタイアップせんで大会の賞品にでもしとけや!

 せめて「デジミニVER.1大人気!もう今じゃどこの店に行っても手に入りやしないよ!?」なんて状態だったなら
「ヤッベ俺今になって欲しくなってきたこうなったらユニクロセットを買うしかないわ!」なんてこともあったかもしれないが、
当時デジモンミニは絶賛売れ残り中だったから、普通はお安く通常版を買ってしまうところだろう。


 でも正直、この企画についてあまり詳しく知らなかったので、これを書いている現在また調べたところ、
その企画についてのページを見てみると、アレ…結構デジモンミニの本体デザインカッコいい…ぞ?
健康的な男の子ならば思わず反応してしまう「クリアカラー」だし、画面横にデジモンのドットがあるのも良いアクセントじゃないか。
うーんこれなら俺も買っておけばよか…ん?ちょっと待て、付属する服のサイズ…

■Tシャツサイズ : 110cm/120cm/130cm/140cm/150cm

 なんだかターゲット層が俺たち世代とは弱冠ズレてるみたいですね。
これはどういうことだ…と、少しそのページのテキストを読んでみよう。

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※「デジモンミニ」について
「デジモンミニ」は、1997年に発売され大ヒットした携帯液晶ゲーム「デジタルモンスター」をミニサイズ(高さ3セン
チ)にしたもので、2005年11月の発売以来、小・中学生男児を中心に人気となっています。今回のデジモンミニ
は、ユニクロオリジナルデザインとなっています  ―ユニクロのページより一部抜粋―
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 え…?小・中学生に人気……なの…か…?
残念ながら当時の俺は高校生で、小中生のブームは全部ポケモンかムシキングだと思い込んでたから実態は知らない。
ていうか、1997年に発売され大ヒットした携帯液晶ゲーム「デジタルモンスター」発売当時の小・中学生
つまり俺とほぼ同世代ぐらいしか買ってないと思ってたよ。

 うーん、じゃあ何か、結局この企画は正しかった…のかねぇ?
でも「/160cm」サイズぐらいは足してくれないと、いくらデジモン廃人でもサイズの合わない服がセットになった商品なんて買わないぞ…。
つーか今時だったら中学生でも160、170越えなんてザラだろうし、やっぱりこういう販売方法はダメだと思うなボカァ。
「これは欲しいけど付属品がいらない」ってモノは、いつの時代になっても無くならないものなのだなあ…。
 尚、俺はこのタイアップ品が今でも残ってるのかは知らないし調べる気も無いので、欲しけりゃ自分で頑張ってくれ。



 さて、そろそろゲームの内容のことについて話す。
最初に言うと「元祖の劣化」。以上。

 …こればっかりは、マジで庇いようが無い。
何しろデジモンミニは「小さい事」がウリだが、逆に言えば本当にそれだけであって、
ゲーム内容的にこれといった新機能は無いし、その残された「元祖」の部分すら劣化しているのだからどうしようもない。
「原点回帰」と言う点は褒めるべき箇所かもしれないが、それは原点からブッ飛んだアクセルが糞すぎただけであり、
元祖の後続だったペンデュラムやプログレスなんかは、ちゃんと元祖のシステムを踏襲して、尚且つ新機能があったわけだ。
 むしろ(ゲームの内容が全く面白くなかった所に目を瞑れば)、アクセルはよく言えば「変り種」であったわけで、
元祖とは別モノだと割り切れば(多分恐らく一寸はもしかするとそれなりに)見るべきところはあった(かもしれない)のだ。

 とは言え、実際は勿論アクセルよりよほど面白いし、
「劣化」とは言え元々良くできたゲームなんだからそんなにデキが悪いというわけではない。
少なくとも「デジワー→デジワー2」レベルのガッカリ感は無いから安心してくれ。


 ゲームの内容の詳細については後述するとして、まずは肝心の登場デジモンのことから。
どんなにシステムが良くても登場デジモンがダメなら不満が出るものだし、その逆も然りだ。

 デジミニが「元祖の劣化」だと言える最大の理由は、登場デジモンの少なさにある。
育成ゲームたるもの、育成できる種族数そのものはやはりゲームのボリュームに直接関わってくるものだ。
 完全体までしかいない元祖ですら14体、ペンデュラムだと20体、前シリーズであるアクセルに至っては31体と(ボリュームだけは)凄いのに、
その後である今作デジモンミニはまさかの全13体という過疎っぷりで、明らかに見劣りしてしまう。
そんなに数が少ないというのに、まさかまさかの超究極体の導入により、全体的なバランスが非常にアレなことになってしまった。
幼年期がⅠ、Ⅱそれぞれ1体ずつなのは基本だから良いとして、

成長期:3 成熟期:4 完全体: 究極体: 超究極体:

 …というなんとも尻すぼみなバランスに、スタッフの方々は何か違和感を覚えなかったのだろうか?
超究極体というのは勿論究極体から進化するデジモンであり、勿論究極体より強い
様々なデジモンを育てる事が醍醐味であるはずのゲームで、「最も強い世代」というのを設定し、尚且つそれを1体にするのはどうなんだ?

 最終的にはVER.1~3でそれぞれ1体、計3体の超究極体が登場し、一応「最強」となるのは1体でなく3体に落ち着いたと言えるが、
大人の都合などもあるとは言え、まだVER.1しか出ていない時期に大会が行われたりして、
その大会は案の定、VER.1の超究極体であるオメガモンが優勝し、他の上位もオメガモン、あるいは唯一の究極体であるウォーグレイモンだった。
これってさ、育成ゲームとしてはとんでもなくつまんねぇと思うんだけど…。

 勿論、いつもいつでも究極体や超究極体が勝てるというわけではないが、
デジモンミニからは各デジモンごとに「強さポイント」が設定されており、世代・種族による格差が明確化された印象がある。

 なんにせよ、最終的に目指すのはたった1体の「超究極体」だと考えるとつまらないものだ。
今までも、最終形態に位置づけられていた「完全体」や「究極体」も、
「メタルグレイモンではもんざえモンに勝ち辛い」等、同世代中での強さの差こそはあれど、「最終形態」というのは常に複数だった。
増してや、今回はその超究極体への架け橋になる究極体すら1体だ。

 大会で勝とうと思えば、誰もがオメガモンを目指すのは当たり前だから、大会に出た人を責めはしない。
折角大会に出るのならば、そのゲーム中でベストな状態で望むのは当然だろう。
問題は、そのゲームに与えられた「ベストな状態」が一つしかなかったことにあるのだから。


 大会だとか勝ち負け云々を抜きにしたって、
「これじゃ進化が一点集中でつまらないなあ」と思っていたら、実際はそれよりもヒドかった

 とりあえず、まずはVER.1に登場するデジモンを見てもらう。

■VER.1
幼年期:ボタモン コロモン
成長期:アグモン ガブモン ベタモン
成熟期:グレイモン ガルルモン シードラモン ヌメモン
完全体:メタルグレイモン トリケラモン
究極体:ウォーグレイモン
超越体:オメガモン

 デジモンミニ第一弾として、まあ無難なチョイス…と見せかけて、
この時点でデジモンミニのデジモンチョイスがなんかおかしいことに気付かされる。

 これはかなり俺の主観ではあるが、もうボタモン~オメガモンの進化ルートはおなか一杯だ。
まあそりゃ看板デジモンだから「とりあえず」ってことで毎度入れてるんだってのは分かるけど、
事あるごとに「第一弾なのでアグモン出します!」なんてされても、ずっと追いかけてるファンからすればウザいったらありゃしない。
 VER.1、ペンデュラム5(少し違うが)、ペンデュラムZERO、プログレス1、ペンX1、ジャスティスゲノム、そして今回…。
「是非ともアグモン系譜にウンザリして嫌いになってくれ!」と言わんばかりのプッシュぶりにはモウガマンデキナイ。

 アグモン系譜の事は忘れて、次は他のデジモンに目を向けてみよう。
成長期にベタモン、成熟期にシードラモンとヌメモンがいることから、その雰囲気は元祖のVER.1を彷彿とさせる。
アグモンからはグレイモン、ベタモンからはシードラモンとその元祖の進化系譜にも添ったチョイスは中々良い。
さらにガブモンとガルルモンが加わったり、久しぶりに「ハズレ系」となるヌメモンがいたりと、成熟期までは非常にまとまっている。

 だが、良いのはここまで
完全体を見てみると、メタルグレイモンともう一体はトリケラモンだ。
…なんでここでトリケラモンを持ってくるのか、心底意味が分からない。
トリケラモンと言えば、陸上タイプの恐竜型デジモンだ。
水属性を持つガルルモンやシードラモンからの進化とは考え辛いし、ヌメモンからだと尚更だ。
ここは、折角ガルルモンとシードラモンが水属性で共通しているのだから、
ワーガルルモンだとか、メガシードラモンだとか、ヌメモンへの救済処置としてもんざえモンとか、色々選択の余地はあったはずだ。

まぁ、完全体への進化が成熟期のイメージと大きく離反するのは初代の頃は当たり前のことだったからいいとしても、
何にせよ、「二足歩行の竜」という意味でメタルグレイモンとキャラが被ってる方が問題だ。
 たった2枠しか存在しない貴重な完全体枠を、なんでまたこんな下手糞に使えるのかが不思議でならない。
トリケラモンに罪は無いが、こんな出され方しても「邪魔だ!どけ!」と思われるのがオチだ。
俺とてトリケラモンは好きなデジモンの1体だが、今回の登場は全く持って嬉しくない


 更にデジモンミニで不可解なのが、偏った進化ルートだ。
デジモンのチョイス同様、「成熟期まで」は何の問題もないのだが、それ以降は本当に駄目すぎる。
例えばVER.1だと、メタルグレイモンに進化できるのはグレイモンと何故かヌメモンで、
トリケラモンに進化できるのがグレイモン、ガルルモン、そしてシードラモンの3体だ。
グレイモンてめぇ!と、その優遇っぷりに思わずデジソウルチャージしたくなるが、ここは抑える。

 完全体になると、結局は「メタルグレイモン」か「トリケラモン」のどっちかに限られてしまう。
折角4体も成熟期がいたのに完全体になるだけでこの没個性社会とな?
 こっからさらに唯一の究極体であるウォーグレイモンへ向かうんだから完全体2体にする意味ねぇなあ、と思ったら、
なんとトリケラモンは究極体に進化できないという衝撃の新展開。
おいおい!トリケラさんと言えばデジワー2でも究極体になれなかったという悲劇の方だぞ!
わざわざミニに呼び出しておいてこれはいくらなんでもヒドすぎるだろ…。

 当然、最終形態である超究極体・オメガモンへ進化できるのはウォーグレイモンだけなので、
超究極体へのロードを駆け抜けることができるのは優遇されたグレイモン組だけというオチ。…何だこれ
一方が超究極体まで進化する一方で完全体止まりって、流石におかしいと思わなかったのだろうか?
いっそ超究極体なんてモノ無くしてその枠を究極体に回していれば随分とマシだっただろうに…。

 「トリケラモンは完全体止まり」だと分かると、そのトリケラモンにしか進化することのできない
ガルルモンとシードラモンの魅力も下がってしまうもので、
「どうせこいつらにしても進化止まっちゃうしなあ…」と考えてしまう。どうせなら多く進化したいものだしな。

 「デジモンを進化させるかどうか」というのは条件ミスだのバトル逃避だの、プレイヤー側がある程度操作できるものだが、
「デジモンが進化するかどうか」というのはゲームの仕様に従わざるを得ない部分、
つまり、「ゲームがどれほど気が利いてるか」が問われる場面だ。今回?……残念でしたね…。
 せめてトリケラモンもウォーグレイモンに進化することができたとしたら
「どうせウォーグレイモンになるんだからそれまでの進化は色々楽しもう」と考えられたはずなんだが…。

 気付いた人もいると思うが、デジミニVER.1は新規に16×16ドットになったデジモンは一人もいない
つまり全デジモン過去の使いまわし!やったねパパ!明日はホームランだ!!


 気を取り直して、今度はVER.2。例によって登場デジモン一覧。

■VER.2
幼年期:バブモン モチモン
成長期:テントモン エレキモン クネモン
成熟期:カブテリモン ケンタルモン ティラノモン スカモン
完全体:アトラーカブテリモン ワルもんざえモン
究極体:ヘラクルカブテリモン
超越体:タイラントラブテリオン

 久々すぎる虫がメインのメンツ。俺はこういうのを待っていたんだ!
同じく主役系であり、進化系譜が充実しているカブテリモン系譜がメインだが、グレイモン系ほどの食傷感は無い。
 デジミニVER.2一番の目玉は、なんといっても超究極体のタイラントカブテリモン。勿論新規ドットだ。
一応公式サイトとかにもドットは載ってるんだがどうせだからここでも打っておこう。


 一応言っておくが、タイラントの本物の頭部はドラゴンだかワニっぽいだかの奴ではなく、
そのドラゴンの顎の根本にある部分だ。今でも結構間違ってる人が多い気がするぞ。タイラント自身マイナーで注目されないしな…。
下のイラストでもなんだか頭部を間違ってる気がするが、これは多分王冠の都合上仕方が無かったんだなそうにちがいない。

 成長期や成熟期も、出番に恵まれなかったが地味に人気でドットがカッコいい奴らなチョイスで素晴らしい。
しかし、2体目の完全体であるワルもんざえモン。オイお前なんだか物凄く浮いてるぞ!

 まだ2体目の完全体が分からなかった頃は、VER.1でトリケラモンが出た事から推測して
「きっとドラゴン系、あるいは1体目と似たような奴が出るに違いない」と思っていた俺は、
スカルグレイモンやメガドラモン、メタルティラノモン、オオクワモンなんかが出てきてくれる事を期待していたのだが…。
こういう期待に限ってことごとく裏切ってくれるのが「デジモン」というキャラクターブランドだってコト忘れてたよ!

 ていうかワルもんざえモン、お前VER.1のトリケラモンと交代すれば全てが丸く収まるんじゃないか。
そーすりゃVER.1は「ヌメモンからのそれっぽい進化系」が得られるし、
VER.2は「ティラノモン→トリケラモン」という至極真っ当な進化系譜を構成できたのに…。

 ていうか、どういう思考をしていればここでワルもんざえモンなんて選べるんだ?
今までのデジモンの携帯機やゲームと、デジミニVER.2の成熟期を踏まえて考えれば、
メガドラモン、オオクワモン、アンドロモン、メタルティラノモン、エテモン、キメラモン…といったところが候補に上がるだろうが、
少なくともここで「カブテリ、ティラノ、ケンタルの進化先」としてワルもんざえはどう考えてもあり得ないと思うんだが…。
 …なんか最近のデジモンってこういうの多いなあ。「なんでお前に進化するの?」って奴。
マジでバンダイ側が「こいつのこと嫌いになってください!」って思惑なんじゃないかと疑ってしまうぞ。
 そして例によってワルもんざえもまた完全体止まり。もうやだこのシリーズ


 
余談だが、何故かカブテリモンのドットが変わった。
正直ミニ版はアトラーとの変化が乏しく面白みにかけるので、従来ので良かったと思う。


「はい、私がアトラーさんです」


 やはり、これだけデジモンの総数が少ないにも関わらず進化が閉鎖的で偏っているのがデジミニ最大の問題だと思う。
プログレスではジョグレス以外の進化ルートは自由になっていたし、
ペンデュラムXやアクセルでも、プログレスほどではないとはいえ、進化はかなり自由度が高まっていた。
この流れの延長線にあるミニで、この閉鎖的進化ルートというのは余計にタチが悪い。
正直、この点では元祖やペンデュラムも決して良くできてはいなかったが、デジモン総数が少ない分、ミニのは顕著だ。
 

 「デジモンの進化の可能性は無限大だからいいじゃない」とかホザくことで、 
デジストやカードのメタメタな進化系譜を肯定する人が結構いるが、いや、そのりくつはおかしい。
 進化の可能性が無限大、要するに「進化に自由がある」と言うことは、 
例えば「アグモンはグレイモンにも進化でき、ヌメモンにも進化できる」という「選択肢がある」ということ。
だが今回のデジモンミニやデジストなんかは「アグモンはヌメモンにしか進化できず、グレイモンにはなれない」と言った感じで、
それは絶対「自由」なんてもんじゃないし、「破綻している」というだけじゃないか。
 
 少なくとも、デジモンの総数が余りにも少なすぎる今作においては、
絶対に、プログレスのようなデジモンに縛られない自由な進化にしておいたほうが良かっただろう。
たった4体の成熟期なんだから、進化条件の分別だって簡単なことだったろうに。


 さて、残るは最終作VER.3だが、ここで異変が起きる。
シリーズ最終作だからかは知らんが、デジモンの総数がそれまでの13体から18体へとボリュームアップ!
5体の追加というのは本当に大きい。このおかげで全体的なバランスも

成熟期: 完全体: 究極体: 超究極体:1

 と、従来のデジモンに比べても遜色の無い内容とバランスを持つようになってくれた。
これは非常に嬉しい。VER.3になることでついに満足の行くできになったのだから。
超究極体は相変わらず1体だが、完全体や究極体が増える事でその不満は特に無くなる。
 この事実を知れば、買った人や今これを読んでいる人達も一つ、思うところがあるだろう。
ではその感想をどうぞ。

 さん、はい。




最初ッからそうしろや!!!!


 というわけで、そんなVER.3の登場デジモン。

■VER.3
幼年期:ポヨモン トコモン
成長期:パタモン ピコデビモン ガニモン
成熟期:エンジェモン デビモン レオモン シェルモン シーラモン ナニモン
完全体:ホーリーエンジェモン ヴァンデモン エテモン
究極体:ホーリードラモン ピエモン バンチョーレオモン
超越体:ルーチェモンサタンモード

 テーマは「天使VS悪魔」とのことだが、プログレス2「ハルマゲドンアーミー」ほどそのテーマには特化しておらず、
16×16ドットでは新規参戦となるバンチョーレオモンがいたり、地味に水棲系のデジモンもいたりするのは嬉しいところ。

 流石にここまでボリュームが整うとそれほど不満も無いのだが 
水棲系の完全体がいない(ので、シェルとシーラはヴァンデモンに進化)という点だけは少し残念。

 後、個人的には完全体がホーリーエンジェならばどうせなら究極体は新規ドットでセラフィ、
ヴァンデから進化するのもピエでなくヴェノムヴァンデ、という風にしてほしかった所。
ヴェノムはペンデュラム5.5のみで終わらせるには勿体無いぐらいにドットカッコいいから、是非ともそうしてほしかった。
まあヴァンデ→ピエというのもペンデュラム3の再現だからそう悪くは無いが、せめてデーモンが良かったかな。
 …正直に言うとピエモンのドットが…ね。
嫌いじゃあないけど、少し可愛すぎるっつーか、公式とデザインが違いすぎるっつーか…。
 
 当時はエテモンから進化と言うのが嫌で嫌で仕方なかったバンチョーレオだが、
もんざえモンから進化するデジストやチャンピオンシップに比べたら随分マシな気がしてきたし、
エテモン自体携帯機での登場はこれでやっと2回目だから、これは素直に受け入れるべきことだな。



常に刀を構えるような番長はあまり尊敬できそうにありませんね


 そしてVER.3の超究極体はまさかのルーチェモンサタンモード
当時はまだ攻略本が出ておらず、デジモンの特定はドットで行うしかなかったわけだが、
こいつのドットはどう見てもサタンな上にカッコいいという素晴らしさで、多分もう出番は無いと思うと非常にもったいない。
ちなみにサタンに進化できるのはホーリードラとピエのみで、バンチョーレオは究極体で唯一進化ができないが、
今までが完全体止まりだったことに比べると、究極体にまでなれる分よほど救われているだろう。


「ゲヘナ」があるだけでも随分とサタンサタンしている


 さて、こんな感じで、「不満」ではなく「要望」が出るというのは良作である証拠だと思う。
その分「最初から3みたくやっとけよ…」と思ってしまうのだが、そう思ってしまうのは仕方ないよなぁ…。


 
 登場デジモンについては終わったので、ゲームのシステムそのものについて。


 画面について触れた際に言ったが、デジモンミニは従来のように画面の上下にアイコン郡が無い。
デジヴァイスシリーズやプログレスのようにボタンを押せば別画面でメニューが出るわけでもない。
 じゃあどういうことやねんと言うと、

Aボタン:通常時にはエサ(プロテイン) ウンチがあれば洗浄 デジモン就寝時には自動的に電気のオン・オフ
Bボタン:チョン押しでバトル及び戦績・勝率画面 長押しでトレーニング

 と、状況に応じて自動的にコマンドが変わるある意味スタイリッシュなことになった。
勝率稼ぎのためにバトルを連続ですることを想定してか、Bボタンのチョン押しの方にバトルを当てていたりと、地味に気が利いている。

 しかし、コマンドはこれで全てだ。
意外と言われないと気付かないもんだが、なんと今回ステータス画面が無くなった
ていうかステータス自体が廃止になったようなものであり、
「年齢」は死んでからじゃないと分からないし、「体重」に至っては消滅
現在の「空腹」や「衰弱」の減り具合はデジモンの警告音を聞かない限り分からないという仕様になった。

 「ははーなるほどー、実際のペットは年齢やステータスなんて分からないもんねーこれで一層本物のペットに近づいたなー」
などと気が狂…いや、ポジティブに考えた人もいないことはないようだが、
はっきり言ってこれは単なる省略で、手抜き以外の何物でもない気が…。

 少なくとも、無くて斬新だとは思えど「無くて便利」とは到底思えないし、
それでいて不可視ながらも年齢やステータスがゲーム内では動いてると思うとなんだか不快ですらある。
わざわざ隠す意味は見出せないし、隠したところでプレイヤーに何のメリットがあるというのか…。
 
 エサはいつもどおりのエサかプロテインかの2進法。ウンチだのケガだの病気もいつもどおり。

 トレーニングは連打式。VER.3や、後のツインと大体同じ。 
アクセルとは違い、ツイン同様に連打数が多いほどスコアは高く、デジモンの世代が上であるほど必要連打数は多い。

 元祖でいう「体力」や、ペンデュラムでいう「DP」などの要素は無く、トレーニングともどもバトルは無制限に行える。
さらにデジモンミニからは幼年期Ⅱがバトルできるようになったわけだが、なんというか…。

 バトルはペンデュラムのようにお互いにHPが6ポイント与えられ、
トレーニング同様、プレイヤーの連打により攻撃が変わり、出した攻撃の強さによりダメージも変わってくる。
最大攻撃であるハイパーヒットだと一撃必殺が可能で、バトル数・勝率稼ぎの時間的効率は非常に良い
 またデジモンごとに強さポイントが設定されて(例えばアグなら3で、オメガなら24)おり、
その強さにトレーニング等の補正が加わりバトルの勝敗に影響する。デジヴァイスicやツインと同じ。

 アクセル、デジヴァイスicとも通信が可能なので、
何度も言うように、全くゲームとして面白くないアクセルには「サンドバッグ」という役目を与えてやるといいだろう。
アクセルはひたすらDNAを食わせれば成長期まであっという間に進化するし
ケガしまくって瀕死になったとしても、本体をリセットすりゃ進化した時にセーブされているので何度でもボコれるぞ!

 プログレスの「バトルトレーニング」やXの「クエスト」、アクセルの「コロシアム」に当たる機能は無い。
そのくせプログレスとアクセルの悪いところを引き継いで全キャラの攻撃ドットが同じというのは大減点。
 全デジモン共通でショッボイ火の玉というのはなんとかならなかったものか。 


左からシングルヒット、ダブルヒット、トリプルヒット、ハイパーヒット




 肝心の「進化」は、流石「原点回帰」をテーマにしただけあって、元祖のデジモンシリーズに準じたものになっている。
つまり御馴染みの時間経過を必要とする進化で、アクセルは何だったんだと言われんばかりの回帰っぷり。

 進化のペースはペンデュラムと大体一緒で、
1時間で幼年期Ⅱ、半日で成長期、1日経てば成熟期で、3日経てば完全体、更に3日で究極体で、またもや3日ほど立てば超究極体。
そんな感じで進化スピードはかなり速い部類ではあるが、もはや当然のように寿命が存在しない
 例によって、よっぽど酷い状態にしなければずっと生き続ける。
…が、ミニには省電力機能は無い上に使用する電池がボタン電池一つなので、
「デジモンを残したまま電池交換する」という裏技が不可能で、「寿命=電池残量」と考えればいい。
うぅ…このせいで俺の99歳超のバンチョーレオモンやルーチェサタン、80歳前後のラブテリオンが……・。

 本体の所で書くべきだったかもしれないが、「電池のフタ」にネジが使われてなくて、
シャーペンとか安全ピンとかの尖ったものでフタの一部を抑えてスライドすればフタが取れる設計は中々親切で良い。
(この仕様はネジに気を遣わなくていいから好きなんだけど、
 小さいお子さんの親からクレームでもきているのか、最近のバンダイ商品はまたネジ式に戻りつつあるようだ。)


 進化条件は基本的に、空腹や衰弱による育成ミスや、睡眠妨害等でカウントされるペナルティ、
後はトレーニング回数やらバトル回数が絡んだ完全体条件と言ったところ。いつもどおりだな。
むしろ「満腹回数」や「睡眠妨害」等が直接進化に関わるわけじゃないから元祖よりは面白みに欠けるかもしれない。
ちなみに、ジョグレスもイベントも進化アイテムも何も無いので、バトルができないと一生完全体にはなれないぞ。

 究極体から超究極体への進化条件は、
「進化してから進化タイミングまでにバトルを100回以上」と一見結構辛いようだが、
育成ミスや勝率は問われないのでいざやってみると楽…というか単純作業だ。
条件さえ満たせば確実に進化するから、究極体にまで進化できれば折角だから狙ってみるといいだろう。

 
 
 さて、締めとなる総評だが、正直ペンデュラムでも再販した方が良かったんじゃね?
最終的に3つもバージョンを出しておきながら、結局新規に登場したのはたった3体ってのは流石にどうかと思う。
こんな前に進まないシリーズ出されるぐらいなら、ペンデュラムに限らず過去のシリーズ再販の方が喜ばれたはず。

 前シリーズであるアクセルで犯した「脱線」という罪を償って原点回帰してみたり、
低価格にすることで敷居を下げ、多くのターゲット層を得ようとしたとか評価すべき点はあるけれど、如何せん中途半端だ。

 最初にも言ったが、「そのまま小さくなる」のならば、まだ問題はなかった。
だがやはり、ボリュームや機能を削ってまで小さくなることはなかったのだ。
ただでさえ、ペンデュラム機能、バトルトレーニング、クエストモード、コロシアム等のプレイバリューが高い機能が増えてきたり、
登場デジモンが増加したり、アイテムが増えたり、進化条件が複雑化したりと、携帯ギアも「進化していく」流れの中で、
急にこんなシンプルというか、レトロなものを出されても、新参はともかく古参ファンはまず手に取りたがらない。

 
 デジモンミニのウリである「小さい」という点だが、別に誰も小さくして欲しくなかったんじゃないだろうか?
大体、元々デジモンって十分小さいと思う。
むしろ元祖~プログレス辺りの大きさこそが、小さいながらも高級感をかもし出している絶妙なバランスだと思っていたが、
頼んでも無いのにここまで小さくされて、しかもそのせいでデザインも質素で機能まで削られてモロくされたんじゃあ…。
 ていうかコレ、小さすぎて操作し辛いぞ。
指一つをボタンにあてがっただけでボタン2つ分に覆いかぶさっちゃうもんだから、油断してるとすぐ誤操作だ。

 ミニの大きさやボールチェーンからして、「ケータイのストラップ」的な扱いにされることが狙いだったのは分かるんだが、
こんなにモロくて傷つきやすい精密機械を「ケータイストラップ」なんてハードなポジションに据えられるか!

 「それならいっそケータイのアプリで良いじゃない」と思った人もいるだろう。
実際、ミニシリーズが終了した辺りから、元祖デジモンシリーズが徐々にアプリとして配布され始めたわけだが、
バンダイ自らミニの立場を失くすようなことしてやるなよ…。


 一応、昔のデジモンを持ってない人にはそこそこオススメできるんだけど、 
昔のデジモンに触れたことのある人ならば、どこかしら不満が出てきてしまうと思う。
てか、現在だと上記したケータイのアプリで元祖デジモンがダウンロードできるから無理にミニを買うことは無いかも。
アプリ版デジモンのことは元祖「デジタルモンスター」の項でもざっと触れておいたが、
元祖デジモンに忠実に作られている上、本体カラー変更ができたり、一人用のバトル機能が付いていたりとオススメできるぞ。



 ミニは、確かに元祖などに比べると随分簡略化されてしまってはいるものの、
「デジタルモンスター」というものには十分近く、昔を懐かしむには十分なデキではある。
登場するデジモンに好きなのがいるのなら、買って特に損をすることもないだろう。
 俺個人としては、やはりボリュームも中々で登場デジモンも中々渋いところを付いているVER.3がオススメだ。
VER.1や2は、そのボリュームの少なさと閉鎖的な進化ルートに我慢できるのなら買ってみればいい。
俺は新規ドットであるタイラントやサタン、バンチョーを育てられただけで割と十分満足した(…VER.1?何それ?)。
…でもそいつらみんな99歳近くまで育てて満足したから、多分二度と起動はしないだろうなぁ…。

 どうあれ、買う時には是非サンドバッグとしてアクセルを一緒にどうぞ。
何?ミニに比べて高い?良いじゃないか、俺なんか発売日にワクワクしながら定価で買ってきたんだぞ!?
デジヴァイスicでもイケるだろうが、やはりサンドバッグとしてアクセルに勝る逸材ではなかった。
初代の頃のように、勝率稼ぎのためにミニを複数買いでも問題はないが、サンドバッグ用にするのは少しメンドいと思う。



 こっから先はレビュー関係なく俺の単なる妄想だから読み飛ばしてくれて構わないぞ。

 VER.3になって突然キャラを増やしたのはありがたいけどやっぱり問題だったと思う。
バトルスピリット→バトルスピリット1.5 とか
デジモンストーリー→サンバースト&ムーンライト とか、
やれんなら最初からやれやボケェ!!と言いたくなることばっかりなのだなデジモンって奴は。

 というわけで、そのVER.3にならって、「もしVER.1と2がボリュームアップしていたら」というのを考えてみた。
…うん、言わなくても分かってるよ。空しくなるだけだってのは。

 とりあえず
・成熟期+2体 完全体+1体 究極体+2体
・追加究極体の内1体は、超究極体と関連があるデジモンである
・なるべく、既にドットがあるデジモンを使いまわす
 
 という3点の縛りの元、俺なりにデジモンをチョイスしてVER.1と2をボリュームアップしてみたのが下。黄色が追加分。

■真VER.1
幼年期:ボタモン コロモン
成長期:アグモン ガブモン ベタモン
成熟期:グレイモン ガルルモン ユニモン モノクロモン シードラモン ヌメモン
完全体:メタルグレイモン ワーガルルモン トリケラモン
究極体:ウォーグレイモン メタルガルルモン メタルシードラモン
超越体:オメガモン

 やはり最終的にオメガモンがいることを考えると、メタルガルルモンは外せない。
モノクロモンはトリケラモンへのそれっぽい進化前として。
水棲完全体が居ない分、究極体にはメタルシードラモンを用意。ワーガルルとトリケラから進化する。
ヌメモンは「ハズレ」と割り切って、あえて関連するデジモンは省く。進化自体は割と自由。
ユニモンはガルルモンと似たようなポジションだが、何より出番が無さ過ぎるため私情込みの選択。


■真VER.2
幼年期:バブモン モチモン
成長期:テントモン エレキモン クネモン
成熟期:カブテリモン ケンタルモン ティラノモン クワガーモン ドリモゲモン スカモン
完全体:アトラーカブテリモン オオクワモン ワルもんざえモン
究極体:ヘラクルカブテリモン ムゲンドラモン メタルエテモン
超越体:タイラントラブテリオン

 昆虫メインとあらば、クワガーモンとオオクワモンは外せない。
ムゲンドラモンは「ティラノモン最終形態」と「ワルもんざえモンからの進化」を兼任する。
メタルエテモンも「スカモン最終形態」と「ワルもんざえモンからの進化」を兼任。「森」関連でタイラントとも無理矢理関係させる。
ドリモゲモンなんかはVER.3だとクネから進化したし、エレキから進化できても不思議ではないし、ワルもんざえへの進化も順当。


 さあこれでどうだ!?俺のチョイスなのだから俺好みなのは当たり前だが、これは中々いいセン行くんじゃないかな!?




…分かってたことなのに……すっげぇ、空しい……。